第15話 検問と夕焼けと
ドープの村を出て最初の街、アリストについたのは陽も落ちかけた頃だった。
本来は日中に着く予定だったが、盗賊との一件もあってこの時間となる。
街と外の境界は大人の頭より少し高いくらいの石の壁で囲われており、出入り口には木でできた門が構えている。街というだけあり、入る前から中の方から様々な音が聞こえてくる。
俺達5人は街へ入るための検問を受ける為に門の前にある行列の後ろに並んだ。
「結構賑わってるな。」
「ええ、王都にも近いですし国の中でも栄えているほうですね。」
俺とアレアが前に横並びになり、盗賊三人組はその後ろに横並びに並んだ。
「ところでアレア。検問って言っても俺、身分を証明できるもんなんてないけど?」
「心配ご無用ですよ。」
妙に自信満々なアレアを不安に思いながらも列は進み、いよいよ自分たちの番となった。
「では、次!身分証明書を見せてください。」
鎧を着た屈強な兵士が手のひらを上にしてこちらに手を出す。するとアレアが兵士の前へと歩み寄った。
「私は女神アレテイアです。そしてこの方は今回の代表選手の本宮ハルトさんで後ろの三人は旅の仲間です。どうかこの街に入らせてもらえませんでしょうか?」
アレアの名乗りが終わるとそれまで畳んでいた翼を大きく広げ、空中にゆっくりと浮かび上がり背中から光が差し始める、夕暮れも近く薄暗かったのにまるでそこに太陽があるかのような明るさとなった。
「そのお姿は…間違いなくア、アレテイア様!!どうぞどうぞ!!……おい!そこのお前とお前!五人を町長のところへご案内しろ!」
「ありがとうございます!」
アレアは翼を畳み、地上に降りると若い兵士に促されるまま中へと入っていく。呆気に取られた俺達四人も慌ててついていき、無事に街へと入ることができた。
「やっぱり…すげえな。」
「ああ、神様だって言ってたけど本当だったんだな。」
「尊かった。」
後ろの三人が口々に感想を言い合っているが俺も感心していた。しかし盗賊の三人はアレアを見ても神だと認識していなかったのはどうしてだろうか。
「アレア。お前、やっぱり本当に神様何だな。」
「今更なんですか?まぁ、普段は神性を抑えてますからね。」
「神性?」
「何と言っていいんでしょうか?…オーラみたいなもんですよ。普段は抑えてないとみんな私のこと崇めちゃって大変なんですよ。」
確かにあの姿のアレアの前では何故か跪いて祈りを捧げたくなった自分がいる。神々しさのようなものかと理解しておく。
町長の屋敷で軽く挨拶とここへ来た理由を説明すると町長は気前よくこの街でも有数の宿を手配してくれた。代表選手がお金の苦労はしないというのは本当のようだ。
ただ、様子を見ているに代表選手の俺に対してというよりアレアという女神に対して援助を申し出ているような印象を受ける。
それもなにか見返りを求めるというよりかは進んで提供してくれるような感じである。
ならば余計に気にはなる。
グアネのあの言葉を…
「ハハハッ…お前っ。そうかそうか。この国の神はそうだった。あの底辺の神だったな!」
底辺の神。
あれはどういう意味なのだろうか。
宿へと案内される道中、活気を見せる街並を眺めながら頭にその言葉が繰り返し思い出されるのであった。
宿についてからが大変だった。
宿の一階、食堂には大量の料理と飲み物が用意され、そこに街の人達が溢れんばかりに待ち構え出迎えの準備がされていた。そこの奥に五人が通された。そして宴が始まるとそこからは飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎとなった。
「あんたが今回の勇者様かい!?頼んだぜ!!」
「名前は?ハルト?へえ。応援してるぜ!ハルト様!!」
「アテレイア様って本当に綺麗ですね。お肌のケアってされてるんですか?」
「おっ?さすが勇者様たちの仲間だ!三人とも飲みっぷりが違うね!ほら!こっちの酒も呑みな!!」
宴は夜遅くまで続き、気づけば俺はアレアの膝の上で目を覚ました。




