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第25話 柚子の若葉《下》

「あ、柚葉おそいー、来ないのかと思ったじゃん」

さっきの子が空き教室に入るなり、私に抱きついてくる

「来たよー、来ないわけないじゃんー」

抱きつきながら、首など、耳を噛まれる

「いっ、」

「どうしたの?」

「あ、大丈夫、だから」

「あはは、そうだよね。柚葉はこれ、大好きだもんね」

「う、うん」

その子は私を抱きながら、器用にリボンを取り出し

私の両手を結んだ

「え、□□ちゃん?なに、これ」

「なにかー、んー、柚葉へのお仕置き?」

その時パン、とその子が手を叩く

「皆出てきていいよ」

そう言うと、ぞろぞろとその子と仲の良い男の人が二人ほど、隣の教室から入ってきた

「どういうこと?□□ちゃん」

「柚葉、昨日私達のこと助けずに見てただけよね」

「…」

「だんまり?」

その女が私の服に指をかけボタンに一つずつ手をかける

「ひっ、ごめんなさい」

「謝らなくていいのよ?ただ、柚葉にも味わってほしくてね」

「や、お願いします!謝るから、お願い、やだ」

「でも、柚葉これは好きだって言ったわよね」

「そ、うだけど、」

そうだった

私に

抗う権利なんて

ないんだった

そこからは身体はだらんと力が抜けぼーっとしてしまった

「あれ、怖くなっちゃった?まぁ、いいや。好きにしていいわよ」

あの女がそう言って、男たちが私を触りだす

何も感じない

感じたくない


ガタンッ


教室に別の音が響き渡る

「なにしてんの」

その音は大きく、扉をたたき開けた音だった

「あんた、前の」

「そんなのいいから、なにしてんの」

低く、響き渡る声

同じ女性が出しているものとは思えないほどの

「関係ないでーー」

「答えてくんない?」

「見てわかんないの?バカなんじゃないの?」

「あ、そう。じゃあ見てわかるものが犯罪だから、警察か先生どっちがいい?」

「なにが?」

「呼ぶ方」

「そんなの許さないわよ、こっちには男二人いるのに、あんた一人でヒーロー気取り?は、笑えるわね」

ドン

一つの音が響き渡る

男の片方が貴方に蹴られて倒れる音

「これでも笑えるの?」

「は、はは、おかしい、あんたおかしいよ。偽善者気取り!!」

「はいはい、それでもいいから、警察も先生も嫌なら、早くどっかいってくれない?」

「っ...、分かったわよ」

バタバタと二つの足音が遠ざかっていった


「じゃあ、あとはどうにかしてよね」

リボンを解きそれだけを言って貴方は帰ろうとしてしまった

その手を私は掴んだ

「なに?」

もうこの頃には限界だった

自殺も考えていた、けど

貴方を考えてるとそんなことどうでもいい

「行かないで」

やっとの思いで喉を通ったのがそんな一言だった


「はぁ、わかったわよ」


ーーー


貴方は文句一つ言わずに私の手を握り続けてくれた

「ねぇ、あんた名前はなに?」

「……柚葉」

「あ、そう」

「貴方は?」

「私?」

彼女は少しだけ言い淀み

「私は」


「”葵”」

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