第10話 フローズンドラゴン
■フローズンドラゴン
コモン
サモンカード 消費MP20/分
攻撃8 体力7
効果
【このカードが場に出た時、コモンのサモンカード全てを1ターンの間攻撃も守備にも参加できなくする。】
「いやぁ。さすがドラゴン…コモンとは言え、迫力が違うなぁ。」
全身が白銀に輝き、その翼は氷でできているドラゴンが舞い降りる。その周りは白い冷気があたりを包み始める。
「効果の変更はどうなっているかな?」
手に持ったカードを確認すると案の定、効果の一文が置き換わっていた。
【召喚された時、半径20m以内の低級魔獣を凍結させる。】
おっ?なかなか強そうな効果だな。と思い、視線をグアネに移したが、グアネの方は身を震わせるだけで凍結はしていない様子だった。
つまり、あいつは低級魔獣ではないということか。この世界の魔獣は神が作ったクラスに分けられている。それが低級、中級、上級、特級、災害級、天災級であり、少なくともあいつは中級以上あるということか。
「なぁ、アレア!ホーンボアのクラスは?」
「え?ああ、ホーンボアは低級ですよ!でもそこにいるホーンボアは群の長なので多分、グレートホーンボアだと思いますよー!それなら中級だったはずです!」
アレアが影から顔だけ出して答える。
まぁ、そうだよな。あいつだけ体は大きいし、喋れるし、他のホーンボアも言う事聞いてたんだから上位の存在だとは思っていた。
それに効果だけで終わってしまっては実験にしては味気ない。
「じゃあ、ちんたらしてたら俺の魔力も尽きちゃうからな。いけ!フローズンドラゴン!猪狩りだ!」
その言葉に呼応するようにフローズンドラゴンは羽を広げ雄叫びを上げる。それに萎縮する様子もなく、グアネも身体中の毛を逆立たせ臨戦態勢を取る。
先に動いたのはグアネの方だった。恐らく、ドラゴンに飛ばれる前に決着をつけるつもりだったのだろう。これまで見たどの突進よりも速くそして力強い砲弾のような勢いで迫ってくる。
しかしフローズンドラゴンは動かない。雄叫びを上げたあとは動くこともなくその塊が迫ってくるのを静かに見守り、そして―
“パキン”
グアネの進む先が急に凍りつく。そしてグアネは足を取られ、そのまま氷の上を滑りドラゴンと俺の間をすり抜け、勢いよく転倒する。
グアネが頭を振りながら立ち上がるが、もう終わりの瞬間は近づいていた。
グアネが顔を上げると眼前にはドラゴンが大きな口を開けて冷気をためていた。
グアネは急いで避けようと動こうとするが、地面が凍っていてうまく動けない。
「フローズンドラゴンの領地に入ってはいけない。その目に映った瞬間、あなたの時間は止まってしまうから。…これがフローズンドラゴンのフレーバーテキストだ。」
「時間が止まるだと?」
「悪いなグアネ。俺のMPももう無くなりそうだからお前と話してる時間はもうないんだ。じゃあまたな。」
その言葉を最後にグアネの時間は止まった。正確に言うと、フローズンドラゴンの口から冷気の息が吐き出され、瞬く間にグアネは完全に凍結したのだった。そしてそれを見届けるとフローズンドラゴンの体は透けていき、やがて消え去った。
「一通りやりたいことはできたな。」
MPゲージが尽きているのを確認し、アレアを呼ぶ。
「じゃあ、アレアあとは頼んでいいか?」
「あっ、はい!でもいいんですか?私が倒しちゃったらハルトさんに経験値が入りませんけど?」
「いいのいいの。村の人達困ってるだし。俺が倒しちゃったらまた復活しちゃうから。」
「わかりました。じゃあいきますね。」
アレアが手を組み祈るとそこに【スパーク】とは比にならないほどの電撃が襲い、後には何も残らなかった。
なるほど、俺もあれを食らったのかと思うと少し体が身震いするのであった。




