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第5話 六国世界大戦

「はい。これ使いな。」

「ありがとおお。ございますうう。」


黙っていたら美人であろうその顔はぐしゃぐしゃに濡れ、手渡したポケットティッシュで豪快に鼻をかんでいる。


「では…グスグス…まず…この国について話しましょうか。」


一つ一つ順を追って教えて貰うことになった。まだ代表戦とやらに出場するかどうかは置いておいて事情を聞かせてもらってから今後の身の振り方を考えるとこになった。


「まずこの国では六つの国がそれぞれの神が守護し、そしてここインニティウムではこのアレテイアを崇めるアレイア教を国民が信仰しています。」


「ああ、それで?」


「はい…。そして12年に一度、六国の神が代表選手を三人選び召喚し、戦わせる六国大戦というものをやります。」


「その理由は?」


「優勝した国の神が12年間この世界の最高神として君臨することができます。そしてあらゆる事象に対して干渉することができます。」


「つまり、あんたが俺にしか干渉できないっていうのは?」


「基本的には優勝できなかった国の神は自分を信仰する人たちに対してだけ加護を与えたりできます。そして大戦の準備と本番期間中はその神が呼んだ転移者にだけ姿を見せたり、触れたりできるのです。しかもその期間中は最高神も空席になるのでその間だけは他の神も同じような感じですね。」


「つまり、最高神になったら自分を信仰しないものに対しても影響があるってわけか。」


「そのとおりです。」


それから更にアレアから世界大戦について詳しく聞いた。

世界大会は1年をかけて開催される大会であり、一国の代表は三人一組。それぞれが各世界から選ばれるということ。

転移者の能力はこの世界の理に当てはめられるということ。

転移者自体はこの世界の理の外にあるので死ぬことは無いということ。

優勝した国の神は最高神として12年間君臨し、あらゆる生物から崇められ干渉する権利を与えられる。そして優勝した代表選手も元の世界で願いが叶えられる力を持つということ。


「なぁ、質問していいか?」


「はい!なんでしょうか!?」


すっかり調子を戻したアレアが自信たっぷりに胸を張る。


「なんでそんなわざわざ回りくどいやり方をするんだ?戦争で決めちゃえば良くないか?」


「え?どうして同じ人間同士で戦うのですか?信仰する神が違うと言えど傷つけ合うようなことしませんよ?転移者も死ぬ事自体はありませんし。一体戦争して何の意味が?まぁ…ほとんどの世界がそうなんで私たちもそこは理解に苦しむところではあるのですが…。」


何故だろう。この女神に正論を言われると腹が立つのは。しかし真理ではある。

俺は咳払いをして調子を整えた。


「つまり。あんたが勝つ為に俺が選ばれたってわけか。でもなんで地球から選ぼうって思ったんだよ。」


「それは…言いにくいお話なのですが。」


急に女神の動きがモジモジしだしてまた顔を赤らめる。どうやら事情があるようだ。


「恥ずかしながら…私、あまりその…」


「いいからさっさと言ってくれ。」


「私…現在10回連続最下位の神でして…」


「10回連続!?そりゃあ…派手に負けてんなぁ。」


「そのせいで私を信仰する人も減り、選定の時に使える魔力も減って選べる世界自体が少なくて…でも魔法が無いセカイがあるなんてこっちも思わなくてええ!!」


再び目に涙を溜めるアレアにティッシュを渡しながら頭を抱えた。


「私が悪いんです…。選ぶセンスが無いっていうか…。でも今度こそはって思って…。」


「俺が辞退したらどうなるんだ?」


思いっきり鼻をかみ、女神は答える。


「辞退自体はできませんが、戦いを欠場していただくことはできます。それで大会が終わったら元の世界に戻ってもらいます。」


「不戦敗ってことか…。不戦敗ねぇ。」


その言葉が心をざわつかせた。両手を後ろでに回し、地面を支え、空を見つめる。

そこには薄っすらと虹がかかり、見たこともない生き物が空をまたいでいる。


「絶対死なないんだよな?」


「ええ…、まぁ。そうですね。死ぬことはありません。」


その言葉で踏ん切りがついた。

俺が関わっていることで負けることは許せない。


「わかった。俺が出てやるよ。そしてお前をこの世界の最高神にしてやる!」


女神はその言葉で弾けるような笑顔をこちらに向けるのだった。





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