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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第九章 森からの招待状

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352 りぃに不条理発覚されました

 地球世界にて紅林家並びにりぃに干渉してきた理由が秘匿された件について、時空の大精霊たるフィディルと精霊王ちゃんの精査を阻害しているのが、未来の時間軸の人外さん達神々だと分かっただけでも御の字だろう。

 精霊王ちゃんは、現在の人外さん達にも問い合わせしてくれたのだけど、当の人外さん達神々もどうしてか未来を読む事ができないでいるらしくて困惑していた。

 因果や世界の(ことわり)を司り、干渉できる神が休眠期でいる為、より詳細な精査ができない歯痒さを痛感してもいるとの事だった。

 りぃ側にも、世界を渡る際に助力してくれている時空神も、干渉を阻害されお手上げ状態だと伝達されてきた。


「ただ、マスターに関する未来への布石とだけしか明かされないままです」


『うーん。

 でも、地球世界の某有名宗教国家が、他国の一家族に便宜や擁護を政府に注進してくる理由がはっきりしないせいで、実は密かに監視を兼任する護衛が配置されてるんだよねぇ。

 おかげで、やや安定してきたお母さんが、見知らぬ他人の視線にさらされて不安定になってきているのがなぁ』


 私の不在を海外留学と思い込み、元から抱える精神的情緒不安定が再発されたのを、りぃは嘆いていた。

 こりゃあ、人外さんに要相談案件だな。

 母親だけでも、他者の視線に晒されない配慮をお願いしとこうと、メールを送っておいた。

 でないと、母方の祖父が黙って静観してないからね。

 絶対に然るべき処へ、出向いて言葉攻めにして対応を押し付けられた職員さんが可哀想な気がしてならない。

 早いとこ、直筆の手紙が届けられて欲しいや。

 これも、人外さんにメールしとこう。

 あと、ルビーちゃんにも確認のお手紙だしたい。

 某有名宗教国家が他国の面識がない一家に干渉してくる理由がおもいつかないから、外務省とか政府も今頃は状況把握にてんやわんやしてそうだ。


『あっ、そういや。

 ルビーちゃんから、お姉宛にエアメール届いてたみたいだけど、状況確認の為にと外務省の職員さんが読む前に回収していったな。

 その後は梨の礫だから、そろそろお祖父ちゃんが殴り込みに行きそうだった』


「りぃ、そこはお祖母ちゃんか大叔母さんに止めて貰いなよ」


『無理。

 なんせ、お祖母ちゃんも大叔母さんも行けと、お祖父ちゃんをせっついてるから』


 母方実家、父方実家紅林家より有言実行にて素早い。

 そして、女性衆の方が血気盛んな面があったりする。

 かくいう、父方母方祖父の人脈も広くて、在所の県議会議員やら衆参議員にも顔が利く。

 いつかの夏休み帰省した時期に、報道番組で討論する議員さんと飲み友達と紹介されて驚かされたもんだ。

 面倒見が良いとか、相談事や愚痴に律儀に付き合ってくれると評判が良いお付き合いしているそうな。

 父親の職務規定違反や母親の刃傷沙汰も、裏で大事にならない根回ししてくれたともりぃが話してくれたっけ。

 現在、父親は職務規定違反による査問委員会が下した裁定の解雇通告は取り消され、一身上の都合による退官となった。

 ただし、条件付きで数年間は要監視状況である。

 さすがに自衛隊の教官を長く務めていただけあり、上官や教え子達からの心象も良くて減刑嘆願書の署名数も無視できず、制服組の重鎮方は処分内容に悩まれていた。

 そんなおりに、某有名宗教国家からの擁護の書状が届くはで、防衛省や外務省は更に悩まされただろうな。

 ありがたい事に、母親の刃傷沙汰も突き詰めれば要因は相手側に多大なる瑕疵がある。

 未成年のユーリ先輩も大した怪我をした訳でもなく、保護者の親=父親のかつての上官は示談で事をおさめてくれた。


『あの人、結局最後まで謝罪しなかったなぁ』


 りぃ曰く、ユーリ先輩の父親もまた退職金不要で退官したそうだ。

 ここちゃんの希望で、南の地方へ一家揃って転居していった。

 が、何故か母方祖母の親族が経営する農園だと知らず、農業従事者として再就職された。

 ここちゃんもそちらで弁護士としてリスタートしたとの事だけど、ユーリ先輩は真逆の北地方の更生施設行きだとは驚かされた。

 こっちは、うちの母方祖父の意向だ。


『お祖父ちゃんの弁だと、甘ったれな構ってちゃん思考が根底にあって、承認欲求の塊になっているんじゃないかってなって。

 その筋に明るい精神科医が行政と組んで造られた更生施設に、半ば研究対象扱いで行かされたみたい』


 あ〜、フィディルが前に話してたな。

 どこか、老成した印象が見受けられた、だっけ。

 地球世界で天寿を全うしてから異世界転生した訳ではなく、居住環境がかわったあげく研究対象扱いされた鬱憤やら不満を募らせて、怪しげな異世界転生話に飛びついた可能性大かもしれないや。

 そこら辺りの事情を、人外さんがこれまで話してくれないとこを鑑みると、人外さん由来の眷属神ではなく、惹かれて付いてきた他世界由来の眷属神がやらかしてそうだ。


『うーん、でもさぁ。

 なんか、こう。しっくりこない結果になった気がするんだよねぇ』


 視線を肩に向かせると、りぃの義体は腕組みして眉間に盛大な皺を寄せていた。

 しっくりこない? 

 それは、私が人外ほいほい性質なのに対して、りぃは第六感というか的確に違和感を推測や発見してしまう性質から言わせてるぽい。


『我が家関連の某有名宗教国家干渉は、お姉に付随する問題だと思われたし、お姉の守護者さんも布石とか話してくれたから、これからは待機しとけばよいと分かった。

 でも、あの人の結末が、何て言うかしっくりこない』


「それは、おそらく妹君が言われる点についてですが、マスターから聞かされてはないからではないかと」


『ほえ?

 何の事?』


「マスターが現在所属しているこの国の初代女王が、ただいま話題にされた方であるという点です」


 ん?

 フィディルの指摘に、疑問符が浮かんだ。

 あれ?

 てっきり、りぃは承知で異世界に来訪していると思っていたのですが。


「ごめん、りぃ。

 ちょっとだけ、相互理解したいから質問に答えてくれる?」


『うん、いいよ』


「私達がしていたVRゲーム機器を通じて、りぃはこちらの世界に来訪してきているんだよね」


『うん、そうなるね。

 でも、私のではなくてお姉のVR機器だけどね。

 それから、結構な数の条件付きだし、家族以外に体験した話は内容が伝わらない仕様にされてる。

 だから、お姉が異世界で生存しているのを知っているのも、私とお父さんと双方の祖父母だけに認識を改変されたよ。

 従兄弟&従姉妹(いとこ)達や、伯父&叔父(おじ)さん伯母&叔母(おば)さん達も、御使いさん事件を忘れちゃってる』


 成る程、私のVR機器から発展したゲーム運営会社とのトラブルも認識を改変されたのか。

 りぃの話だと、他国のハッカーによる案件にすり替えられ、ここちゃんも運営会社とバトった記憶がハッカー集団への対応へとなった。


『だから、お姉への多額に振り込まれたお金は、その関連からの気味悪い迷惑料なのかと身内には思われてる。

 私に名義変更されてからも、さっさと何処かへ寄付して無くしてしまえと言われたし、事情を知る紅林のお祖父ちゃん預かりにして放置してたら、騒いだ身内は既に忘れちゃってる。

 ああ、うん。

 マスコミが一社嗅ぎつけてきたけど、そっちもナニかされて一面白紙のページ掲載な週刊誌発売されてた。

 なのに、誰も不思議に思われないままだったのが、怖いと思いました』


 りぃの義体が肩から浮いて、目の前に周りこみ両手を組んで経緯を語る。

 白紙ページ掲載週刊誌を発売して、誰も気にせず疑問も抱かないままだったのは、そりゃあ事情を把握していても怖いな。

 いや、日本に在籍している人の認識に干渉しているのが、人外さん由来かはたまた地球世界由来の超常な存在によるかはスルーの方針でいこう。


「じゃあ、私達がしていたゲームはまだ継続してるんだよね?

 なら、大精霊は……上位精霊が引き上げられたんだったかな」


『それも、うん。

 新しい大精霊は守護者契約できない仕様変更されて、聖域外には出れなくなったよ。

 ただまあ、お姉と仲良しな大精霊の契約者さん達の守護者は変更されてなくて、ますます皆さん引きこもりになっちゃった。

 私宛に運営が特別にアカウントを変更してくれたから、IDや名前や守護者も外見を変えてログインはしてるメールは届いたよ?

 だけど、新しいIDまでは教えてはくれないままだけど』


「補足致します。

 確かに、マスターと契約していた自分達以外の大精霊は、自分達より遅くこちらの世界に招かれています。

 理由は話しませんでしたが、みなマスターとは別離したと哀しんでおりました」


 フィディルの補足の声音は悼みを孕んでいた。

 明確に問いただしてはないそうだが、尋ねるのは憚れた。

 りぃは現在もVRゲームで遊べているから、ゲームがサ終(ゲーム自体終了)した訳ではない。

 私がログインしなくなった以降、ユーリ先輩はうちの子達に接触を試みて、私が亡くなった事実を暴露してマスター契約を結ぼうと企んだんだよな。

 それを、うちの子達は拒んだ。

 私以外のマスターを拒否し、運営側から再調整という私との記憶を消去しかけて、統括AIのアリアちゃんに阻止され続けていた。

 いつだったかな。

 ぼそっとレオンが呟いていた。

 マスターを忘れるぐらいなら、自身が消えても良かったと。

 アリアちゃんはプログラムだけ組まれたAIではなく、人との生活を得て自我を確立したAIだと隠す事なく宣言していた。

 だから人に寄り添い、慕い、共に歩んだ記憶を消去されるのを拒否し、自身が消えた方が良いと選択したうちの子達を護り通し、人外さんの招きを後押しして送り出してくれた。

 その信念に運営側も考え直し、残る大精霊を外見を偽らせ守護者契約を継続してくれたのだろう。

 その後、サ終まで残る大精霊達はマスターの側にいたと思いたい。

 結果的に、残る大精霊達もうちの子達同様にこちらの世界に来てしまったけども。

 グレイスは思わね経緯でダレンと再会したのは、酷く驚天したそうだったか。


「りぃがこちらの世界に来訪した原因は、私にあると思ってる。

 けれども、来訪する条件とか期間とかは説明されているみたいだけど、世界に関しての情報はどれくらいなの?」


『世界? お姉の為の世界だって聞いてるよ』


 りぃの答えは簡潔明瞭だった。

 人外さんから教えられているせいで、少し胸が痛んだ。

 私の為だけに数多の世界を創造しては、馴染む世界が見つかるまで放棄した世界があるのを知ってしまうと、痛む。

 それに、人外さん達に惹かれて付いてきた、他世界由来の神が不在になった世界がどうなっているかも気になっているんだな、これが。


『で、お姉は、何が聞きたいの?

 さっき、何か守護者さんが聞き捨てられない禁句を言ってたようだけど。

 私は、耳を塞ぎたくなってきています』


「あ〜、うん。

 あのさぁ……」

「フィル兄がさっき言った事か?

 この国の初代女王が風の大精霊のマスターで、話題に出ていた更生施設とやらに行かされた人物の事だろう?」

「レオ兄、それ言っちゃダメダメだよ」


 生真面目なレオンがずばりと私が言い及んだ点を話してしまい、泣き止んで抱き着いていたエスカが両手で口を塞いだ。

 ぼとりと浮いていたりぃが寝具に落ちた。


『あ〜、やっぱりかぁ〜。

 だから、時空神さんもそこは流して説明しなかったのかぁ〜』


 私や母親や紅林家に因縁ふっかけてきた源なユーリ先輩が建国した国に、私が所属している不条理な件が発覚した次第でございます、でした。


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