表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
年輪はまだ柔らかい  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/90

第二幕|裂土の視覚

霧が完全に途切れたところで、地面の様子が変わった。


色が抜けている。


灰白色。


生命の痕跡はあるのに、艶がない。


地面は深く割れている。


表面だけではない。

指が入るほどの亀裂が、幾重にも走っている。


だが、それは円を描かない。


放射状でもなく、同心でもない。


中心を持たない線。


不規則な線の集合。


偶然のようでいて、

どこか意志的に円を拒んでいる形。


ケインは膝をつく。


ズボンの布が、乾いた音を立てる。


手を伸ばし、地面に触れる。


土は粉状だった。


握ると、すぐ崩れる。


まとまらない。


指を開いても、艶が残らない。


湿りも、粘りもない。


彼は試しに、懐から小さな円片を取り出す。


甘い匂いが、わずかに立つ。


それを地面に押しつける。


付着しない。


甘さが移らない。


土は受け取らない。


匂いも広がらない。


風が吹き、粉が舞う。


円は孤立したまま、地面の上にある。


ナレーションが落ちる。


ここでは、整わない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ