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3,父トシヤのアイテム検証

お父さんが主役です。

トシヤの生家は神社である。

芦屋家の三男として生を受け育ち、神職の道へと進んだ。

不思議な現象には理解も知識もあるつもりでいた。


・・・だがミオが魔女として覚醒する様を目の当たりにして、本当の理解には程遠い事を思い知らされるのである。





最近トシヤは病に蝕まれていた。それに伴い、神官の仕事は引退せざるをえなくなった。


―――癌である。不幸中の幸いとして手術が可能であった為、検査を重ねた後に入院した。


高校に入学したばかりのケンと、その1つ年下のミオ。

トシヤは受験生のミオには心労を掛けたくなくて、病について伏せた。

アイコとケンも理解を示し、ミオには教えないようにした。


入院して手術する時も、ミオには仕事で出張だと言っておいた。

明るく疑うことをしない娘は、


「体調管理に気を付けてね。ちゃんと食事は取るんだよ!」


などと気遣いをみせてくれた。

不意に泣きそうになるのを堪える。


「大丈夫だよ、行って来ます」


そう告げて家を出て、病院での入院生活となった。

アイコとケンは直接病院へお見舞いに来て話をするが、事実を知らないミオだけは、電話やメールの連絡のやり取りのみになる。

時々くれるそのメールに勇気と活力を貰い、手術に臨んだ。


無事に手術が成功し軽いリハビリの後、帰宅して数日でミオの誕生日となった。


そしてあの出来事である。

体調を調べる鑑定について訊ねたのは、自身の病状の把握をしたかったからだ。


医療診断と物品鑑定の眼鏡を手にして、少し手が震えた。


―――手術が成功したものの、再発の可能性は低くはないと、医師から告げられていた。

この眼鏡で、どんな現実が突きつけられるだろう。

普段は動揺などしないトシヤも、此の時は尻込みした。


アイコはミオに、自分にも何か欲しいなどとおどけてみせ、トシヤが戦々恐々と眼鏡を使用するのに注目しないように、意識を反らしてくれていた。

そんな妻に感謝し、決心を固めて眼鏡をかけた。


【芦屋トシヤ:47歳】

【状態:膵臓がん―――再発まで3年】

【余命:5年】


ひゅっ。と鋭く息を飲む。

血の気が引き、少し目眩がした。

多少ふらつき、ゆっくりと椅子を引き寄せて座る。


アイコとケンはそんな自分に気が付いたらしい。


「なぁ。病気とか一発で治す薬とかって持ってねぇか?」


ケンがミオに軽い調子を装いつつも訊ねる。


「ん?あるよ!」


簡単に答え、


「ほいっと。万能薬~!」


某猫型ロボットよろしく、薬を取り出す。


「ニキビの治療から重篤な病まで、何でも治しちゃう~。便秘も改善するし、皆で飲もうよ!」


さらっと4本、万能薬の入った瓶を出し、さっさと先に飲み干すミオ。


「美味しくなーい」


うぇっ、と口を押さえ、瓶を一振りすると消えた。アイテムボックスにしまったのだろう。


眼鏡でこの万能薬を鑑定した。


【万能薬:全ての病を治す】


実にシンプル。


トシヤは意を決して瓶の蓋を開け、グイっと万能薬を呷った。


直ぐ様、眼鏡で医療鑑定をする。


【芦屋トシヤ:47歳】

【状態:健康体】


(―――完治している・・・もう病魔に怯えることは無いのだ)


そう感動に打ち震えるトシヤを他所に、


「―――英語の授業は勝ち組じゃ~!」


思いの丈を叫ぶミオに背を向け、涙腺が決壊したトシヤは、そっと目元を拭った。

全ての病気に特効薬が出来る事を願います。

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