表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第九章 森からの招待状

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

355/359

351 私の寿命について禁則事項でした

 えぐえぐと泣いているエスカをレオンが、両肩口に顔を埋めてごめんなさいを連呼するユリスとセレナをフィディルが抱き上げて自室に入室してきたのは、お子様ズが自室から姿を消して転移していってから十分ぐらい経ぎたかな。

 うちの子達の錬金人形の器は、私と同じ飲食や感覚を共有したいとかなり高性能な機能を有している。

 なので、泣くと涙も流れるし、怪我に相当する損傷も出血がわりにエフェクトを纏う。

 錬金人形と表すと、上級錬金術師なあの人ことユーリ先輩が製作したのではと思われがちだが、袂を分かつ事態が起きてからは懇意にしていた別の特級錬金術師に器の製作依頼をお願いした。

 何故か、対価には摩訶不思議農園の農作物や希少薬草でと交渉成立したんだけどね。

 後で、作製依頼した錬金術師の守護者が、摩訶不思議農園の農作物に興味を引かれ飲食したがっていたからだと判明した。

 うちの子達にも聞いてみたりしたら、普通に出回る農作物や果実の味が薄い味覚でしか感じられてなかったようで、摩訶不思議農園の農作物はちゃんとした本物の野菜や果実の味だと分かる様子であった。

 この辺りの事情は、フィディルから打ち明けられていた。

 本来、精霊は自然界から魔力の源の魔素や精霊石に含まれる魔力を糧にしていた。

 野菜や果実も飲食する行為はしなくて、直接含まれる魔力を吸収していただけで飲食はしたことはなかった。

 うん。

 初めに契約したレオンも、私が飲食を勧めたら戸惑っていたし、器も飲食可能な機能はついてなかったのを忘れていた。

 エスカと契約した辺りで、飲食に興味を持ったのを機に機能を持たせられるか試行錯誤して、錬金人形でも飲食機能を持った器が広まったんだっけ。

 あら、そういや、泣くという機能もエスカが発端だったな。

 前契約者の命令に縛られ、孤独と消耗からくる疲弊感に苛まれていたセレナが擬似的な涙=精霊石の欠片を零していたのを見て、同じ体験をして孤独ではないと認識をすり替えようと提案したのがきっかけだ。


「人はね。

 嬉しい時も泣くんだって。

 これからは、エスカも悲しい時も嬉しい時も一緒に泣くね」

「ユリスも。

 ユリスも、セレナと一緒にする」


 お子様ズ誕生の瞬間でした。

 で、以降喜怒哀楽をお子様ズは一緒にしてきていた。

 怖がりながら好奇心旺盛なエスカが活発に行動し、ユリスとセレナが楽しく付き合っていく。

 偶に、ファティマがお小言するやらかしをしちゃうけど、お子様ズは一緒にいたずらも遊びも仲良くやっていた。

 おかげで、契約当初のセレナの凍りていていた感情も溶けていき、セレナ自身の言動が増す機会に恵まれた。

 ただまあ、今回みたいにエスカが激しく主張する事態には、ユリスも同調しちゃいますがね。


「ひぐっ、レオ兄〜。

 ごめんなさい〜」

「フィル兄も、ごめんなさい」

「……ごめんなさい」

「いや、エスカ。

 おれも悪かったのだから、もう泣くなよ?」

「ユリスもセレナもだ。

 マスターのお側に転移や顕現する時に、周囲の確認を怠ったのは自分達だ。

 エスカやユリスやセレナは、何ら悪くはない」

「でも、でも〜。

 その後、マスターに謝らせなくしたの、エスカだし〜。

 ティア姉に、お叱りしてって言ったのも、エスカだし〜」


 ファティマのお小言が終わるなり、お子様ズに泣きつかれたレオンとフィディルは相当焦った。

 エスカがレオンとフィディルの元に転移してきたのも、ファティマのお小言の次に苦情を伝えにきたと思ったそうだ。

 それが、顕現するなりレオンに抱きついて泣きながら謝罪するエスカに、続いてユリスとセレナもフィディルに泣きついて以下同文。

 謝罪する立場から謝罪をうける立場に逆転して、かなり困惑した念話が届いてきていた。

 ごめんなさいを言うばかりで埒が明かないと、レオンとフィディルは私の自室にお子様ズを抱き上げて説明を求めにきたのが、現在に至る。

 そのレオンとフィディルは、自室脇に寄せていた椅子にファティマと三柱(さんにん)して座り、お子様ズをあやしていた。


「マスター。

 エスカ達は何故、こんなに泣いているんだ?

 悪いのはおれ達の方だろう?」

「ファティマ、何かエスカ達にもお小言をしたのか?」

「あら、わたくしは指摘しただけですわ。

 マスターの怪我を目の当たりにし驚いてしまい、誰かが悪かったと責任を突きつけてしまった気持ちは分かります。

 ですが、原因となってしまったレオンとフィディルをマスターに接近禁止を言い渡すのは、謝罪させない事にも繋がりますわ。

 それでは、エスカのご機嫌がなおるまで、レオンとフィディルは許されないままになってしまいますもの。

 わたくしはそんな雰囲気が続いてしまうのは、マスターも気にしてしまうかと思いましたから、お話しただけですわ」


 はいな。

 眉尻を下げて泣くお子様ズを心配しているレオンとフィディルに、ファティマは至極まともな私も内心感じていた懸念を諭しただけだと同意の頷きをした。

 絶対安静状態を強いられた不満は一切無く、ひまで退屈だったのは自業自得と受け入れるしかなかったさ。

 マジ、自業自得なのである。

 あの場に紅林家の祖父がいたら、鉄拳制裁くだされるのは私となるのは当然だったしね。

 父親がいても、刃物を所持している際の迂闊な不注意案件で怒られるのは私である。


「まあ、心配かけちゃった私も悪かったのもあるけど。

 レオンとフィディルは確認を怠った。

 私は刃物を手にしていたのに、注意を疎かにした。

 総じて述べるなら、間が悪かったんだよね。

 で、エスカは私が派手に出血した事に気持ちが動転して、原因がレオンとフィディルのせいにしてしまった。

 そう、ファティマは諭しただけだよ」

「えぇ、そうですわ。

 久しくマスターがお怪我を負う事態を目にしてなかったですから、わたくし達も認識を改めなくてはならないと思いました。

 マスターは不変の存在ではなく、怪我もなされば、病を得る身であると」

「……そうだな。

 ファティマの指摘どおりなのを、忘れていたな。

 如何に、マスターの新たなお身体が神々から与えられたとはいえ、マスター自身は人の(ことわり)に沿う身。

 不変でも、不老不死でもない。

 この事実を、どうして忘れていたのだろうか」


 あれ?

 フィディルが酷く重たい重要事項な如く話すが、どうしてこの流れになったやら。

 ビミョーに、空気や雰囲気まで重たいと感じてきた。

 レオンとフィディルに抱きついているお子様ズも、抱きつかれているレオンも再認識した事項に固まった。

 いや、一応私の種族は長命種な天翅族との混血な為、一般の人よりかは永く生きられる。

 自分のステータス画面で種族の部分を良く視ると、寿命が三桁記載されていたりする。

 しかし、最初の桁の数字は秘匿されていて、私の鑑定スキルでも読めれないでいるけども。

 注釈では、純血の天翅族は優に四桁年数生きるそうである。

 私は混血だが、人外さん達神々の加護や祝福の恩恵で、純血並みに長生きしそうな予感がしておりますよ。

 私一人で四桁年数長生きするにはきつい年数だけど、ほぼ不死に近い大精霊達うちの子達が側にいてくれるなら、孤独に苛まれるハメにはならない生き方をするだろう。


「でも、フィル兄。

 マスターは、長生きする種族だろう?」

「あぁ、現時点で我々はマスターと、再離別する期間は長いと読める。

 だが、決定的な時間軸を把握するのを阻害されていて、そこが確認できず不安は残る」


 いや、だから。

 そこまで気に……しちゃうのかぁ。

 いち早く硬直から直ったレオンの質問に、おそらく普段なら話さない内容を口に出しているフィディルも心情は荒れている様子でいる。

 ファティマも最前微笑んでいた表情を曇らせているしで、また違う点でお子様ズが動揺しかけ……。


『あっ!?』


 ズンと自室が揺れた感覚がした。

 静かに沈黙して私の肩の定位置に座るりぃの視線が天井を向き、小さな呟きが漏れた。


『お姉、時空神が何か干渉するから、ごめんなさいって伝言がきたよ』


 りぃに耳たぶを引っ張られ、小声で伝言を伝えてくれた。

 うん、干渉されたのが分かった。

 うちの子達の器の周りに光る輪が降りてきて、二・三転回してから光輪は消えた。

 その間、うちの子達は強制停止させられ存在が希薄になった。

 光輪が消えてからも、数分間は身動き一つしない人形の体をなしていた。


「えぇと、ファティマは何処までエスカ達に説明してくれたのだったか?」

「? ええ、わたくしはレオンとフィディルにお小言は請け負いましたけど、謝罪させないのはエスカ達にも否があるのではと諭しました」

「レオ兄、フィル兄。

 バカって言ってごめんなさい〜。

 マスターにごめんなさいさせないのも、ごめんなさい〜」

「レオ兄、フィル兄、ごめんなさい」

「……ごめんなさい」


 再起動したフィディルを皮切りに、ファティマとレオンとお子様ズも自室に入室してきたところからやり直しとなった。

 どうやら、私の寿命関連について神々側から禁則事項と相成った模様だ。

 因果や理を司る神が休眠期だとの話だったから、時空神が代理神となって禁則事項関連を担当しているみたいだね。

 ウルの名を冠する時空神は複柱いるようだし、私に端的メールを届けてくれる時空神はウル◯◯神なのか、確かめたくなりました。

 まあ、ごめんなさい謝罪祭りを終わらせるのを先にしときましょう。


「はい、ごめんなさいは終わりにしようか。

 でないと、話がループしてしまうからね。

 エスカ、ユリス、セレナ。

 心配かけて、ごめんなさい。

 今後は、怪我や病気しないように気をつけます」

「自分も、ごめんなさい。

 二度と、転移や顕現の確認を怠らないようにする」

「フィル兄と同じく、気をつける。

 マスター、エスカ、ユリス、セレナ、ごめんなさい」

「うんじゃなくて、はい。

 エスカも、ごめんなさい」

「ユリスも、ごめんなさい」

「……セレナも、ごめんなさい」


 見守るファティマを除いて、最後の一回ごめんなさいして謝罪祭りは終了とした。

 さて、また時空神から干渉されないように次の話題には気を配らねばならないや。


「そうでした、マスター。

 妹君が来訪されたのでしたら、一つお聞きしたい事がありました。

 よろしいでしょうか」

「あ〜、りぃの方からも何かあったらしいよ。

 その事かな」

「そうだと思います。

 精霊王から、未来の時間軸の神々が、妹君の世界に干渉した経緯が見受けられたと呼び出しがありました。

 精霊王と精査し、神々に尋ねてみましたところ、妹君の世界における布石の意味との返答だけありました。

 それ以上の精査は不許可となり、現在の神々も干渉がはねつけらるそうでした」


『うーん。

 神々がって言うのが、こっちとあっちで一致しているんだね。

 正直言って、ナンノコッチャと叫びたいと思いました』


 りぃに同意。

 真面目に、何がどうしてこっちでもあっちでも神の名称がついて回るのか。

 誰か教えてくれないかと、私も叫びたくなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ