第36話 柚子の花が黒くなる時
「はぁ…はぁ、」
走ったせいで胸が痛い
いや、それ以上に
だめ、飲んだ薬のせいで前が
気持ち悪い
私は何も考えずに、ほとんど前が見えない状態で走っていた
ーーー
どこ?ここ
ほとんど倒れるようにして足を止める
周りを見渡すと、山道でどこかわからない
スマホを開くと、通話アプリから何回も通知が来ていた
その通知を消して、マップを開く
ここ、は
マップが指していたのはこの街で唯一有名な展望台
なんで有名かは、良い意味での有名じゃない
自殺者数が多いからだ
そういえば、百合さんの心配をしてる時に調べたんだった
そんなところに無意識で来ている私は、わかっていた
自分が何をしたいのか
それでも、最後に、星を見ていこうと思った
どうせ、誰も居ない
ゆっくりしよう
展望台はいつでも空いているから、深夜の今は誰も居ないが星がめっぽう綺麗に見える
綺麗
この後することも、これぐらい綺麗だったらよかったのに
葵は、悲しんでくれるかな
あぁそうだ、あの、私をいじめてきたやつらのこと先生に言っておけばよかった。そうすれば、お母さんが訴えたり出来てお金とか…
でも、もうおそいか
お母さん、ごめんね。愛してくれていていたのに
育ててくれたのに
はぁ、せっかく高校まで来たんだけどな
でも頑張る理由がないなら、もういらないよね
ゆっくり塀の外に出る
「わぁ…」
街灯が届かなくなり、星が更に綺麗に見えたと思ったら、流星が数個見えた
あぁ、そっか、双子座流星群だっけ?
去年も見たのはここだっけ?
皆と見て、楽しかった。な
そうだ、私は、記憶が全部ある
私も、記憶が全部、なくなってしまえば
真っ白になっていれば
楽だったのに
こんなことしてるの、皆知ったらどうなっちゃうかな
百合さんは、自分のせいって思っちゃうだろうな。優しいから
すみれさんは百合さんのケアでいっぱいかな
葵は、どうなんだろう
悲しんで、怒ってくれるのかな
前みたいに、隣で、ただ
一緒にいたかった
葵の隣は私なのに
でも、百合さんを恨むのは違うもんね
はぁ、私はなんでなんも本音が言えないんだろう
まぁ葵に嫌われたくないから、だもんね。バスの、百合さんも葵も傷つけちゃった
私は何がしたいんだろう
流星群、きれいだな
あんな感じで一瞬で消えれればいいのに
痛いんだろうな。怖いな、でも
それ以上に、皆と
大好きな皆と
もっと一緒にいたかった
一つの花が、涙を流しながら、流星群が落ちるのといっしょに
重力に従って
ーーー
「バカ!!何やってんの!!」
一つの花に支えられた
「…すみれ?」




