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23,アイテムドロップの条件

ダンジョンで魔物を倒すと霞となって消え、魔物素材や宝箱をドロップする。 そんな事は冒険者をしていれば当然の知識であり、よく目にする光景だ。


だがそのアイテムはある程度、手にする冒険者の想いが反映されるというのは、あまり知られていない。


例えば、身内に怪我や病にかかっている者がいればポーション類がドロップしやすくなり、強さを求めていれば武器が手に入りやすくなる。


だからミオは、ありったけの願いを込めて宝箱の蓋に手を置き、罠が無いのを確認した後に勢いよく開けた。


「収納腕輪(ストレージリング)来いっ!」


だが願い虚しく、中身は背負い型カバンだった。しかも幼児が好みそうな、まるでヌイグルミの様な見た目。

真っ白な毛なみに真っ赤な瞳のウサギ型リュック。

鑑定してみてもマジックアイテムではなく、只の可愛らしいだけの物だった。


「なんでだぁ~~~っっ」


ガックリと項垂れ、床に手と膝をつく。


(ウサギリュックなんて望んでないし!)


「ガハハハハッ!!残念だったなぁ!でも似合ってるぞ?」


そう言ってミオの頭をワシャワシャと手荒に撫でるのは、Aランク冒険者のガルウィン。


順調に進み地下へと潜って来たら、いつの間にか冒険者の高ランクが活動する階まで来たのだが、見た目が子供のミオを心配して、着いて来てくれている。


すぐそばにはガルウィンのパーティーメンバーのラルクとタイラーがいる。30代半ばの男性ばかりのパーティーで、ガルウィンは剣士、ラルクは弓士、タイラーは魔術師である。


ガルウィンだけでなく、他2人もミオの様子に苦笑いだ。




―――少し時は遡り、冒険者ギルドのグランドマスターであるベガとの対談を済ませ、冒険者登録をしたミオは、早速ロマリオ帝国の王都にあるダンジョンへと向かう。


フィルは冒険者登録に興味は無く、ミオの獣魔(ペット)同然の扱いとなっており、グランドマスターが愕然としていたのは見なかった事にした。

ミオとお揃いの腕輪をしている幼竜姿のフィルは、野生ドラゴンと間違われ無いハズだ。


ミオの手に入れたギルドカードに記載されているランクは、駆け出しのEランクの文字。


ちなみに未成年は10歳から冒険者ギルドに仮入会でき、見習いのFランクのギルドカードがもらえる。

食い扶持を稼ぐために、子供達が切磋琢磨して強くなろうと腕を磨きつつ、簡単な仕事を請け負っているようだ。

そして15歳の成人になれば本登録が可能となる。


帝国のダンジョンは高難易度と認定されてはいるが、浅い階層は比較的安全で、地下1階は動きのスローなスライムが出没するのみ。スライムは子供でも踏みつけるだけで倒せてしまうので、酸にさえ気をつければ何の心配もない。冒険者の初心者だけでなく、そこいらの主婦からも魔物扱いはされておらず、害虫と同レベルの存在だ。

1階は未成年のFランクが薬草採集をする場所であり、高ランカーは遠慮するのが公然たるマナーとなっているようだ。住み分けがキチンとなされている。


ミオはダンジョンに入って直ぐ、異変を感じた。


(魔素を上手く取り込めない?!これじゃあ魔法の発動がスムーズに出来ない!)


魔術師は自身の体内にある魔力を使い術を発動させるのに対して、魔法使いは自身の持つ魔力に加え、エターナリアの世界に存在する魔素を集めて自分の物として様々な現象を起こす。


ミオは前世のレイラであった時と違い、現在の魔力量はとても少ない。魔法を発動させるのには魔素を集めるのが効率的なのだが……。


日本では魔素そのものがエターナリアよりも少ないので、ミオが魔法を使うのは容易ではない。

このダンジョンはまるで日本に居る時のようだ。


(でも工夫次第だよね!)


見習いの子供達が薬草採集している横を抜け、ミオは地下2階へと進む。

そして3階へと下りる階段の近くのスペースで、虹色の宝玉のついた杖をアイテムボックスから出して構える。

思った通り、魔女レイラの魔力を結晶化させた宝玉がついた杖を使用すれば、普通に魔法が使えそうだ。


「魔素を集めにくい場所だけど、フィルは魔力量が多いから、ここでも活動に支障はないカンジ?」


「うん、大丈夫だよ!センセイはちょっと魔法を使うまでにタイムラグが発生しそうだね。でも僕が護るから安心してね!」


なんとも頼もしい言葉をかけてくれるフィルをギューっと抱きしめて、2人でニコニコしながらダンジョンを進む。


ゴブリンや芋虫、巨大な蛾などのキモい魔物は出来れば対峙したくないので、さっさと階を進む。

下の階層に進むにつれ、敵は強さを増していくが、ミオとフィルの敵では無かった。


地下10階までは石造りの通路が続き、迷宮のようになっていて、探査魔法を使わなければ迷子になって同じ所をグルグルと回っていたかも知れない。


そして10階の奥には、如何にもボス部屋然とした扉があった。


ミオは何の躊躇もせずに開け放つ。


「かかってこ~い!」


「おっ!センセイってばノリノリだね!」


中には所狭しと魔物が部屋いっぱいにぎゅうぎゅう詰めになっていた。いわゆるモンスターハウスというヤツだろうか。

1階からここに来るまでに会った種類の魔物が勢揃いだ。

スライムからオークまで、合計50体はいるだろうか。上位種はいないようで、初心者でも倒せる程度の敵しか見えない。

だがこの数は普通の駆け出しの初心者では捌き切れないだろう。あくまで、普(・)通(・)の(・)、であった場合だが。


まずはフィルが炎のブレスを吹いた。

軽い小手調べの様な先制攻撃ではあったが、ほぼ全ての敵が瀕死となった。


「フィル、もう終わりそうなんどけど……」


「あっ、ごめんね!手加減はしたつもりだったけどね?」


話をしている間に、火傷が原因で敵が全滅した。


光の粒子が部屋の中央にキラめいた。そしてそこに宝箱が出現した。


「フィルが倒したから開けていいよ。罠は無いみたい」


「ん?いいの?じゃあ開けるね~」


フィルが開けた宝箱をミオも覗き込む。そこにはポーション瓶が3個入っていた。


鑑定すると、初級回復薬が2個と、石化解除薬が1個だった。


「フィルは石化していたのがよっぽどトラウマなんだねぇ……私がついてるからもう大丈夫だよ」


ミオはフィルを抱き上げて頭を撫でる。薬瓶はフィルの空間収納魔法(アイテムボックス)に仕舞った。









のんびり投稿しております。

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