アリスとウサギと場面転換
「もう、まどろっこしいなぁ。執行人、そいつの首をはねちゃって」
おちゃらけた感じで熊っぽいぬいぐるみが、にひひと笑う。
どうやらアリスの逆転劇はないようである。熊の言葉に反応した黒い死神はアリスの方を向き歯をカタカタならす。そして、傍聴者達も一斉にアリスの方へ向く。
「なに、なんなの?」
アリスはその圧力負けて逃げ出そうとする。しかし、出口が分からず、追いつめられる。
「こっちだよ」
そのとき、声が聞こえた。声の方向を見るといつぞやのウサギのぬいぐるみがいた。アリスがこの世界にくるきっかけとなったウサギだ。ついてきてと、手招きして走り出した。
アリスは他に頼る物もなくそのウサギについていった。
「おい、逃げたぞ、捕まえろ」
◆ ◆ ◆
世界が流れてゆく。
アリスはウサギの後を追いかけていた。さっきまで出口は全く見あたらなかったのだけれども、ウサギの後を追いかけていたらいつの間にか外にいた。
そこは、オフィス街。何かの襲撃があったのかぼろぼろになった街並みが続く。
そのがれきを可愛らしい魔法少女たちが後かたづけをしている。マスコット的なぬいぐるみも彼女らを手伝う。強欲そうな狸のぬいぐるみや、メガネの美人秘書もしぶしぶ手伝っている。魔法少女たちは吹っ切れたかのようないい笑顔だった。
そんな彼らの横をウサギが過ぎる。アリスもその後を追って走り抜ける。
また景色が変わる。
いつの間にか、うさぎとアリスは薄暗い洞窟を進んでいる。ごつごつした岩肌。ゴブリンやスケルトン達が徘徊している。
その脇を進んでいくと大きな広間にでる。
「ふははは、我がここのボス! ブラックドラゴンである。さぁ、冒険者どもよ、かかってくるがよい!」
広間には、大きな黒いドラゴンと鎧やマント姿の冒険者がいた。黒いドラゴンはノリノリで口上を述べていた。その脇にちょっとこの場には似合わないゴブリンが、やれやれといった感じてやりとりを眺めていた。
ウサギとアリスはそんな彼らのやりとりを眺めながら通り過ぎる。
景色が流れる。
そこは女の子たちだけのお茶会。皆楽しそうに楽しんでいる。男はいない。女の子たちだけがいる。楽しそうに談笑する姿は幸せそうだった。
風景がゆがむ。
「マヨネーズ、マヨネーズだよ何でも合うマヨネーズ」
そにはエルフの里とオークの村で人気のマヨネーズ屋があった。彼らの作るマヨネーズは肉にも野菜にも合うと評判でエルフとオークの生活習慣を変えるようになっていった。
このままいくとかれらの他にも交流ができてくるのだろう。
風のように流れていく
いつの間にか、超高層ビルが建ち並ぶ場所にやってきた。コンサート会場らしき建物へアリスたちは進む。満員のお客と歌姫らしき女性がピアノの前に座っている。舞台裏には男性の姿。
彼女はとても幸せそうに歌う。男性も満足そうに見ている彼らの姿は幸せそうだった。
場面転換
何の変哲もない村。平凡な格好をした青年が村へとやってくる。そこで待ちかまえているのは門番のおじさん。彼はいいえ顔で「ようこそ始まりの村へ」と青年に言った。
その村の奥にギルドがあった。冷たそうなメガネの女性は誰よりも冒険者の事を心配しているようだった。「それではお気をつけて」と、冒険者を送り出す。
風景がめまぐるしく変わる。
キャンプファイヤーを囲んで多くの動物達が手をつなぎながら踊っている。めまぐるしく、円が回る誘うに回り続ける獣人たち。ぐるぐるとまわるまわる。
ゆらゆら陽炎。蜃気楼のように揺らめく。
霧の中を走っていた。多くの陰が渦巻くように走り去って行く。ひときわ大きな鯨のような影もあった。それを追いかけるような魚影が影を進む。
ひそひそとアリスたちが通り過ぎる度に消えていく。
いつの間にか霧が晴れていた。
アリスたちはホテルの廊下を進んでいく。扉はすべて閉じていた。どの部屋もルームサービスお断りのタグがぶら下がっている。
そこを通り抜ける。
そして、いつの間にか、アリスが最初にたどり着いた森にいた。
最初と同じようにアリスはウサギについて走っている。
最初と同じようにして、森の中へついていく。
大きな木があり、ウサギはうろの中へ飛び込む。
アリスも真似して飛び込んだ。
そして物語は終わり。夢から覚める。




