第17話 パック開封!
カードパックを開く瞬間というのはいくつになってもワクワクするものだ。それがリアルだろうがデータであろうが。
まぁ色々とその理由を並べることができるがそんなことよりも早く開けたいという思いが気持ちをはやらせる。
だが、ここで焦ってはいけない。
重要なのはどのパックを開けるかということだ。
現在手元にあるのは2万エーギル。
一回500エーギルで現在、稼ぐ手立てのないこの20回は非常に重要である。
マギクロはパックのシリーズごとに収録されているカードが異なる。そしてシリーズは全部で23弾であり、それぞれ100種類のカードが収録されている。
「どれをどう開けるのが正解なんだ?」
シリーズごとの収録カードを確認しながら吟味する。
今回重要なのは【強いカード】ではなく【使えるカード】だ。収録カードに書かれているカードの効果や説明は以前の世界のまま。消費MPも書かれていない。つまり手に取るまでこの世界でどんな効果に置き換わるか分からないのだ。
数分考えた後にスクロールしていた手を止め、開けるパックを決める。
【第20弾 ファンタジーリカージョン】
俺はそれを指差す。すると【1回 500エーギル】と【10回 4500エーギル】の2つのコマンドが新たに現れる。
「ここまで一緒なのか。まぁ、それならこっちだよな。」
期待と不安を指に乗せ、10回を押す。
すると俺を中心に魔法陣が浮かび上がり、そこから10枚の透明なカードが俺を囲んで円を作った。
「これはなんなんですか!?」
「これがパック開封ってやつだよ。もう見飽きたと思ってたけどこうやって現実になると感動するな。」
だが、問題はここからだ。
この中にあのカード達は入っているのか。1パックは5枚。50枚のなかにお目当てのカードは…
俺は息を呑み、目の前の透明なカードに手を触れる。その触れた指先から透明なカードは色を持ち、5枚のカードへと変化する。そしてその5枚は手の中に収まった。
「ハルトさん!どうですか!?」
「あ、ああ。」
早速、新たに手に入ったカードを確認していく。まず記念すべき1枚目…
■妖精たちの遊び場
スペルカード アンコモン
使用したターン中、カード名に「妖精」と名のつくサモンカードはスペルとサモンカードの効果を無効にする。
「ハルトさん。…これは…どうなんでしょう?」
「うん…うん…。いやぁ…微妙だな。」
本当に微妙だ。かつて流行った「妖精ビートダウン」というデッキには必須級のカードだった。だが…逆に言えばそれ以外のデッキには使うことはほとんどない。しかも今、俺の手元に妖精と名のつくカードは一枚もない。
「ま、まぁ。まだ一枚目ですからね!」
「そうだな!」
一パック目から良いカードが来るなんてことのほうが少ないのだ。こんなことで気を落としていては仕方がない。アレアの言うとおり次のカードを見てみよう。
■悪意の取引
スペルカード コモン
このカードを使用したプレイヤーに3のダメージ。ターン終了時にカードを一枚引く。
「び…微妙…だ。」
残りの3枚を確認するもこれと言って目を引くようなカードはなかった。もちろんこちらの効果に置き換わると使えるかもしれないが、元々の効果を見るに期待薄だ。
そして同じような結果が4パックほど続いたところで一度、気持ちを落ち着かせるために部屋に置かれていた水を飲んだ。
「一つ質問してもいいですか?あっ水はいりません。ありがとうございます。」
「そうか?わかった。で…質問って?」
「何故、このシリーズにしたのですか?強いカードが入っているとか?」
「まぁそれもあるけど。正直強いかどうかは分からないけどさ。俺のデッキに入ってたカードのうち半分はこのシリーズのカードなんだよ。だから使い方もある程度は分かるかなって。」
「なるほど。ちなみにデッキとはなんですか?」
「デッキって言うのは40枚一組のカードの束のことだよ。マギクロのプレイヤーは数あるカードから40枚を選んで一つのデッキを作ってそれを対戦で使うんだ。まぁ、こっちで言う魔導書みたいなもんかな?」
「なるほど、自分専用魔導書ということですね。」
「まぁ、そうだな。そのデッキを作るために何時間もかけるんだ。俺の…」
その時、一つの疑問が浮かんだ。
確か、装備はそのまま持ってくるって言ってたような。なら俺の場合はあの時持っていたデッキ…優勝したあのデッキを持ってきてもよかったはずなのに俺の手元にあったのはスターターセットのコモン40枚。そしてカードパックというシステムはそのまま持ち込まれている。……俺ってかなり不利なんじゃないか?
そんなことを思いながら俺は残りの半分のパックを確認することにした。




