11,予定は未定。旅行はさっそく自由行動時間です。
芦屋家は自由人の集まりです。
異世界に来たら、トシヤの前世の故郷である国へ行こうと考えていた芦屋家の面々であったが、ダンジョンの住人一同から反対された。
「ケンと握手した時に思ったが、信じられないくらいに柔い手だったぞ?全然鍛えてもいなければ、戦う心構えも出来ていない。あれでは直ぐに怪我をしてしまう」
トールは心配して、ある程度ここで護身術を学ぶべきだと言う。
「ダンジョンの外に出る場合には、モチロン護衛をつける。身の安全は確保するが、コッチの世界の一般常識と戦いの心構えは学んでおいたほうがいいと思うぜ!?」
「我ら鬼人族もトール殿と共に、ケン殿の補佐を致したく・・・」
「あのあの!ボクもケン様の護衛に加えてほしいのデス!」
そう頭を下げるのは、鬼人族のヒューゴと鼠族のテトだ。
「あれ?いつの間にそんなに仲が良くなったの?でもまぁ、コッチの知識が足りてないのは確かだよね。んー、どうする?」
ミオは家族に意見を求めた。
「一般常識の知識習得はともかく、付け焼き刃で戦闘訓練しても身につくか判らないね。『生兵法は大怪我のもと』って言うからね」
「アタシはアクアちゃんとフィオーレちゃんと一緒に、お料理をする約束をしているのよ。ちょっと皆とは別行動になるわ~」
トシヤは戦いの技術は直ぐには身に付かないと分かっているため、渋っている。
アイコはどこまでもマイペースだ。
問題はやはりケンだろう。
「んー。俺はちょっとは護身術を教えてもらうよ。まぁ現代日本人は戦いには向かないとわかってるけどさ。心構えはヤッパ必要だと思うし」
「ケンが決めたのなら尊重するよ。あー、あとボクは魔女レイラの図書館の蔵書を読ませてもらいたいなぁ」
トシヤは図書館の場所を教えてもらってから、ずっとソワソワとしている。
魔術師だった前世を持つものとしては、宝の山に等しいのだろう。
「じゃあ今回は別行動をしよう!1週間位?」
「んー。とりあえずは3日したら集合しようか。ミオは何をするんだい?」
「1人で外を見て来る!」
「は?ナニ言ってんだよ。魔力が少ないから、前世とは同じことは出来ねぇって自分で分かってんだろ!?」
「ふっふーん。いつまでも足踏みはしていない!コレを作った!」
ミオは両手に虹色に煌めく宝玉が付いたリングを装着していた。
ついでに杖にも宝玉がついている。
「これには魔力増幅効果だけじゃなく、護身のための結界とか、たくさん機能を付与してあるの」
「あらミオちゃん。両手のリングについてるのは小さいけど、杖についているのと同じく、ダンジョンも創れるっていう品じゃあなかったかしらぁ?」
「そう!魔力はこれで心配ナシ!」
トシヤは頭痛がする、と言いたげな様子で、右手で頭を押さえている。なるほど、それは最強・・・いや、最凶だ!と思いながら。
「マザー・・・いえ、ミオ様。1人での外出はどうかと思います。自分もお供させて下さい」
イグニスはミオを1人で行動させるのは不安のようだ。
「ミオ様だなんて他人行儀だなぁ。ミオって呼んでね。皆もね!」
ミオは、魔女レイラとは明らかに違う人格、日本人としてのアイデンティティーを持って、ダンジョンの面々と接していた。
一同はそれを寂しいと思う反面、以前は感情を揺らす事無く淡々とした物言いばかりだったため、元気イッパイのミオを微笑ましくも思っていた。
「イグニスはダンジョンの管理者統括だからね!任せたよ!」
ギューっと抱きつき、背中をポンポンしてから離れた。
「アクアとフィオーレはお母さんをヨロシクねっ。クレイはお父さんの護衛。トールは兄さんと特訓するのかな?皆、私の家族をお願いね!」
融機人の5人にそれぞれ指示を出すミオ。
それに対して5人は頭を下げ、恭順の意を表するのだった。
★の評価をして下さった方々に、この場をお借りして感謝申し上げます!ありがとうございます!




