↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/35

2,家族の反応

理解のある家族、サイコーです。

ミオの意識が落ち、魔女の知識等の継承に入った時、ミオの身体の周囲には、この世界とは異なる言語が浮かび上がり環となった。

グルグルと廻る文字列の環が光を放ち、幻想的な様相を呈していた。


ミオは眼を開いてはいたが、明らかに虚空を見つめており、名を呼ぶ家族の声も届いてはいない。


「ミオちゃん!大丈夫!?」


「うわっ。マジかよ!」


母アイコと兄ケンが、オロオロとするなか、父トシヤがミオに手を伸ばすが、ミオの身体に触れることは出来ない。

光の文字列にすら触れず押し返される。

その時トシヤの脳裏には、ある言葉が思い浮かぶように届いた。


「おや。どうやらインストール中のようだよ。・・・危険はないようだね」


「インストールって何をだよ?」


「知識とアイテムボックスらしいね」


「・・・マジで?」


「お父さん、本当に大丈夫なのかしら。ミオちゃんは・・・?」


「ふむ。もうちょっと待ってみようか。というより待つよりないようだけどね」


オロオロする母、驚きを隠せない兄、心配しつつも目を反らさず、状況を判断しようとする父。

三者三様の姿がそこにはあり、それぞれがミオの身を案じていた。



―――1時間程経った頃、漸くその現象が終了する。

椅子に座り、微動だにしなかったミオが、パチパチと何度か瞬きを繰り返した後に言う。


「ケーキ食べなきゃ!!」


「心配させといてそれかよっ!」


ケンはスパーンとミオの頭を軽く叩く。


「それより優先させることは無い!!」


言い切るなりケーキを貪るように口に運ぶ。


「あ"ぁ~。現代日本サイコーぅ!」


魔女の記憶には、日本の食事よりも美味しいと思える品は無かったのだ。

ミオは幸せを文字通り噛み締めた。


「まあ問題も無さそうだし、話は後で聴くことにして、お母さんの手料理でも食べようか」


トシヤは苦笑いしつつも日常の行動を優先した。


「いやいや。呑気すぎんだろ、父さん。先に話し聴くべきじゃね?」


「あらあら。でもミオちゃんはお口いっぱいで話せる状態じゃあないわよ~」


リスのように頬を膨らませ、モキュモキュと食事するミオをチラリと見やり、アイコはフフっと微笑んだ。


「食事マナー悪ぃな・・・」


自分の好物ばかりを周りに引き寄せ、威嚇せんばかりに肩を張り、所有権を主張する妹にジト目を向ける。


「ハァ。しょーがねーな。ミオ!食べ終わったら、どーなってンのか教えろよ」


その言葉にミオはコクコクと頷く。

―――なんともマイペースな一家である。





「で?」


食事と皿洗いを終え、ケンがおもむろに問いかける。

トシヤとアイコも視線を向ける。


「前世が超絶チートな魔女だった!ヤバい!」


「ていっ!」


ケンはミオの脳天にチョップした。


「痛っ!分かってるって、これからキチンと話すし!!」


頭をガードし、兄を警戒しつつミオは思い出した記憶を語る。

―――それは異世界の存在から始まり、その世界の国々や人種、魔法の有無や魔道具や薬について。


「兄さん!ダンジョンもあるし!」


「マジで!?冒険者とかも居たりするのか!?」


「いる!」


「すげー!」


「ところでミオちゃん。前世は魔法使いだったんでしょう?今は使えるようになったのかしらぁ?」


アイコはワクワクしながら質問した。


「いえーす!」


その問いにミオは軽く答えると、右手人差し指を立てた。その指先には火が揺らめいている。


「おー!スゲーっっっ!!・・・でも手品でも出来そうなヤツだな」


驚嘆から一転、夢のないセリフをのたまう。


「分かりやすいのを使ったのに!」


プンプン!と擬音語がつきそうなほど拗ねるミオに、トシヤは苦笑いしつつ頭を撫でた。


「いや、すごいよ。・・・ところで、人の体調とか判る鑑定の魔法は無いのかい?」


「ん?鑑定もあるけど、体調チェックなら、医療診断(メディカルチェック)っていうのがあるよ?」


「お父さんでも使えるかい?」


「んー。魔法は使える人が少ないんだよ。異世界では魔術が主流でね、キチンと法則に乗っ取った呪文を唱えて発動させないといけないの。すごーく長い間勉強して覚えるみたいだよ?」


「あら、でもミオちゃんは、呪文を唱える魔術じゃなくて、魔法が使えたんでしょう?」


「うん。伝説の魔女だったからね」


「マジかぁ~」


ケンはズルい!と言わんばかりにミオの頬を掴み、グニグニと伸ばす。


「うぁー。やめれ~」


ペチペチと、ケンの手を叩きアウアウ言いながら抵抗するミオ。


「あ!でも魔道具があるよ!」


そしてアイテムボックスから眼鏡を取り出した。

唐突に現れたそれに驚く家族。


「ヤッパ手品っぽい」


ケンの呟きは無視。


「お父さん、これは医療診断と物品鑑定の魔法が付与されてるんだよ!これあげる!」


トシヤに渡すと、アイコとケンがソワソワとしだす。


「ねぇ。ミオちゃん。お母さんにも何か面白そうなのちょうだい?」


モジモジと言いづらそうにアイコが要求する。


ケンも、病気とか治す薬は無いか?と聞くので、万能薬をアイテムボックスから4本取り出し、1本を自分で飲む。栄養ドリンク感覚である。母には、


「じゃあ言語理解の魔法付与されてる指輪とか?これがあれば英語も字幕なしで解るという優れモノ!・・・って、あれ?」


ミオは唐突にある事実に思い至り、立ち上がって叫んだ。


「これがあれば、学校の英語の授業は勝ち組じゃーーー!!」


「ていっ!」


またしてもケンのチョップが炸裂した。


言語理解の指輪があったら、皆も叫ぶよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。