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【三章後日談連載中】「嫌なら嫌と言いなさい」~公爵令嬢に転生した三十路素人童貞、紳士の心得で百合ハーレム築いたら優越的地位の濫用で訴えられる~  作者: 無屁吉
【第2章】TS追放令嬢修道院無双百合ざまぁ(えちちは控えめ?)

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最終話「嫌だなんて言うわけないじゃない」

 ■


 ヴィオラは幸せの絶頂にいた。毎日が薔薇色だった。


 ――いや、百合色か?


 なんて、一人で突っ込むくらいには、浮かれてご機嫌だった。


「ヴィオラさん、この頃、前にも増して精力的に励んでるわねえ。何かいいことでもあったのかしら?」

「シスター・アリサ、わかりますか?」


 持ち込まれた薬草の選別を行いながら、ヴィオラはアリサの問いに答える。


「そりゃあ、楽しそうにしてるし、わかるわよ。それに、お肌のツヤもいいんじゃない?」

「うふふ、ありがとうございます」


 褒められてつい、自分の顔に触れた。あの日のエルザの温もりを思い出し、頬に熱を帯びたのを感じる。


 ――昨夜のエルザ先輩も、素敵だったわ。


 かつてのように柔らかくも、広くもない寝台で、二人寄り添って愛し合った。

 よじる身に合わせて軋む木材の音も、他に聞かれまいと押し殺すエルザの声も、全てが素晴らしい楽曲だった。

 生真面目なエルザは、ヴィオラの手で頂に導かれるたび、涙を浮かべ、神に許しを請うていた。そんなところもまた、愛おしかった。


 ――ああ、いけない。お勤めに集中しないと。


 刈り取られた植物独特の青い匂いが、その熱をわずかに冷まし、今しなくてはならない作業を思い出させてくれた。


「そういえば、知ってる? シスター・セレンとナンシーの話。あの二人、前からあやしいって言われてたけど――」


 シスター・アリサの話は、すでに修道院内のゴシップに切り替わっており、ヴィオラはそれに付き合いながら、薬草の選別を続けた。


 ■


「……シスター・ヴィオラ」


 修道院の廊下。よく磨き込まれた板張りの床を歩いていると、背後からカミユに声をかけられた。

 ヴィオラは慌てて礼をしようとし、それを手で制される。

 カミユはしばし、うつむきながら口の中だけで何かを言っているように見えた。やがて、甘い香の香りとともに顔を上げ、


「エルザは、元気ですか?」

 

 と、端的に尋ねる。


「ええ、元気にされております。エルザ先輩……シスター・エルザには公私ともに、大変お世話になっていますわ」

「そう、ですか」


 カミユが瞑目する。それはまるで、祈りを捧げている姿にも見え、ヴィオラは少し気になった。


「あの、差し出がましいようですが、もし、シスター・エルザをご心配でしたら、オーウェン院長から直接お声掛けをされてはいかがでしょうか? シスター・エルザも喜ばれると思います」


 エルザにとってカミユが母のような存在と、寝物語に聞いていた。カミユを語るエルザは、とても誇らしげで、少し嫉妬した自分を恥じたのを覚えている。


「エルザに? ……いいえ、私には、そのような」


 その後の消え入るような言葉は聞き取れず、カミユが「時間を取らせました」と、話を打ち切って立ち去ってしまった。


「なんだったのかしら?」


 ヴィオラは小首を傾げつつも、再び廊下を進むのだった。


 ■


 赤子が母の乳を吸うように――、寝台に二人横たわったまま、エルザがヴィオラの指先を口に含む。

 ヴィオラはエルザの生暖かさと、彼女の舌から与えられるくすぐったさを感じ、思わず含み笑いを漏らした。

 エルザはちらりと目だけ動かし、ヴィオラの顔を見た。わずかな時間目が合い、そのまま()()を続ける。

 ヴィオラはその動きを邪魔しないよう、そっとエルザの甘茶色の髪を抱き寄せ、撫でる。エルザのつむじから、ヴィオラと同じ安っぽい石鹸の香りがした。


 ――好きな人とおそろいの匂いって、なんとなく嬉しいのよね。


 過去の恋人たちが淡い幻影のように浮かぶ。彼女たちと風呂を共にしたあとには、いつもヴィオラと同じ香りをまとっていた。

 そこまで考えて、ヴィオラは小さくかぶりを振る。


 ――エルザ先輩との時間に、終わったことを考えるのは紳士のマナーに反するわ。


 その動きにエルザが指を放し、顔色をうかがうような表情をする。


「ごめんなさい、歯が当たった?」

「いいえ、エルザ先輩が悪いのではありませんの。気になさらないで」


 言って、濡れた指先でエルザの顎を上げた。成すがままのエルザは、次がわかるのかそっと目を閉じる。

 修道女は清貧を尊ぶと頑なだったエルザに、無理を言って引かせた桜色のリップが、薄暗い部屋の中に浮かんだ。


「ん……」


 ヴィオラがエルザのそれに唇を落とす。重なりあった双唇から、互いの息が漏れる。

 おずおずと伸びてくるエルザの舌に、ヴィオラは求められた気になり、自分の舌を絡ませた。

 どれだけの時間、そうしていただろう。すっかり短くなっていた蝋燭が燃え尽き、部屋の明かりは窓から漏れ入る月明かりだけとなる。

 顔を離す。どちらともしれない息継ぎの音とともに、銀糸の橋が二人を結んで、ぷつりと切れた。


 ――ああ、綺麗。


 差し込む月光に照らされるエルザは、仄かに赤らんだ頬を横に向け、ヴィオラから視線を外していた。

 身体の芯に帯びた熱が、更に温度を高まる。

 ヴィオラはエルザのチュニック(スカート)をたくし上げた。

 薄闇にくっきり映し出される白い太もも。

 露わになったその肌に、羽根の先でなぞるが如く、その指を滑らせる。

 触れるか触れないかという絶妙な力加減は、エルザの身体を細かく跳ねさせ、小さな甘い声を上げさせる。


 ――前世で()()()()()()から学んだ技は、エルザ先輩にも好評だわ。


 そのまま、ヴィオラの指は上へ上へと進み、やがて裾の丸まったチュニックの中へと忍び込んだ。一瞬、エルザの手が留めるようにヴィオラの手に重ねられる。

 再び、口付け。

 小鳥が餌をついばむように、あるいは小雨のように、繰り返し重ねられる唇に気を取られたか、エルザはヴィオラの侵入を許した。

 熱気と湿り気を帯びたそこにヴィオラの指先が近づいたとき、


 ――顔を背け、固く目をつぶるエルザに気づいた。

 

 ヴィオラの指が止まる。


「エルザ先輩、本当に嫌なら嫌って言ってくださいましね? 私、無理強いはしたくありませんの」

 

 心の底から出た、心配の言葉だった。

 その声に、エルザは目を閉じたまま、しかし、眉間に寄せられた皺は、わずかに緩む。

 そして、


「――何度も言わせないで。私があんたに、()()()()()()()()()()()()()()()


 そう、ぎこちない笑顔を向けるのだった。


 了

「【第二章】TS追放令嬢修道院無双百合ざまぁ(えちちは控えめ?)」をお読みいただきありがとうございます。

今回も章タイトルに偽りなしのつもりですが、お楽しみいただけたでしょうか?


面白いと思っていただけたら、★ポチとか感想、ブックマークをくださいませ。


評判が良いと続編を書くモチベーションにも繋がりますので、もし続きが読みたいと思っていただけたら、マジで感想とかください。


とりあえず、今はシスター・アリサ視点の外伝を執筆中です。気になる方はブックマークがおすすめですよ!(´・ω・`)

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