表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/15

10 Memoria

「そうか。これは葵のじゃったか…… あいつも成長したもんじゃな」

 山奥にひっそりと佇む家に一人、老人がいた。

 弱々しく見える老人が受話器を置き、家の外に出ると、スーツを着た優しそうな男が立っていた。

 ニコニコと微笑みあう二人を包んでいる空気は異様。

 次の瞬間、優しそうな男の瞳孔がカッと開き、老人を殴りにかかった。

 老人は笑顔で右腕を動かす。

 倒れたのは、スーツの男だった。



  * * *



「……行かないで。置いて、行かないで…… 銀さんどこ!?銀さん!?」

 銀が荷物を取りに行き、一人になっただけでこの有様だ。

 年齢は十五歳。だが、精神的な意味で、十五歳の平均と比べると圧倒的に弱い。

 誰にでもある恐怖。

 葵の場合、それは記憶だった。

 捨てたくても捨てられない、頭にこびりついている忌々しい記憶。

 捨てられた時の記憶、拾われるまでの記憶、拾われてからの記憶。

 葵の根本的な成長を止めているのは、これら全て。

 銀や青柳は約七年間、成長させようと出来る限りのことはしてきた。

 そして、葵は成長したかに見えた。

「葵、葵。俺はここだ。どこにも行かない。捨てたりしない。だから落ち着け」

 本当は、安心しろと言ってやりたい。

 しかし、銀はいつ消されるか分からない。

「俺はこの手を離さないから」



 俺は(・・)この手を離さない。

 言い換えると、“俺が自分から、この手を離すことは決してない。”

Memoria=記憶


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ