↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/35

34,レイルズ商会の飲食店オープン予定

祖父と伯父達は午後から仕事が入っており、日本へと帰国した。

その際に異界門ではなく、ミオが転移魔法で芦屋神社まで直接送ると、理解が追い付かないような、あるいは呆れたような顔で見られた。


「規格外じゃな」


ハァ。と息を吐き、やれやれといったふうに首を振り、肩や腰を伸ばしてから歩き出すアヤヒコ。


「向こうは興味深かった。今度はトシヤの薦める図書館へと行ってみたい」


「いや~。スゴかったなぁ!ミオ、また連れてってくれな!」


カイトとサトシはエターナリアに関心を持ってくれたようで、次回の約束をさせられた。


「うん!もちろんいいよ。またね!」


ミオはニコッと笑い、クルリと踵をかえすと同時に転移する。


瞬きひとつする間に消えたミオを見て、『この世には不思議な出来事があるもんだなぁ』と考えるアヤヒコ達。


だが自分達も常人ならざる力の持ち主であるのを自覚していない……。



ケンとイツキは予定通りに冒険者活動へ、テトを連れて出発した。

今回はリスの姿に変化したトールもついて行ったようだ。


ミオはフィルと一緒に帝国のダンジョンを目指す。その前にフィルは、ベガへと日本土産の和菓子を届けていた。

フィルがグランドマスターの部屋へと行っている間に、ギルド内の掲示板を見て時間を潰していると、馴染みのある声で話しかけられて振り向く。


「嬢ちゃん!国へと帰ったんじゃ無かったのか?!いや~っ!よく来た!!」


ゲイツに肩をベシベシと叩かれてよろけるミオ。


「イタっ!ちょっと叩かないでよーっ」


「おう。スマンスマン。こんなに早く会えて嬉しかったもんだからよぅ!……ところで、食いもんって今持ってるか?また売って欲しいんどけどなぁ」


ポリポリと頭を掻きながら、ちょっぴり都合悪そうに訊ねるゲイツ。


「今回はあんまり持ってないよ。でもねレイルズ商会にレシピ公開して、ここの帝都に飲食店をオープン予定だよ。いつでも買えるようになるからね!」


『マジでっ!!』


ミオの言葉にゲイツだけでなく、ギルド内で2人の会話に聞き耳を立てていた冒険者達が一斉に反応をした。

声を上げ、ガタンッ!!と席を立つ音を響かせる。


「その店はいつオープンするんですか?」


冒険者としては少し大人しそうな見た目、良く言えば気品のある佇まいの、たしかノートルという人がゲイツの隣に立ち、ソワソワとしている。


(よっぽどハンバーガーを気に入ったんだね)


ノートルはハンバーガー購入の常連だったので、ミオも覚えていたのだ。


「実は来週にはオープンするの。広告チラシも持って来たからどうぞ!割引券付きだから、このチラシをお店に持って行くとお得だよ」


ノートルやゲイツにチラシを渡すと、周囲の冒険者達も寄ってきたので配る。


視線を感じて振り向くとカウンター越しに、ギルド職員達も興味を引かれたように身を乗り出していた。


「オープンしたら、ぜひご贔屓に~!」


順番に配布して、ある程度落ち着いてから、ギルド内の壁にも飲食店のチラシを張らせてもらう。


これで宣伝はバッチリだ!


ミオはウンウンと頷く。



「センセイお待たせ~。じゃあ行こうか」


フィルは珍しく大人の人族の姿で歩いている。ミオに抱えられている以外は、幼竜のままでは移動に時間がかかるためだ。


ゲイツ達が「誰だ?」 と疑問に思っているようなので、「フィルだよ」と教えると驚かれた。


「またね!ゲイツさんにノートルさん!」


ミオが手を振ると、


「うわっ!聞いたかゲイツ!俺の名前を覚えてくれていたようだぞ!!」


「ハイハイ。私じゃなく俺になってますよ~」


ノートルが感動した面持ちで、ゲイツの背中をバシバシと叩いている。

小声だったのでミオには内容は聞こえなかったが、手を振り返されたのでそのまま立ち去る。


冒険者達はチラシを見て、「オープンしたら何を買おうかなぁ!」と、盛り上がっていた。


チラシにはメニューと値段が書かれており、主要商品にはイラストもあり、とても分かりやすい。


しばらく冒険者ギルド内は騒々しくなっていて、何も知らずにギルドに入って来た冒険者達を困惑させたが、壁に張られた飲食店のオープンチラシを見て、自分達も買いたいと言いながら、次々と嬉しさで興奮していた。

そして【お一人様1枚まで】と書かれた箱に入っているチラシを手に取り、店が出来たらどれを注文しようかと悩み始めた。


しばらくガヤガヤと騒がしくたむろする冒険者達だったが、グランドマスターであるベガが現れて一喝される。


「喧しいぞ!!さっさと仕事に行けっ!!」


竜人族の威圧と咆哮を受けた面々は、蜘蛛の子を散らすように出て行った。


「まったく!」


そうブツクサと呟くベガの右手にはチラシが握られており、どこか足取りも軽くグランドマスターの執務室に戻るのを、複数の職員に見られているのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。