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不安と信頼

 

「ステータス・・・ですか?」


 その言葉を聞いたハルはまた不思議そうな顔をしていた。それもそのはずだ。自分の噂を知っていながら優しく接していたアリスが急にステータスを見せてほしいなんて言うなんて違和感がある。しかし、アリスの目は本気であった。


「急にどうしてですか?」


「ハルは1番最初以外ステータスを見た?」


「・・・それは」


 そう、あれ以来ステータスを見るのが怖くなって見ることができていなかったのだ。また、あの0の数字を見せつけられるだけではないかと思ったからだ。


「ハルだって違和感には気づいているんでしょ?」


「!」


 その通りであった。エンチャント[戦姫の加護]を受けた時、絶対に負けないような気分がしたことをハルは感じていた。そして、自分のあの戦い。あの初戦とは比べモノとはならないくらいくらいの速さで駆け抜けてあっさりとゴブリンを斬り倒してしまった。しかも、無傷でだ。違和感を覚えないものがいたらおかしいくらいであった。


「前に進んでいるか確かめるためにはステータスを見ることもしないといけないことは分かっているでしょ」


「アリス・・・」


「私は君のステータスをみてあんな奴らと同じようなことはしないだから・・・」


 ハルはその瞬間アリスの手が震えているのに気付いた。アリスも不安なのだ。ハルに嫌われるかもしれないと。あれだけ聞かないと言っていたのに聞いてしまっている自分に対してアリスも震えているんだということも分かった。しかし、それでも聞こうとする。それはなぜか・・・・すべてはハルが前に進むために。


(こんなになっても僕の事を信じて心配してくれているなんて・・・)


 その震える手と表情を見てハルは決心した。


「わかりました」


「ハル?」


「ステータスを見せます僕も怖いけど前に進まないといけないことはよくわかってます。そして」


 ハルは決心の言葉を口にした。


「アリスを信じたいんだ」


「ふえっ!」


 その言葉を聞いた途端アリスはいつも(ハルが気づいていないときにはよくやるが)とは違う顔を真っ赤にしていた。


「アリス?」


「はい!じゃな、くてう、うん。ありがとう・・・ハル///」


「いえ、僕も頑張ってみたいので」


「じゃあ・・・」


「はい。あ、でもここだといろんな人が・・・」


「あ・・・」


 こんな話をしている間に色々なダンジョン攻略者が集まってきている。それもしょうがないことなのだ。初心者のような装備をしている男、いや、まさに初心者が光をまとったと思えばゴブリン数十匹を一瞬で片づけてしまったのだ。誰なのかどこのチームか気になってしまう。


「どうしよう・・・」


「いったん戻りますか?」


「それもそうだね・・・クレアにもあとで見せるつもりだったでしょ?」


「もちろんです。というかアリスだけに見せたとなると・・・」


「そうよね・・・」


 二人ともクレアのお説教タイムを思い出してしまった。


「じゃあ、戻りましょう」


「周りはどうしましょうか」


「・・・駆け抜ける」


「・・・え?」






 ガッシ!!!!!!!!!!!!






 最初何が起きたかわからなかったが腕をアリスに掴まれたと思ったら次の瞬間、


「エンチャント[戦姫の加護]、エンチャント[疾風演武]」


 周りが止まって見えていた。


「これって・・・」


「エンチャント[疾風演武]、5分間ステータスの俊敏性が2倍になる」


(2倍ってことは・・・今アリス俊敏性3万越え???!いや、エンチャント[戦姫の加護]がついいてるからもっとなのか・・・)


 規格外過ぎるアリスの魔法に感心しながらもハルはこんなことを思っていた。





(やっぱ、ステータス見せるって言ったの早まったかな・・・)






 ちょっとヘタレになるハルであった。




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