第14話 旅といえばパーティ編成
「もう!本当に勘弁してください!」
何度目かの死を乗り越え、盗賊三人は綺麗な土下座を決めた。こちらの世界でも最大の謝罪の意を示すのはこの姿勢らしい。
「もう心が持ちません!本当に申し訳ありませんでした。」
確かに12回もやってしまったのは悪かったかもしれない。命を軽く扱い過ぎるのは良くないことだからな。これもまた一つ勉強になった。
「ハルトさん。流石にあのう、何でしたっけ?ウインドカッターですか?あれで三人を細切れにしたときはどうかと思いましたよ。」
女神がこちらを見て抗議しているような気がするが気のせいだろう。とにかく彼らも反省しているようだしこの辺でレベル上げを兼ねた実験は終わりにしておこう。これ以上やると神罰が下るかもしれないからな。
「これに懲りたらもう悪さなんてするんじゃないぞ!」
まさかこんな王道なセリフを言う日が来るとは…。余韻を噛み締めていると三人の盗賊は元気良く返事するとともに質問をぶつけてきた。
「あの…それで俺達は一体何をされたんですかね?」
とりあえず三人の身に起こったこと、そして自分が代表選手としてこの世界に来た異世界人だとういうことを説明した。
「つまり…俺達は幻覚を見せられたとかじゃなくて本当に死んでたってわけで?」
「まぁ、そういうことになるな。」
三人の顔がみるみると青ざめていく。
ちなみにこの世界の技術や魔法に蘇生魔法なんてものはない。回復魔法もあるにはあるがあくまでその人の治癒能力を強化して傷の治りを早くしたり欠損した部位があった場合も生きていれば細胞に干渉して再生させるというものである。
つまりこの世界でも一度死んでしまえば二度と生き返らない。それがこの世界の理であり、異分子である代表選手だからこそこんなありえないことが起きている。
「盗賊の皆さんも反省しているようですし。私たちもそろそろいかないと。」
「ああ、そうだな。ただ…そうだな。」
身震いする三人を眺める。体調でも悪いのだろうか?毒は死んだ時に抜けているはずなんだが。でも言いたいのはそこではない。
「三人とも俺と一緒に王都に行かないか。心配しなくても兵士に突き出したりしないよ。でも俺達と離れた後にまた旅人を襲ったりしないっていう保証もないしな。」
「俺達が勇者様のお供を?」
「お供ってわけじゃない。ただ…旅は賑やかな方がいいだろ?」
「勇者と女神と一緒に旅できることなんてありませんよ?ぜひぜひ。」
アレアのこういうところは正直助かる。見た目のことも相まって俺と話すより幾分かは盗賊たちの表情も穏やかになっている気がする。
「俺達で良ければついていかせてもらいますぜ。ただ…。」
「ただ?」
「やっぱり俺達、こんなことしてるからにはその…お金が無くて…。」
「それなら私が王様に言って仕事を紹介してもらえるようにしましょう。正直言うとあんな経験させて申し訳ない気持ちもありますし。その方が私的にもというか女神的にも助かると言うか。」
「それは助かります!!今すぐ出発しましょう!勇者様!!」
三人は勢いよく立ち上がり、先導する。
するとその中の一人が戻ってきた。
「自己紹介がまだでしたな!俺はリーダーのエイ!あっちの小せえのがヤーでそして細長いのがトウだ。これからよろしく頼みますぜ!」
エイ、ヤー、トウ。…よし深く考えるのはやめよう。覚えやすくて良いじゃないか。
「それと、これは迷惑かけた分だ。少ないがもらってくれ。」
エイが少し汚れた革袋を渡してきた。その中に手を入れ取り出してみると金貨と銀貨が数枚入っていた。
「アンタたちお金無いんだろ?貰えねぇよ。」
「俺達にもプライドってもんがあるんだ。許してもらった上に仕事まで紹介してもらえるんだ。これくらいはさせてくれ。」
意外と義理堅い所があるようだ。正直に言うと寝込みを襲われたりしないか多少の不安はあったがこの三人なら大丈夫だろうと安堵し、笑う。
こうして勇者と女神と盗賊という珍しいパーティで王都を目指すこととなった。




