表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/41

第35話 柚子の花の色

私の好きな人は優しい

誰にでも手を差し伸べる

私だけを見ていてほしいのに他の人を優先する

「葵、ごめん。先帰って」

「いいけど、朝のこと忘れてないからね」

「うん、わかった…ごめんなさい」

「…?」

葵は首を少し傾けて百合に引っ張られて帰っていった

今の百合は居なくなってしまうかもしれない

それだけ弱ってる可能性があるから、葵は百合のことを思ってる

それなら、百合がいなくなるか


私が昔に戻れば良い


ーーー


放課後の閑散とした、だけれど、部活での声が外から響く時間

そんな時に、私は見覚えがある空き教室に入る

「まった?」

私はその中に居た一人の男に話しかけた

「いいや」

「よかった」

男の近くに寄っていって、男の手を上から重ねる

「なんか雰囲気違うね」

「まぁね、それより。良いよ、好きにして」

「良いのか?」

「良いの、もう」

私にあそこに居場所なんてない

あの中に居たら私は最悪の選択を取ってしまう

それがまだ最悪とわかっている、

その間に少しずつ、昔に戻らないと


ーーー


「あ、おかえりなさい。柚葉」

玄関の戸が開くといつも通りの明るい百合が出迎えてくれた

「ただいまっす、ゆりさん。体調どうすか?」

「大丈夫だよ?柚葉こそ大丈夫?顔色よくなさそうだけれど」

そう言えば、さっき飲んだ薬の効果が出てくるのがこの頃か

「大丈夫っす」

「よかったー」

百合は優しい笑顔を返す

今は、その顔がひどく憎らしい

私にその白い髪があれば

「葵がご飯作ってくれてるから、食べてく?」

「そうっすね」

目の前の花が踵を返して、私は、バッグの中のカッターに手をかける

「柚葉、おかえりー。遅かったじゃない」

「…あ。葵」

その顔を見て、すぐにカッターから手を離す

「ご飯、作ったからみんなで食べましょ」

「もう、私が言ったよー」

「わかってるわよ、百合。食器出すの手伝ってくれる?」

「うん、わかった!」

私は、

何をしていたのだろう

そんな選択誰も望むわけがない

百合さんも、葵も、優しすぎるよ

そんなんじゃ、私が醜い…みたい、じゃない


「柚葉?」

すぐ前に百合が立っているのに気づかなかった

「どうしたっすか?」

「おつかれ、なの?ぎゅーでもする?」

なんで、百合さんに

誰のせいだと

「大丈夫っすよ。すいません、委員会の仕事が長引いちゃって」

「…ほんとう?」

違う、百合さんになんて気づいて欲しくない

「百合ー!食器手伝ってよー!」

「はーい!!ちょっとまってて」

ほら、もう葵からは私が殆ど見えてない

「ほんとう、ってなんすか」

「柚葉が一番抱えちゃうから、私に手伝えることあったら、頼ってほしいの」

なんで、こんな醜い私に

「柚葉は皆のこと見るの上手でしょ?でも、全部抱えようとしちゃうから」

あなたは手を差し伸べるの

「だから、なんでも言って。ね?」

百合は私の手を取る

「いっ」

私はその手を瞬時に、振りほどいてしまって、百合さんが倒れてしまった

「…あ、あ…ごめん、なさい。百合さん」

震えた手で私はどうして良いかもわからない

「どうしたのー?おっきな音聞こえたけど、大丈夫?」

「あ、葵。その、これは」

「大丈夫、ちょっとこけちゃっただけで」

百合が葵に引っ張られて立ち上がる

「気をつけてよ?」

「柚葉?」

私は、何も出来ない

もう、ここには居ちゃいけない

「ごめんっす、そういえば。今日早く帰んないとだったす」

そういって、誰の言葉も聞かずに玄関から飛び出した


私は、本当に。なにがしたいんだろう

それすらもわからない

皆を守りたい?葵に見て欲しい?それとも、


消えたいの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ