第37話 コンパニオンプランツ
私の前で柚子の花は落ちてしまいそうだった
間に合って、本当によかった
「バカ!!何やってんの!!」
柚子の花はゆっくり、私が掴んでいる手に視線を向ける
「…すみ、れ?」
その顔は今にも、崩れてしまいそうな
「なんで、あなたなの」
「別にいいでしょ、私でも」
わかってる、葵との間になにかあったことも
「…一旦室内戻るわよ」
「やだ、離して!!」
「それは本当のあんたが言ってるの?」
ーーー
「それは本当のあんたが言ってるの?」
葵が、私を初めて見つけてくれたときのその言葉を、今はすみれさんが言っている
その言葉を聞いた時、私は。すみれさんが葵に思えてしまった
単純だともわかっているけれど
「あんたは、全部。今までの努力全部捨てて逃げたいの?」
でも、
もう
「たすけて」
限界だったの
「はぁ、わかったわよ」
ーーー
柚葉が限界なのなんて見てわかった
あんなにも涙を流して、限界じゃないわけがない
車の中で柚葉は声をあげて泣いている
私は、生きたい理由を失うのが怖かったから、自分のものにすると決めた
柚葉は生きたい理由を失うのを怖がった、それ故に自分を捨てることを選んだ
似ているが少し違う、だけれどその気持ちは痛いほど私にもわかる
「…すみれさん。車、持って、たんすね」
「きついなら喋らないでもいいわよ」
「喋って、たい」
「わかったわ」
少し落ち着いたのか喋ろうとしてくれてよかった
「車、そういえば、免許、とってたっすもんね」
「そうね、車自体は親のだけれど」
「…二人は、大丈夫っすか?」
こんなときでも他人の心配
はぁ、まぁ柚葉がそういう性格なのはわかっていたが
「大丈夫よ、少し買い物に行くって言っといたわ」
「すみれさんは…気が使えるっすね」
「そうね、でも、あんたがその顔で帰ったらびっくりされるから、確かメイク道具とタオルとか、私のバッグに入ってるから使っていいわよ」
「ありがとう、ございます」
なんで、かは、見てわかるわよね
柚葉は、葵に依存している
それなのに、葵は今は百合に依存している?
なんで私は葵に百合預けたのかしら
「ねぇ、柚葉」
「なんですか」
「あんたはそんな弱虫なの?」
「…そう、すね」
「別に、怒りたいわけじゃないわよ」
「じゃあ、なんすか」
「百合に葵取られて悔しくないの?」
「…」
「あんたの葵への気持ちはそんなものなの?」
「それは!!っ、なんでもないっす」
「あんたは自分を優先しなさすぎよ」
「どういうこと、っすか?」
「もっと、クズになってもいいの」
「生きたいがままに生きなさいよ」




