登場
「・・・あ・・・れ?」
ミーシャはもうろうとする意識の中で自分の身には何も起きていないことに気づいた。そして、襲ってきたゴブリンの方を見るとそこには
「てめええええええええ!俺の仲間になにしてやがんだああああああああああ!!!!!!」
この何週間一緒にいた背中に見慣れた剣を背負う剣士がゴブリンの首に膝蹴りを入れていた。鈍い音とともに壊れたのはミーシャの身体ではなく、ゴブリンの首の骨が折れた音だったのだ。剣士は目の前のゴブリンを倒すとこちらによって来るゴブリンに突っ込んでいった。
「ハ・・・ル・・・さん?」
「・・・もー先にあれだけ行くなって言ったのに・・・」
ミーシャが今の状況に困惑していると横にはクレアが呆れたように言った。
「え・・・く、くれ・・・あさん?」
「あーいいよ、ミーちゃん。今から治療するから喋らない方がいいよ?ハイヒール」
そう言ってクレアはミーシャの頭に手を置いてをかけ始めた。お玉から出ていた血はみるみると止まっていく。
「な、なんでここに・・・」
「だから喋んない方がいいよー?血が足りないのは治せないからねー・・・あ、ちなみにここに来れたのはイシュのおかげだよ。ふあー本当に猫耳だあ」
「い、いや、そういう意味ではなくて・・・ん」
「んー?」
ミーシャはクレアに猫耳をいじられてくすぐったいような顔をしながらも困惑していた。
「・・・私手紙置いていきましたよね?」
「うん」
「じゃあ、なんで!来てるんですか!私はあなたたちをだましていたんですよ!」
ふらふらとする頭で必死にそう告げるミーシャ。ミーシャは、自分がしようとしたことを手紙に残してホームに置いてきたのだ。しかし、クレアから出た言葉は、
「もうあなたは仲間だからかな」
「え・・・?」
困惑しているミーシャにゆっくりと告げる。
「どんなに嘘ついてたとしても、もうこの数週間で私たちはあなたを仲間だと思ってしまったの。そうしたら、もう助けるしかないってね」
「・・・また、だますかもしれないとしても?」
「そんなことするの?」
「それは・・・」
「ほらしない。それにわざわざ手紙残していくような人がだまそうとしたり、またしようと思うの?」
ニコニコとクレアはハイヒールをかけながら言う。その後ろにはまたゴブリンが寄ってきている。
「クレアさん!後ろ!!」
「ふふ、ほらやっぱり私たちの事大事にしてくれてる」
「そんなこと言ってる場合じゃ!」
「大丈夫よ」
焦るミーシャにクレアはゴーレム戦の時のような顔で平然としていた。
「ボルカニックタワー」
「まあ、今回はハル君じゃないけどね」
抑揚のない声で唱えられた魔法によって周りにいたゴブリンは炎の柱に飲みこまれていた。アリスは残っているゴブリンを切り刻むとミーシャ達の方に来た。そして、アリスはミーシャを見つめる。
「アリスさん・・・」
びくびくとしてしまうミーシャであったが、アリスから出た言葉は、
「どこに隠し待っていたか教えてもらう」
「え・・・?」
「胸」
「・・・」
「行ってくる」
「いってらっしゃい!」
そう言ってアリスは残っているゴブリンに向かっていった。
「ね?なんも気にしてないでしょ?」
「・・・・」
ミーシャは呆気にとられるしかなかった。もうわけがわからなかった。いままで関わってきた違う人たち。優しすぎてどうにもならない。でも、ミーシャには一つだけ聞きたいことができた。
「クレアさん」
「なんだい?ミーちゃん?」
握りしめた手が震えるのを感じながらも聞かずにいられなかった。涙目にながらも拒否されとかもという不安感にかられながらも聞かずにはいられなかった。
「私を仲間に入れてくれませんか!」
その言葉に一瞬きょとんとしていたクレアだったが、
「もちろんいいよ!!ようこそ!!!チーム・安らぎの宿木へ!!!」
「はい!!!!!」
「ふふ、いい返事。さてと!!!」
クレアはミーシャの返事を聞くと立ち上がる。そして、大きく息を吸い、言った。
「聞こえたあああああああ????!!!!!ハル君!!!!アリス!!!!!!!!」
「「もちろん!!!」」
「ならよし!!!ではでは!!!それでは!!!!」
「「「キングゴブリン2体・・・・ぶっ飛ばす!!!!!」」」
――――――まだたった4人だけのチームがゴブリンの王に挑む。戦いの始まりだった。




