表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
年輪はまだ柔らかい  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/90

第六章「乾燥地帯の発見」第一幕|霧の終端

甘い霧は、ゆっくりと薄くなっていった。

足元の石畳に濃度が落ち、歩くたびに音が鋭く響く。

靴底が高い音を立て、乾いた空気に反射する。


ケインは息を吸った。

肺が軽くなる。

湿った城の中とは違う。

胸の奥が、静かに落ち着く。


そして気づく。

匂いが、残らない。


振り返れば、城門の向こうに残った白い霧だけが、かすかに漂う。

そこに甘さは濃いままだ。


だが前方は、灰色。

空気は乾き、光は薄く揺れる。

風が霧を流す。

匂いも、霧とともに運ばれていく。


歩みを進めるたびに、背後と前方の差が広がる。

甘さは後ろに置き去り。

前にあるのは、未知の乾燥。


ケインは、ただ一歩、また一歩と踏み出す。

湿度の断層の中で、直線だけがはっきりと存在している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ