第12話 いざ首都へ!
部屋に一人、月明かりに照らされたカード達を見つめ今後のことを考える。
アレアは今日は別に用意してくれた部屋で休むと言って出ていった。ただ、自分は神なので寝る必要はないのだが、村人たちの好意は無下にはできないということで朝まで部屋で大会のことを考えておくらしい。
「スターターセットのコモン40枚だけかあ。でもまぁ、使い方次第か。あっちじゃ強かったカードもこっちじゃどうかわからないしな。」
ある意味、カードゲームの醍醐味も引き継がれているのかもしれない。
「案外、異世界って言っても根本は変わらないのかもなぁ。」
誰に言うでもない独り言。
こっちの世界に来て一人でゆっくりするのは初めてなせいか考えや思いが交錯する。
昼と夜の概念、気温、食べ物や人。自然と受け入れてはいたが、そもそも異世界で普通に生きていること自体が奇跡のようなものだ。人間とは本当に良くも悪くも鈍感ということか。ただ…
「こんなにゆっくり過ごすのは久しぶりかもな。」
元の世界では学校に勉強に遊びにマギクロ…。毎日が矢のように過ぎていった。それが嫌だったわけじゃない。むしろ充実していた。それに夢もあったわけだし。ただアレアに俺が世界一だと伝えられた時に『そうか』と何故か納得している自分がいた。
自分語りが多くなってしまうなと思いながらクスッと笑う。
こちらでもこれからやることはたくさんある。考えないといけないことも山積みだ。だけどなんとなく…なんとなく心に余裕があるように思えた。
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「おっはようございます!ってもう起きてたんですか?」
「ああ、自然と目が覚めたからな。それで早速なんだけどさ。」
「ここから首都まで歩いていきたいんだけど駄目か?」
「駄目じゃありませんけど。でも結構遠いですよ?」
「道中の魔獣を倒してレベル上げしときたいんだよ。ああ、もちろん襲ってくるようなやつだけな?死なないとはいえ、無抵抗のやつを倒すのは気が引けるからな。」
「わかりました!では私もお供しましょう!」
「いいのか?他の転移者のこととか。」
「かまいませんよ。あとのお二方はすでに首都で自主的に準備をされてますので。というか多分いてもいなくても一緒というか…?」
「そ、そうか。じゃあ頼むよ。」
村人に見送られながらインニティウムの首都アルゴスに向かって歩き出した。幸い、道はある程度整備されていてちょっとしたハイキングのように気持ちも軽かった。ちなみにアルゴスまではだいたい歩いて5日程度で着く予定である。その間、いくつか村や町があるので今日の目標はそのうちの一つである。
「それにしても穏やかだなぁ。」
「そうですね。今がこの国で言うと一番過ごしやすい時期ですからね。」
レベル上げしたいというのもあるが、本音はこの肌で異世界を感じたいというのもあった。土の匂いや通り過ぎる風、それに木々の音。…これがマイナスイオンってやつなのか。
そんな穏やかな旅ではあったが、トラブルと言うのは前触れもなく起こる。
「よお。お二人さん!仲良く旅なんて嬉しいねぇ。命が惜しけりゃ持ってるもの全部よこしな!」
見るからに山賊ですといった風体の男が三人、脇から飛び出し立ち塞がった。
なんとういうか。あまりにも王道の展開に思わず、感心してしまう自分がいた。




