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9,【回帰祭】開催にかける住人達の想い

魔女のダンジョン81階~85階の階層は、中央部分が吹抜けの造りとなっている。

この5階層分のスペースは、主にダンジョンに住む者達の集会場になることが多く、使用目的は多岐にわたる。


現在は各所にフラワーアレンジメントや煌びやかな装飾で彩られ、パーティー用のテーブルが多数運ばれていた。



―――【黎明の魔女レイラ】の生まれ変わりが帰還する―――



その情報がもたらされた時、そこに住む全ての者に激震が走った。

すぐさまダンジョンの管理者たる【融機人】の5人に確認をとり、事実と判明するやいなや、大勢でやって来て言祝(ことほ)いだ。


魔女レイラに救われた各種族の住人達は、祝いの品を献上しようと、入れ替わり立ち替わり訪れては、一族自慢の逸品を融機人達に預けていった。


そんな折り、更なる詳細な情報がもたらされた。―――半月後に御光来なされる!―――


自分達も一目お会いしたい!そう考えはしたものの、押し掛ける訳にもいかず悩む各人。


住人代表会議にて、輪廻転生による魂の帰還【回帰祭】を行うことが提案された。

その後、融機人達による裁可の後に開催が決定された。






浅黒い肌に額に角のある種族、鬼人族は、モンスターのオーガと間違われて故郷を追われた一族である。

もともと隠れるように住んでいた里に、突然人間が攻撃を仕掛けてきたのだ。

身体能力が高かったため、少数の犠牲は出たものの、何とか逃げおおせたのだが、野宿生活が長引くにつれて体調を崩す者が続出した。

そんな時、各地を巡回していた融機人のトールがダンジョンへと誘い、現在に至る。


魔女レイラは、迫害を受けている種族の境遇に胸を痛め、救済活動を融機人に命じていたのである。


鬼人族の他にも、救われた種族は数多く存在した。そしてその者達は信じられないくらいの手厚い加護を得る。

住居は勿論のこと、それぞれの種族の特性により、密林や草原、砂漠や火山地帯など様々な住みやすい環境が整えられた。温度や湿度、植生にまでこだわる徹底ぶり。

 今までに住んでいた土地よりも快適なほど。


―――この与えられた恩恵に対し、どう報いたらよいのか?―――


そう考えているところに、魔女レイラの悲報が届き、各人は遅きに失したことに愕然とした。


嘆き哀しみに暮れる日々。


だがふと顔を上げると、最も辛いであろう融機人の5人は、ダンジョンに暮らす住人達のために働き続けていることに気がついた。


創造主であり、師であり、そしてなにより敬愛する母が遺したこのダンジョン。

護り導く管理者となることを選んだ融機人の覚悟は、うつむいていた住人に衝撃を与えた。


自分達も此処を護らなければならない!子々孫々未来永劫に到るまで!!


団結した住人は他種族とも連携をとり、より良い共同社会を形成するための努力を重ねた。


代表会議にて、問題点等はわだかまりの残らぬように解決を目指し、困難な事象が発生した時には、損得勘定を抜きにしたような助け合いの場面も見られた。


このダンジョンは地上にあるどの国家よりも団結力があった。


ようやく哀しみの淵から抜け出し、人々は以前のような日常へと歩み出したのである。





―――そして現在、魔女の生まれ変わりの情報がもたらされ、歓迎の宴の準備は着々と進行しているのであった―――

★★★★★の評価をいただきまして、ありがとうございます。今後も頑張ります!

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