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第29話 夜更けの村

なんか三人目って言われた気がするが…

いやいや…まさかね?「この国の三人目の勇者はあなたですよね?」って意味の三人目じゃあないよな?

もし…万が一そうだとしたら

あの言い方だとアイツは俺の仲間ってことになる。

俺はそろっと頭だけ顔を出して男を伺う。

金色の髪は逆立ち、鋭い眼光はそれ自体が凶器のような気すらさえする。そして鼻筋は通り、その口からは白い歯がのぞく。…よく見るとスッゴいイケメンかもしれない。


「おい!お前だよお前!お前なんだろ!?」


ああ、だめだ。

俺、あの手の人種苦手なんだよ。

声がデカくて自分の用件だけ押し付けてくるばっかりでこっちの都合はお構いなしの一昔のヤンキーみたいな奴。

すると騒動を聞きつけた他の村人も続々と窓から顔を出すがその中から一人が文字通り、翼を広げ飛び出す影があった。


「ガルムンドさん!なにしてるんですか!?」


そう、お察しの通りアレアであった。

アレアはガルムンドと呼んだ男にそのままの勢いで突っ込んでいったが、彼はサッと避けて片手でアレアを小脇に抱えた。


「アレテイアさん!ここにいらっしゃいましたか!…と言うことはやっぱりお前が代表選手なんじゃねえか!!」


もうこれで確定しちゃったじゃん。なんか勇者とか言われてたからもっと白馬の王子様みたいな爽やか系を想像してたんだけどな。…まぁ俺も人のこと言えるなりはしてないけど。

でも、なんでアイツは俺が勇者だってわかったんだろ?服装?いや、今は貸してもらった寝間着を着てるのでその可能性はない。

その疑問の答えを見つけるため、再び着替えて身だしなみをそれなりに整えてから男の前へと姿を現した。

いざ目の前にすると身体全体から圧のようなものを感じる。身長も高く、細身ながら腕や服の合間から見える肉体は見るからに鍛え上げている。そして鋭い目線や言葉遣いやトーンなど全体的に威圧的なため余計に大きく見え、恐怖も覚えるがやはり同じ男としては少々嫉妬のようなものを覚えた。


「やっと来やがったか…。さぁ、手合わせ願おうか!!」


アレアを離し武器を両手で持って腰を低くし戦闘態勢を取るガルムンド。そしてそれを見て歓声を上げる村人達。呆気にとられるエイ、ヤー、トウの三人。そしてもう一人、酒瓶片手に遅れて女が現れた。


「なんや、えらい騒がしいなあ。」


かぐやは赤ら顔ながら周りの状況を確認するとある程度は察したようでその目は真剣な目をしている。


「お前…人間じゃねぇな?」


「あんたこそ。似たようなもんやんか。仲良うしようや。」


二人の間に緊張感が走る。


「ちょっと!!皆さん待ってください!」


その間に割って入ったのがアレアだった。アレアはガルムンドのほうを向いて口を開いた。


「こんなところで戦ってこの村に被害があったらどうするんですか!?少しは考えてください!!しかもこんな時間ですよ!?」


あっ、戦うこと自体はいいんだ。でもまあアレアの言い分は分かる。ただ、村人達は勇者同士の戦いが見れると思って騒いでいるが。


「す、すいません!ついつい…。おい!お前!明日村の外で手合わせ願おうか!!じゃあな!……あの、俺の泊まるところってあったりしねえっすか?」


ガルムンドは村長に連れられて村の奥の方へと消えていった。

村人たちは少々がっかりした様子ではあったものの各々の家へと帰り残されたのはアレアをはじめとする勇者一行だけである。


「とりあえず、ハルトさんのところでお話しましょうか。」


アレアの提案に全員同意し部屋へと戻った。

そしてゆっくりと語り出すのだった。

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