第34話 大好きな時間
玄関の扉を押し開ける
葵は、委員会らしくて朝早く出ていった
だから、私は一人
学校について正門から入る。担任の先生が挨拶してくれたから頭を下げて返す
下駄箱に入っていた紙を丸めてバッグにしまう
下履きを履いて教室に歩いていく
いつもの光景だ、周りの目以外は
「おはようー、みんな」
教室の後ろから入ると、私の席で柚葉が寝ていて、すみれと葵の姿はない
「あ、百合さん。おはようっす」
「あれ?柚葉だけ?」
「すみれさんは葵の手伝い行ってますよー」
「柚葉は行かなかったの?」
「めんどいっす」
「ふふ、柚葉はそうだもんね」
「私をなんだと…まぁ、いいっす」
柚葉は一度伸びをし、再度眠りにつこうとする
「あんたねぇ、百合の席なんだから早く譲りなさいよ」
ポコっと帰ってきたすみれが柚葉の頭をノートで叩く
「あ、おかえり」
「ただいま、百合」
「いてて、理不尽じゃないっすか!」
「あんたがいるせいで百合が座れないでしょ」
「ただいま」
と、言われるのと同時に葵から抱き寄せられる
「どうしたの?葵」
「んー、温まってる」
「あー!葵、ずるい!!」
「私が先だものー」
「私が彼女なんだけど?」
二人が言い合うのと一緒に私の身体が左右に振られる
「二人とも、百合さんが困ってるっすよ」
ほんとに
「それより、1限は小テストですけど、勉強しました?」
その時、葵がピタっと止まる
「葵?」
「え?…テスト?」
「そうっすよ」
「百合、とすみれは勉強、してきたの?」
仲間を探そうとしてるし
「私、勉強しなくていい」
「私もー」
「すみれも!?」
「だって、勉強しなくても点とれる」
そういえば、すみれはテストの順位上位だもんね
頭いいの良いな
私なんて
全部忘れちゃうのに
「ま、嘘っすよ」
そうでしょうね、皆ほとんど進路まで決まってるのに小テストやってどうするの
「ゆ、ずは」
「え、ちょっと、葵、思ったより。おこ、って」
「放課後、私の家来てね?」
「顔が怖いっす!ガチの顔っす!」
「うるさい、本当にびっくりしたんだから」
楽しい。ただ、みんなと話してるだけなのに、こうやって胸が熱くなると一緒に、クラスメイトの視線がさっきから胸を突き刺してくる
みんなは、気にしてるのかな
わたしのせいで
「百合?」
考え込んでいて、話を聞いてなかった
「どうしたの?すみれ」
「いや、今日は葵の家行くから一緒に寝ようね」
「うん、いいよ」
あと、何回
この何の変哲もない
私の幸せな
この記憶を刻めるのだろう




