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マグノリア王国サイドストーリー  作者: 麻生あきら
宵の明星

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04 不実

 夜が明けたら消えていた、自分たちの神。

 元老院の連中は嘆き悲しんだ。

 ステファンは崩れ落ち、空を見上げている。


 ルシアだけが笑っていた。


 


 彼のダミーアンドロイドが玉座に座っている。

 隣には側妃。

 そして二人の子供の王子ウェスペル。

 何故か王妃は執務室から出てこなくなった。


 


 突然ルシアは金の髪の男と結婚した。

 長い間彼女の助手をしていたらしい。


 彼にどことなく似ている。

 そんな男がいた覚えはない。

 夫となった男は訝しむ僕にこう言った。


「妻の為なら何でもします。⋯⋯この顔さえも」


 同じ頃、ルシアが身籠った。

 時を経て、金の髪と青紫の瞳を持つ男児が産まれた。

 みな一様に納得した。

 いつ、どうやって、それを入手したのかを。


 それでも誰もルシアを責めなかった。

 ──それは、彼の姿の写し。

 自分たちが一番欲しいもの。

 偶像が欲しかったんだろう。


 


 ウェスペル王子が成人し、『内務』ガルシアの娘を娶った。

 順番。爵位の高い順。そう決まった。

 次は『財務』。


『平等であれ』

 牽制しあった結果生まれた理念。


 はは、彼から見たら我らは全部ただの『情報』だったのに。

 気づいてなかったのかい?

 馬鹿な連中だ。


 


 ダミーアンドロイドの王を退位させ、王子に戴冠させる準備をしなければ。

 ルシアがハルトを目覚めさせた。

 彼から言付かっているとか。


 ハルトとルシアが執務室から王妃を連れ出した。

 具合が良くない、星船で療養させると言って。


 王妃は我々にとって、忌々しい存在だった。

 彼の執着など見ていて不愉快だった。

 元々ハルトと王妃は婚約者同士だった。

 いなくなっても何も問題ない。


 


 王子が戴冠し、第二代国王になった。

 彼のために作った月桂樹の王冠。

 面差しを受け継いだ姿が美しかった。


 第二代国王ウェスペル。

 戴冠の儀の後に様子がおかしくなった。

 私室から出てこない。


 ハルトとルシアが深刻な顔で話し合っている。

「私が何とかするから」

 ルシアはハルトを再び星船へ追いやった。


 


 それにしても、何故ハルトは星船で冷凍睡眠しているんだ?

 今になって急に疑問に思う。

 彼から何か託されている⋯⋯?


 誰もがハルトの存在を忘れていた。

 王妃もハルトもみなにとっては、ただのノイズ。

 邪魔なだけだったから。


 急ぎ大神殿へ出向いた。

 ハルト、⋯⋯によく似たアンドロイドが告げる。

「マスターはお休みになりました」

 理由を聞くが、「回答不能」の一言で終わった。


 


 しばらくするとウェスペルは正気を取り戻し、執務に就いた。

 子が生まれ、盤石な御代となった。


 ウェスペルとルシアの子。

 並ぶと兄弟のよう。


 みな眩しそうに彼らを見つめた。

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