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9 Avus

 しろがねと葵が帰った日の夕方。

 白咲は青柳あおやぎに電話をかけていた。

『あ、もしもし〜?爺ちゃん?何?誰って、僕だよ、僕!え!?何!?オレオレ詐欺!?』

 青柳との電話はいつもこうだ。

 青柳はとにかくボケまくる。

 今回は、白咲が電話をかけると

『儂はお前に用事などない!……で、何の用事じゃ?』

 と聞いてきた。

 それに加え、

『僕だよ、僕!ってお前、今流行(はや)りのオレオレ詐欺ってヤツか?』

 と言ってきた。

 流行はやってなどいないし、半年〜一年ほど前の方が話題になっていた気がする。

『ふざけないでよ!僕、今回は真面目な話があるんだよ。爺ちゃん、望遠鏡持ってったでしょ?あれ、もう開封しちゃった?』

『ん?まだ開けてないぞ?何かあるのか?』

『それ、銀が葵ちゃんの為に買ったプレゼントなんだよね。返しといてくれる?』

『なんで止めんかったんじゃ!それを早く言わんかい!』

 青柳は、政府に追われる銀を白咲を育てながらも一人で守ってきた男だ。

 年老いていても、調子の良い話し方でも、青柳が強いという事実に、変わりはない。

 そして今も、銀と葵を裏から支えている。

 政府が都合のいいように銀を使わない――――否、使えないのは青柳が原因だった。

『爺ちゃん、僕止めたよ。爺ちゃんが聞かなかったんだよ』

『そうかい、そうかい!ま、返しとこうかのぉ。この老いぼれにものを頼むとは、残酷な奴じゃ。爺ちゃん、そんな子に育てた覚えはないんだがのぉ』

 普段、銀や深雪を困らせている白咲を困らせられるのは、青柳ぐらいだ。

 無に近かった白咲に色をつけたのは青柳。

 白咲の性格がこうなったのは青柳の所為かもしれない。

『あーハイハイ。ごめんなさいねぇ!兎に角、連絡しといてよ!』

 ガチャっと一方的に電話を切る。

 ストレスが溜まった訳ではないが、自然にため息がこぼれた。

Avus=祖父

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