狂王戦(1)
「狂鬼ぃ」
「させないです」
「!!!!!」
狂鬼招来を使う素振りを見せたヴァンだったがスキルを発動する前に後ろに移動していたミーシャから攻撃され発動出来なかった。
(こいつどこから出てきた!全く気づかなかっただと!)
「大物ばっかり見てるからですよ」
ミーシャがあれだけの強さを持つヴァンの背後に入ることが出来たのはアサシンのスキル隠密によるものだった。
隠密。アサシンに必ずあるスキル。その名の通り敵から自分の姿を消す能力である。その条件は標的にした相手には気配や 魔力を0にして近づくようになるということだ。こうすることで攻撃時以外は反応することが出来なくなるのだ。そして、またミーシャは隠密を使い姿を消す。
「なるほどなぁお前アサシンか。なら・・・・」
先ほどの動揺がなかったかのように赤黒い剣を持ち替えるヴァンは、
「全部切ればいいよな?」
邪悪に笑う。そして、消えた場所にすぐに飛び込む。
「!!」
突きのかまえをするヴァンから逃げようとするミーシャ。しかしヴァンの剣は素早くミーシャを
「サンダーボルト」
「ぐう!!!!!!」
貫くことはできなかった。貫こうとした瞬間ヴァンの体に電撃が走る。しかし、ヴァンは倒れない。
「狂鬼招来してないのにそのタフさ嫌なんだけど・・・・」
その電撃を放ったクレアは苦笑いしてつぶやく。その姿は魔族の姿になっている。
「・・・今度は魔族だと・・・面白いなぁ!!」
「だからさせないです」
ヴァンは叫び痺れている体を動かしクレアの方に行こうとするが、ミーシャに阻まれる。
「・・・お前、アサシンじゃなかったか?」
ヴァンが不思議そうにしている。それもそのはず。ミーシャの服装がガラリと変わっていた。その姿は剣士に近かった。
「さあて、それはどうでしょうか?」
「そこをどけえええええええええええ。俺は『魔王の娘』と遊ぶんだからよお!!!!」
「もうそれはできないわ」
「なんだと・・・?」
ヴァンはそういうクレアの後ろに
「極大魔法」
闇を放つ魔王の娘を見てしまった。
(よくわからないがあれはよけないとまずいよなあ!!!)
即座にヴァンは射程内から離脱しようとするが、
「ライトニングタワー!」
「!!!!!!!!なああああ????!」
また、雷がヴァンを襲う。
(おいおい、魔族女は前にいるだろうが、じゃあ、いったい誰が!!!!)
後ろを振り返ると、そこには
(は?)
魔法使いの格好をしている女獣人が立っていた。
(どういうことだ?あいつアサシンか剣士じゃないのか??)
《偽装》を知らないヴァンは困惑を隠せず、雷で動けない。
「終わり」
そして。黒い柱が、
「『断絶する闇』」
狂王を飲み込む。




