知恵で掘り当てた鉱脈
三人は鉱山の町へ到着。
ドワーフが多く、酒場も鍛冶屋も賑わっている。ところが広場では怒鳴り声。
「ここから先は俺たちの坑道だ!」
「違う! 俺たちが先に掘ってた!」
二つの鉱山組合が睨み合っている。
◇
宿屋。
事情を聞くと、どうやら新しい鉱脈が見つかった。境界が曖昧だったため双方とも
「自分たちの物だ」
と主張。
そのせいで採掘が止まり、商人も職人も困っている。
イデアール。
「争っていては誰も得をせん」
◇
翌朝。また揉めている。
イデアールが前へ出る。
「一つ提案がある」
皆が見る。
「腕相撲で勝負じゃ」
「は?」
「勝った方に金貨十枚やろう」
一気に盛り上がる。
勝負開始。
ドワーフ同士の意地の勝負。
勝者決定。
イデアール。
「では勝った方が境界線を引け」
「よし!」
勝者がニヤリと笑う。
その時、イデアールが口を開く。
「ただし」
全員が振り向く。
「先に土地を選ぶのは負けた方じゃ」
静まり返る。勝者の手が止まる。
「……」
少し考え、棒を捨てる。
「こんなの意味ねぇ」
相手も笑う。
「結局、半分ずつ引くしかねぇな」
イデアール。
「そういうことじゃ」
◇
二人は相談し始める。
「この岩までをお前ら」
「じゃあ川までは俺たち」
「それでいい」
握手。町中から拍手。商人も安心した表情。
採掘再開。
◇
ティヒカイト。
「最初からその方法を知ってたんですか?」
「昔、領地争いでも使ったことがある」
「なるほど」
シュング。
「また一つ勉強になりました」
三人が歩き出すと後ろから、
「爺さん!」
ドワーフが呼ぶ。
「ありがとな!」
イデアールは振り返らず手だけ振る。
「仲良く掘るのじゃぞ」
朝日に照らされた鉱山の町を後にする。
「……何で建国王が正体を隠してるんだ?本人が名乗らないなら、きっと理由があるんだろう」




