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女王⁉ 聖女⁉ いえ、ただの農業オタクな細工師です。  作者: 堀井 未咲
第九章 森からの招待状

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348 説明不能で唸るハメでした

 ひとしきり、りぃのお怒りモードの愚痴を聞き流し、鎮まるのを待った。

 りぃ自身の喜怒哀楽はころころ早変わりするので、吐き出し終わると気持ちの切り替えはかなり早い。


『あっ、こっちの現況報告するね。

 なんか、他国のあり得ない身分の人が、日本政府に申し入れがあったみたいで、お母さんの刃傷沙汰事件が無かった事になりました。

 お父さんの任務放棄による、お姉捜索審問会も途中閉鎖となったよ』


 りぃが試験勉強でこちらの世界に来訪できないでいた時期に、非公式で日本政府の官僚が紅林家に接触してきたそうである。

 で、詳細には明かせないけど、日本政府でもおいそれと無視できない筋からの、紅林家に関する事情を擁護する正式親書を外交官が内閣府に届けられたとか。

 非公式に紅林家を来訪した官僚さんも、調査して一面識もない紅林家に何故擁護する親書が届けられたのかはっきりとした理由が分からなくて困惑されていた、と。

 外交官を通して理由を尋ねてもはぐらかされ、ただ神のご意思ですみたいな返信だけあった。

 待て、神のご意思云々と説明され思いつくのは、ある宗教国家なんですけど?

 りぃに聞いてみると、静かに頷かれた。


「何でや?

 うち、十代遡っても世界的有名な宗教と関わりがない仏教徒だよね」


『うん。

 海外の人と国際結婚した身内もいないし、信徒になった身内もいなかった。

 だから、説明受けたお祖父ちゃんとお祖母ちゃんとお父さんは、寝耳に水だっけ、何故干渉してくるのか気味悪がってた』


 父方母方、親戚一同皆さん海外由来の宗教に入信した話は聞いた事がない。

 母方の叔母が仕事関連で海外赴任した程度ぐらいしか、思い浮かばないですが。

 何をどうして、海外由来の宗教国家が紅林家の問題に干渉してきたのだろうか。


『あとさぁ、お姉の事も話題になってた。

 これは、子供の私には教えて貰えない話だったし、後日お祖父ちゃんがツテを使って某大臣さんにサグリに行ったら、お姉名義の多額のお金が振り込まれている日本と海外の通帳が渡されて帰宅してきたんですよ。

 そうしたら、生死不明のままだったお姉の死が確定して、その通帳の名義が私に変更された。

 ますますもって、気味が悪い事態になりました』


 いや、説明されてる私も意味が分からない。

 修学旅行の事故の被害者には、国からお見舞い金が支払われたんだよな。

 こっちは、高速道路を通行していたタンクローリーが爆発した影響で大惨事が起きたのも、被害の規模から管理していた道路や周辺部の定期調査が手抜きしていたのではないかとの世論で騒がれ、被害者へのお詫びを込めた裁判沙汰にしない口止めの意味が含まれていたとりぃから聞いた。

 それ以外にも、どこぞの誰かから意図が分からないお金が振り込まれたという事か。

 気味が悪い点には同意しよう。


『お祖父ちゃんの知人にも弁護士さんがいて、調査というか意味不明なお金の件で関係各所に振り込み先の開示請求を要請してる。

 で、これもお姉の人外ほいほいが影響してるのではないかと、妹は推測しております』


 上目遣いで原因はそこにあると断言されても、私にはさっぱり原因が分かりません。

 私の友人知人に、有名宗教の信徒はいないしなぁ。

 海外の観光客とか留学生とか、関わった事は無かったはずだ。

 あれ?

 何か引っ掛かる記憶が、湧いてきているようではっきりと思い出せない。

 うーん、何処だったかな。

 片言の日本語を話すビスクドールちゃんってのが、頭に浮かんできた。


「ねぇ、りぃ。

 私かりぃの周囲に、語尾にですわと話すビスクドールちゃんがいなかった?」


『ほえ?

 ですわの、ビスクドールちゃん?』


「うん。

 何故か、急にビスクドールちゃんを思い出した。

 確か、ビスクドールちゃんに、両親の敬虔すぎる信仰の話と、浄財名義の寄付金の額がものすごく高いのを聞いた気がする」


『私も一緒に聞いていたと、お姉は言ってるの?』


 そう。

 確か、りぃも一緒に聞いてドン引きしていた記憶がある。

 暫し、姉妹二人して腕組みして、ビスクドールちゃんの記憶を思い出し中となった。


「マスターが話してるビスクドールちゃんって、えっとプラチナの髪の毛のルビーちゃんの事?」


 中々思い出せず二人してうんうん唸っていたら、エスカが預け放しにしていたショルダーバッグをベッドに置いて、中のアイテムボックスからりぃの義体より三倍は大きい人形を取り出した。

 プラチナの髪とルビーの宝石を瞳に嵌め込み、裁縫師エララ渾身の祝勝会で披露したメタルスパイダーの亜種からドロップする宝石名が入るシルクを使用したロココ調のドレスを着用した本物のビスクドール。


「ミィおねえさま、リィおねえさま。

 このコを、ワタクシだとオモイ、カワイガッテクダサイ、ですわ」


 泣き顔で、私とりぃにそう言ってビスクドールを残していったルビーちゃん。

 いわゆる大富豪のお嬢様で、日本に支社を設立する為来日して、初めてできた日本のお友達に勧められて、これまた初めてVRゲームのみならず、ゲーム? カードゲームしか知らないですわ、と初心者狩りの被害に遭って助けた子だ。


「『あ〜、ルビーちゃんだ』」


 りぃとハモった。

 助けた以降懐かれて、お友達の子数人と初心者マーク外れるまで面倒見てた子だ。


『そうだ。

 ルビーちゃんのお祖父ちゃんが、大司教に就任した時エアメールくれたよね』


 そう。

 支社長になるはずだったお父さんが、身内の不幸で本社の重役にならざるを得なくなって帰国しないとならなくなり、泣きながらゲームから離れたくない、帰国したくないと初めて両親に我が儘な訴えをしたそうだ。

 私達がしていたVRゲームはグローバル展開してなく、日本国内でしか接続できなかったからね。

 如何に大富豪のお嬢様でも、海外から接続させるのは叶わない願いだった。

 そして、ルビーちゃんが取った行動が、お母さんの許可を貰い課金してゲーム内通貨を惜しみなく使い、希少価値アイテムや素材を入手してアバターを模したビスクドールを製作した。

 暴露しちゃうと、日本のお友達は一人を除いてオークションにて売り払ったがな。

 運営が即座に対応して、オークション担当住人(NPC)をぶっ込んで、ビスクドールは回収されたけどな。

 ゲーム内にビスクドールは存在してなかったから、購入金額は天井知らずになるのは確実だったし。

 いっときの目先の欲にはしって手放したお友達には、運営から注意されたと掲示板で騒がられていた。

 希少価値アイテムや素材が使われていようとも、ビスクドールはルビーちゃんの友情の証の品だ。

 大富豪のお嬢様らしくリアルマネーをつぎ込んだビスクドールとなったけども、ルビーちゃん視点で言うならお金より価値がある友情の絆は大切な思い出なんだよね。

 運営もルビーちゃんから海外からでもゲームに接続したい意思を聞いていたのだから、ビスクドールに譲渡不可なり破棄不可にしとけば良かったのに。

 顛末を把握した私は、気が利かねぇと思いました。


「そういや、手放さなかったお友達のその後は、りぃは知っていたりする?」


『うん。

 闘技祭イベで上位三人に入る常連なクランマスターがいる百花繚乱クランに所属していて、粘着してくるプレイヤーに闘技祭でも武闘会でも決闘でもクランマスターに勝利したら、話は聞いてあげるってなってる。

 だけど、クランマスターに勝てる人達は、代理人にはならないと宣言してるし、勝利できる人は存在しないよねってなってる』


「なる、保護されてるのか。

 良かった。

 で、りぃに対しては?」


『私はもう、既に無理だよ。

 だって、譲渡不可になってるもん』


 にしし、と嗤うりぃ。

 ああ、うん。

 百花繚乱のクランマスターに勝利しても、ビスクドールは他人に譲渡できない仕様変更された、と。

 あの戦闘特化したバトルジャンキーな女傑様と、女傑様を唯一論説で言い含めれるサブマスさんが後ろに控えていれば安全だろう。

 りぃが所属するクランは、自分達がやりたい事をやり尽くすエンジョイ勢なので、フレンド登録するまでがかなり時間かかかる。

 つまり、自分がやりたい事に集中して、フレンドコールやメールに邪魔されたくない派でもあるから、そもフレンドになりたがらない。

 クラン拠点も、訪問客不要とばかりに秘匿されている。

 りぃ個人の拠点は把握しているが、実は私もクラン拠点は知らない。

 だもんで、粘着しようにも居場所が不明な為に、粘着できないでいる。


『一回だけ、フレンドのフレンドのフレンドという縁でメールがきたけどさ。

 お姉の摩訶不思議農園で栽培されている希少薬草を入手できたら、話は聞いてあげると返事しております。

 まあ、入手した再メールきたけど、摩訶不思議農園の主に問い合わせするよ返事したら、話は無かった事にってなりました。

 フレンドから、私が摩訶不思議農園の主とリアル姉妹だと聞かされて、諦めたみたいだったよ』


 りぃは含みを持たせた発言したが、どうやら相手は摩訶不思議農園から入手したと言い張り、ビスクドールを入手しようと画策した模様。

 御愁傷様。

 相手が悪かったと思え。

 りぃのフレンドでこういう行為を嫌うフレンドがいたから、盛大にお灸を据えられただろう。

 百花繚乱の女傑様とも縁があるから、ある意味りぃも女傑様を頼れる位置にいる。

 ただ、ビスクドールは既に譲渡不可になっているのが知れ渡……るかな?

 わざと隠しているぽいと、姉は認識したぞ。


「マスター?

 ルビーちゃんが、どうしたの?」

「ルビーちゃんのお人形と、妹ちゃんが気味が悪いお話は繋がってるの?」

「……謎々? 

 ……難しい」


 弱い力でエスカが服の裾を引っ張って、首を傾げていた。

 ユリスとセレナは、りぃが気味が悪いと訴えた話からビスクドールに発展していった流れが繋がらず困惑の表情をしている。

 だよね~。

 理解不能だよね~。

 かくいう、私も困惑しているから。

 某有名宗教と関わりがあるのが、ルビーちゃんだけだという点のみ判明している事項で、確定された事項ではないし。

 何故に他国から振り込まれ、りぃに名義変更されたのかが分からない状況である。

 私も急にルビーちゃんを思い出したんですよ。

 本当に何故だろうか。

 どの様な意図があるのかも分からずで、お子様ズに説明するのが難しい。

 またしても、姉妹二人してうんうん唸るハメに陥りました。

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