第31話 作戦会議
「で…ガルムンドは強いって言ってたけど具体的には?」
「マスター?それはちょっとズルない?」
アレアから情報を聞き出そうとするとかぐやが目を座らせて抗議する。
「これも戦略!それにレベル差だってあるんだからいいじゃん!ね?アレア様?」
「そうですね。それくらいのハンデが無いと厳しいと思いますし。」
「あの勇者ってそんなに強いのか!?」
エイが大きな声で割ってはいる。恐らくずっと黙っていて話に加わる機会を探していたのだろう。するとアレアは一呼吸入れて返答する。
「はい。強いですよ。まだ準備期間で全盛期とは程遠いですが元の世界では敵がその名を聞いただけで逃亡し、姿を現せば降伏し、その矛を振るえば後に残るものは無いと言われた武人ですからね。」
「旦那…こりゃあ相手が悪いぜ?」
「ああ…そうだな。」
正直言うとアレアのこの話を聞いても実感が湧かなかった。というのもファンタジーや歴史では一個人で最強の人間というのはイメージはできる。ただ、俺の知っている個人での戦いと言えば喧嘩くらいしか思いつかない。だから世界最強と言われても規模がデカ過ぎて逆に怖気づくこともできないというのが本音であり、ガルムンドと対峙した時も威圧感こそあったものの絶望感とまではいかなかった。
だからまだ冷静に戦略を立てられる。相手の手の内が分かるならこっちのデッキの組み方も変わる。ようはメタ張りというやつだ。
「アレア、頼む。教えてくれ。」
「はい!まずガルムンドさんは気という魔力のようなものを感知することができます。だからハルトさんがこの世界の人間ではないと分かったのではないでしょうか?」
具体的に聞くとガルムンドの言う気とは人それぞれ固有なもので特に異世界人や神は現地人とは全く異なるとのこと。戦闘ではそれをもとに例え相手が隠れていても偽物を出したとしても的確に場所を把握することができる。
「なーんか地味な力っすね。」
ヤーが拍子抜けしたような声を出す。確かに地味だけど強力な力である。
「次に装心という力です。」
「そうしん?」
「はい。ガルムンドさんの世界では人の心を力にするという能力があるのですが、ガルムンドさんは祖国の兵士、最大で約50万の兵の力を一定時間使うことができるみたいです。ただ、まだレベルが低いので今は千人分くらいが関の山らしいんですけど。」
「あんまりイメージがわかへんなぁ。例えばどんな感じなん?」
すっかりかぐやも興味津々に話しに割って入ってくる。
「私が知っているのだと、単純な身体能力の強化だったり、ある程度の攻撃を無効化したりとかですね?」
「一定時間って言ってたけど大体どれくらいなんだ?」
「最後に聞いた時は10分くらいは持つって言ってました!」
正直もっと詳しく情報が欲しいところだけどアレアがその装心について知っているのはこれくらいか。なんとか思い出そうと首をひねっているが次の一言が出ないあたりしうなのだろう。
すると何かを思い出したようにアレアがハッとした顔をした。
「そういえばあの武器…たしか崩国って名前でとてつもなく硬いのに凄く軽いって言ってたと思います!なんでも祖国に伝わる宝具の一つと聞きました!」
「確かにそりゃ間違いなく勇者だな。特殊能力に宝具、その上、国を救ったっていう逸話。…でもそんなやつらをこれから相手にしなきゃなんないんなら、丁度いい相手か。」
「マスター?なんか楽しそうやね?」
「そういうかぐやこそ。」
どうやらカードはマスターに引っ張られるようで二人して口角が上がっていたようだ。
だが情報は聞いたものの弱点らしい弱点は見つけられてはいない。相手は異世界の勇者なんだから当たり前といえば当たり前ではある。
「まぁとりあえず今日の会議はこんなところだな!明日に備えて早く休もうぜ!」
俺の一言を皮切りにアレア達は部屋へと戻った。
そして一人きりになりそっとステータス画面を開いてパック開封のコマンドを押した。




