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王を譲ったので、正体を隠して国を旅します!  作者:


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4/5

知恵で掘り当てた鉱脈

三人は鉱山の町へ到着。


ドワーフが多く、酒場も鍛冶屋も賑わっている。ところが広場では怒鳴り声。


「ここから先は俺たちの坑道だ!」


「違う! 俺たちが先に掘ってた!」


二つの鉱山組合が睨み合っている。



宿屋。


事情を聞くと、どうやら新しい鉱脈が見つかった。境界が曖昧だったため双方とも


「自分たちの物だ」


と主張。

そのせいで採掘が止まり、商人も職人も困っている。


イデアール。


「争っていては誰も得をせん」



翌朝。また揉めている。

イデアールが前へ出る。


「一つ提案がある」


皆が見る。


「腕相撲で勝負じゃ」


「は?」


「勝った方に金貨十枚やろう」


一気に盛り上がる。


勝負開始。


ドワーフ同士の意地の勝負。

勝者決定。


イデアール。


「では勝った方が境界線を引け」


「よし!」


勝者がニヤリと笑う。

その時、イデアールが口を開く。


「ただし」


全員が振り向く。


「先に土地を選ぶのは負けた方じゃ」


静まり返る。勝者の手が止まる。


「……」


少し考え、棒を捨てる。


「こんなの意味ねぇ」


相手も笑う。


「結局、半分ずつ引くしかねぇな」


イデアール。


「そういうことじゃ」



二人は相談し始める。


「この岩までをお前ら」


「じゃあ川までは俺たち」


「それでいい」


握手。町中から拍手。商人も安心した表情。

採掘再開。



ティヒカイト。


「最初からその方法を知ってたんですか?」


「昔、領地争いでも使ったことがある」


「なるほど」


シュング。


「また一つ勉強になりました」


三人が歩き出すと後ろから、


「爺さん!」


ドワーフが呼ぶ。


「ありがとな!」


イデアールは振り返らず手だけ振る。


「仲良く掘るのじゃぞ」


朝日に照らされた鉱山の町を後にする。


「……何で建国王が正体を隠してるんだ?本人が名乗らないなら、きっと理由があるんだろう」


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