14,砂漠のオアシスを復活させろ! ~その3~
仔猫と人懐っこい子供の組み合わせは最強かも知れない。
今ミオは幸福感を満喫していた。
『みゃー、みゃーぅ!』と鳴く仔猫達が、砂漠の民の作法を真似て床に敷かれた絨毯の上で胡座を組んで座っているミオの背中や腕を登っていた。
ミオの膝の上には、3歳くらいの子供が潜り込んで来て、ちょこんと座っている。
さらに順番待ちの子供達が列を作っている。
夕食をご馳走してくれるというので、広場に用意された席についてすぐにこの状態である。
―――なんだこれ?
そうは思ったが、仔猫も子供も可愛くて、膝に乗って来る子供達を『ぎゅーっ』と声に出しながら抱きしめると、子供達ははしゃぎ『キャーッ』と嬉しそうな叫び声を上げた。
「何て強力なハニートラップなんだ…!」
ミオが呻いていると。
「いやいや。誰もトラップは仕掛けて無いからね?魔法使いにそんな事したら罪になるからねっ!?」
カシムは誤解を解こうと焦っている。
砂漠の町サヘリアルの代表であるハリソンはミオの隣に座り、その様子を温かい目で見守っている。
どうやらカシムはハリソンの息子らしく、あちこちで民に指示を出す立場のようだ。
カシムの采配により、着々と準備が整っていく。
改めてこの町を見回すと、砂漠の中の町ではあるが埃っぽさはなく、砂が舞うということも無い。
石造りと言うよりは、岩をくり貫いて作られたかのような、それでいてキチンと計測されて建てられたかのような、日本の集合住宅めいた建物が並んでいる。
色は白っぽく清潔そうであり、ダンジョン特有の薄明かりで照らされているため、地下でも何ら困る事はない。
300人ほど住んで居るようだが、例え今の10倍の人口になろうとも、住めるスペースはあるように見える。
ただ気になったのが・・・。
「ハリソン代表。この町に水源はあるんですか?」
「ほんの少量だけ出ている湧き水がありますが・・・あまり大きな声では申せませんが、充分とは言えない量ですね」
声をひそめて言う。住民に聞かれては不安にさせるからだろう。
次に、この砂漠に来た1番の目的について訊ねた。
「以前はこの辺にオアシスがあったと思いますが、今はどうなったか分かりますか?」
「50年ほど前までは、かなり大きなオアシスが存在したといわれておりますが徐々に消え、20年前には完全に消失したようです」
―――どうやら魔女レイラが他界する前から・・・おそらく体調を崩して魔力制御が儘ならなくなった事が原因で、オアシスが失われてしまったらしい。
新しい水路とオアシスを作るならば、生きている限り常に魔力を使って動かす方法ではなく、魔石などの核を設置して維持する方がいいだろう。
世界各地に散らばる魔女の遺産。
膨大な魔力があったからこそ常時発動が可能だった。
今は同じ事をしようとしても無理だ。
どうしたらいいか頭の中で計画を練っていると、カシムが思い出したように言った。
「そうそう。オアシスのあったとされる場所は、今日サンドスコーピオンに襲われた場所だよ」
「えっ?もしかして水源を魔物が占領している可能性がある?」
水路が地下で壊され、それの場所で魔物が繁殖しているとしたら・・・。
どうやら、消えてしまったオアシスの水路のかわりに、最初から新しく作ってしまえばいい、という単純な作業では済まなそうだ。
「あぁ。魔物退治からかあ~・・・」
思わず考えが口から出た。
ハリソンとカシムは驚いている。
「討伐して、下さるのですか?」
「魔法使いを利用することは禁じられているんでしょ。でもね、自発的に動くのは問題ないんでしょう?」
そして、ミオの目的を話した。
「もともと砂漠には、オアシスの確認に来たんだよ。消えてるなら復活させないとね!」
ミオは仁王立ちをして、不敵に笑ってみせた。
ようやくオアシスについて確認が取れました。




