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2-1 猛威を振るうヒューマン・イーター

 ヒューマン・イーター。五年前に全世界に宣戦布告をしたその組織はこの短い時間で途方もない被害をこの国にもたらし続けてきた。今では立派な国賊として扱われ、王都を含む都心部ではすっかり忌むべきものとして扱われていた。都心部以外の田舎からも嫌われており、その度合いは都心部を凌駕するのではないかと言われるほどだった。それほどまでに彼らが犯してきた罪は大きいのだ。



 初めて現れたときは一般人はともかく特人たちはとくに注目していなかった。エクスは知る者ぞ知る裏社会の便利屋。国にとっての目の上のたんこぶだ。特人の方も存在自体は知っていても、巧妙に隠れていたことでその全貌までは掴めていなかった。それを潰されたところでメリットしかなかったし、テレビでの宣戦布告も単なる大言壮語としてスルーしていた。

 それからもしばらくの間は無視し続けていた。彼らが襲撃していたのは王都から離れた田舎ばかり。そんなところをいくつか潰されても多少税収が減るくらいで痛くもかゆくもなかった。何せ、国の税収の九割九分九厘は王都とその周辺で賄われているのだ。法も統治もない田舎を壊滅させられたところで、だから何だという話だ。

 それどころか彼らは国にとって都合の悪い者たちや犯罪者を始末してくれるので上層部の中には彼らを救世主としてみる者すらいた。



 無視できなくなってきたのは三年前に起こった『アウト・オーダー』との小競り合いだ。ヒューマン・イーターの首領、キング・アウトバンドはアウト・オーダーの幹部であるサイナウス・アベステを殺した。そこまではよかった。問題はその後だ。何とキングはその渦中にあった港町・サウザンを占領してしまったのだ。これは国にとって大損害だった。何せ、他にも港はあるとはいえ、この港近辺では他では獲れない高級な魚を獲ることができる。これができなくなるのは経済にも税収にも大きく影響する。

 それから何度かサウザンを取り戻すために兵を向かわせたが、いずれも失敗に終わった。この時、ようやく国はヒューマン・イーターを敵として認識したのだ。



 けれど、それから国がキングたちヒューマン・イーターにできたことは何もない。何せ、彼らの拠点はおろかどれほどの規模の組織なのかすら明確に分かっていないのだ。分かっているのは人に対して敵意を持っているだけあって、数多くのモンスターを配下に入れているということだ。それすらサウザンを占領され、本格的に彼らを調査したことで判明したことだ。



 あまりにも彼らを軽視しすぎていた。そのツケが回ってきたのだ。一時期は十騎士が出撃する案も出たほどだが、モンスターへの対応に追われてしまい、不可能だった。



 そもそも、十騎士が出撃できたところで敵の本拠地が分からなければ意味がない。それに加えて、ヒューマン・イーターは神出鬼没でこの国のあらゆる地に時間も距離も無視して出現する。これを予想するのは手練れの占い師でも不可能だ。それ以前にこの広大な国に対して、支配者を含む上層階級の数があまりに少なすぎる。人手がまるで足りていない。だから、こうもやすやすと手玉に取られてしまうのだ。



 いずれにしても、人にモンスを止める手立てはない。彼は人以外に真に愛された傑物だ。それを止めることなどできはしない。そして、十五歳になったモンスは新たな場を狩りの場として選んだ。

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