32,世界が違えば元素も異なる
此の世は大いなる気の流れがあり、其れは龍脈と呼ばれている。また、その流れの集まる場所は龍穴と云い、いわゆるパワースポット等と呼称される。
神社はその龍穴という聖なる力の満ちた土地に建立され、邪悪なる力から護られている。
芦屋神社もそうした土地にあり、代々その土地を守り清める使命を持つ。
守護者たる一族は霊力を身に宿し、使役獣として常人には見えざる生き物を操るとされる。
芦屋家ではアヤヒコが使役する管狐がそれにあたり、神霊や式神、あるいは式と呼ばれる。
時として悪しき存在とされるのは、使役する人間が己の欲に負け、悪用するためだ。
そうならない為にも、修行を積まなくてはならない。
―――その様な内容の事柄を、ミオが祖父であるアヤヒコから聞いたのは夕方、学校から帰宅して家族4人と融機人5人、そしてトシヤの親であるアヤヒコと、兄カイトとサトシが揃って座敷に集合してからだった。
そしてトシヤが、エターナリアの世界について逆に説明する。
ミオやトシヤの前世が、異世界の前世の記憶を持つ生まれ変わりである事や、ミオの15歳の誕生日に記憶を取り戻してから、万能薬でトシヤの病気を治し、夏休みには異世界旅行をした等を教えた。
オウムに姿を変えていたイグニスが、アヤヒコ達の目の前で元に戻って見せると、アゴが外れるのではないかという程に驚かれたそうだ。
そのインパクトもあって、輪廻転生について、すんなり信じてもらえたようだ。
ちなみにトールはリスの姿でケンの学校に行ったらしい。
「いや~!すごいね!そんな小説の様な出来事が現実にあるなんてさ!もう吃驚したよ」
サトシは座布団の上で胡座をかき、黒竜であるフィルを抱っこして撫でながら興奮気味に言う。
「ミオの誕生日にはマジでビビった!見たこともねぇ不思議な現象が起こったからな!」
ケンはサトシにその時の様子を事細かに伝える。
アクアとフィオーレが緑茶を皆に出し、夕飯の支度をしているアイコを手伝うために退室した。
イグニスはトシヤの後ろに、トールはケンの側、クレイはミオの所で待機している。
「その融機人であるイグニス達の親が、ミオの前世になるんだよ」
トシヤはニコニコしながら語る。
「それでねボクが予測するに、エターナリアでは魔素を取り込んで魔力に変換して術を使うように、地球では気を取り込み霊力に変換して術を使うのではないかと思うんだよ」
「……なる程な。お前は霊力は低いが魔力は有り、魔術を使うんだな?」
カイトは真面目な表情で討論している。
頭上にはトシヤが作り出した照明【ライト】の魔術が浮いており、検証しながらの話し合いだ。
ちなみに、軽いぎっくり腰で苦しんでいたアヤヒコは、ミオの治癒魔法で完治している。
「ミオや。ありがとうなぁ。もうすっかり良くなったよ」
「えへへ。いつでも言ってね!他にも痛い箇所があったら治すから」
それぞれが情報の交換をして、今まで身内でも話せなかったもどかしさを解消していく。
「さぁ。難しいお話はまた後でにしましょう!ご飯が出来ましたよ」
アイコが料理をのせたお盆を持って現れると、アクアやフィオーレも続く。
「ミオちゃんもお料理を運ぶの手伝ってちょうだい」
「はーい」
「父さん。ビールをどうぞ」
「うむ。いただこうかな」
トシヤがアヤヒコの持つグラスへビールを注ぎ、カイトやサトシも飲み始める。
座敷はあっというまに宴会場へと変わった。
イグニス達も日本のビールに舌鼓を打ち、アイコの手料理を絶賛しながら、夜は更けていった。




