第四王女殿下が来るらしい
一度最後まで書いていざ保存て時に、システムエラーで全部なかったことになりましたorz
自分が灰になる瞬間を味わいました……。
こまめな保存!大事!
「第四王女殿下が来ます」
「だいよ……デリル王国の?」
「そう」
「ルシウス様に一目惚れしてその場でプロポーズして、求婚の準備の為に帰国してたリリーシア王女殿下?」
「詳しいね……」
膨らんだお腹を撫でつつ、元気のない声でルシウス様が報告する。
散々騒いだヴィンスがトラキオンへ戻り、妊娠期間の折り返しになっても、相変わらずの撫でっぷりにくっつきっぷりだ。
最近は、両立させるためにバックハグがお気に入り。
「求婚します?」
「しません。させません」
「でもその為に帰国されたんですよね?」
「今や立派な既婚者だから!」
顔は見えないが、ドヤァとしてるのは分かる。
うちの旦那様は単純でカワユイ。
「既婚者どころか、子持ちですもんね」
「さすがに口出しは出来ないよ」
「史上稀に見るサイアクな振られ方ですよね」
「サイアクて……」
いやホント。
婚約者のいないフリーな独身男性への求婚準備で一年離れてる間に、婚約しました!結婚しました!妊娠させました!とか畳み掛けて報告が来たら、普通立ち直れない。
でも、また来るってことは普通じゃないのか?
「第四王女殿下のお顔を知らないんですけど、可愛いんですか?」
「さあ」
「さあとは」
「初対面は衝撃が大きくて覚えてないし、その後も全力で逃げ捲ったから見てない。関わるのが嫌で肖像画も視界に入れてないし、噂も聞かない」
「うわぁ……」
ルシウス様の本気拒絶モードは、存在すら抹消するらしい。怖。
「それでね、ミュー。殿下の滞在中は登城しないでおこうかと思って」
「極端」
「ミューも安定期に入ったから少し外出出来るでしょう?グリフィスくらいならゆっくり向かえば問題ないって医師も言ってたから、一緒に里帰りするのはどうかな。なんならあちらで出産するのもありかと」
ウキウキで提案された。
あちらで出産って、どれだけ滞在する気なの?
その間王城の仕事はーー根回し済みか。
なんだかんだ、仕事は出来る旦那様だし。
だがしかし。
「王女殿下はいつ頃いらっしゃるんですか?」
「来月」
「来月中旬、王太子妃殿下のお茶会に呼ばれてます」
「うえ?!」
耳元で大きい声を出されて顔を顰めると、ルシウス様が慌てた。
「ごめんミュー、大きな声が出た。でもお茶会?来月?」
「先日の妊娠お披露目の後に招待状が来たんです。まだ先のことだから報告してませんでした。まさかルゥが壮大な計画を立てるとは思いもよらず」
「えー、えー……ミュー、それ出なきゃダメ?」
「参加者はお義姉様とマリーと」
「うん分かった。送り迎えはするから!」
「第四王女殿下がいますよ?」
「ミューの安全の方が大事!」
妊娠期間中に覚えた力加減で、抱き締められる。
下手したら、そのお茶会に第四王女殿下も参加するんじゃないかなー、と予測しつつ。
先日の夜会のことを思い返してた。
◇◇◇◇◇◇◇
アイゼンバーグ公爵家、次期公爵夫人ご懐妊!
王宮夜会でお披露目をされた時。
膨らんだお腹に合わせて調整された紫のドレスを着て、「僕の色だ……!」とウットリする旦那様を隣に侍らせて、私が注目していたのは……
驚愕に目を見開く第二王子殿下。
もう、心の中で大爆笑。
なにせ最後の最後まで蚊帳の外だったのだ。
ジェイデン様には途中で伝えられたと言うのに。
発表に驚き、隣のマリーに目を向けると平然と拍手をしてることに「え?」となり。
反対側の王太子殿下夫妻を見て、こちらもにこやかに拍手されてる姿に「ええ?」となり。
マナー違反ながら壇上の陛下ご夫妻を振り仰いで、うんうん頷いてることにようやく自分だけ知らされなかったと気付いたらしい。
ものすごくショックを受けていた。
ある種のイジメのようだが、口の軽さが招いた結果だ。
この機会に改善しないと、マリーの妊娠も隠されるよ?
顔色悪く社交を終わらせた後、王族の控室でご家族に「なんで私だけに黙ってたんだ!」と叫んだらしい。
マリー「日頃の行いです」
ヴィンセント様「日頃の行いだな」
王太子妃殿下「日頃の行いってもんですよ」
王妃陛下「日頃の行いが悪いのです」
国王陛下「日頃の行いによるんだぞ」
ジェイデン様にまで「殿下……申し訳ございません。ですが、皆様に『日頃の行いが悪い』と言われてしまうと、ご報告出来ず……」と謝られたそうだ。
別にジェイデン様は悪くないと思うけど。
主に隠し事してたのは心苦しいんでしょうね。
従者の鑑だね!
◇◇◇◇◇◇◇
「そう言えば、ヒムロからもお祝いが届きました」
「第三王子殿下?まだ学生でしょう?」
「未成年なので知らせが遅くなったんですが。『姉のようなミューの子どもは、俺にとっては弟だな!』とのメッセージ付でした」
「……うちの子に王族の兄弟はいません。あと、男の子とも決まってないけど」
「姉の子は弟ではないと、教え込むところからでしょうか」
「王族教育とは……」
「カリキュラムの見直しが必要ですね」
「そこは言及しないでおこう。何を頂いたの?」
「……体の素を補給する錠剤です」
「うん?何それ」
「グリフィスと辺境伯家の共同出資で作られた、騎士団や傭兵が鍛える為に飲む薬ですね」
「辺境伯家とも商売してたの?」
「稼げそうなところへならどこにでも誰でも向かいますから」
「本当に商魂逞しいね……。騎士や傭兵が飲む薬って、妊婦にも効くの?」
「どうでしょう……妊婦が服用する想定で作ってないですよ。害はないと思いますが」
「やめとこう」
「ちなみに1箱30個入りを3箱送られました」
「どれだけミューを鍛えさせたいんだ?!」
「あの子は加減てもんを覚えないので。『出産は大変らしいからな!これを飲んでミューも元気になれ!』と、使いの者からの伝言です」
「ええぇぇ」
「とりあえず1個くらいなら問題ないと思うので、あとは騎士たちに配りましょう。ヒムロはそれで満足します」
「ならいいけど。それ、飲んだら逞しくなるの?」
「あくまで鍛える補助としての役割ですけどね。飲むのと飲まないのとでは効果が違います」
「ミューが飲んでも逞しくなる?」
「辺境伯当主様並みには」
「嘘ォッ!?」
「嘘です。なりません」
「怖い想像させないで!」




