第23話 柚子の花びらが落ちる
「どうしたの?柚葉」
さっきから窓の外にいる葵とすみれを柚葉が眺めている
「いや、あの百合さんの友達、なんか見たことがある気がするんすよ」
「誰のこと?」
「え、あの人っすよ。すみれさんとさっきから話してる、長髪の」
すみれと話してるのは葵だけ
どういうこと?
「柚葉、見えてないの?葵だよ?」
「?」
本当に分かっていないように頭を傾ける
「誰っすか?」
どういう、こと?
葵のことを忘れてる?
いや、もともと知らないかのように
「忘れちゃったの?」
「すみれさんにも言われたんすけど本当に知らないんですけど」
「なわけないじゃん!!」
柚葉が葵を忘れてしまったなら
なんのために私はこんなに苦しんでるの
「え、ちょっと、百合さん。お店の中っすよ!」
「あ、ごめんなさい」
「どうしたんすか、百合さんが声出してるとこなんて全然見たことないっすよ」
おかしい
白化病は人を忘れるものじゃない
単に数時間しか会っていない人を忘れるならまだしも、なんで葵だけを忘れているの?
「まって、本当に何も覚えてないの?」
「だから覚えてないも何も、本当に知らないんすよ」
「柚葉白化病じゃないよね?」
「違いますよ、百合さんじゃないんですから」
「なんで、今の柚葉は知ってるの?」
「だって、あれ?言ってたじゃないですか、すみれさんが白化日知って百合さんを怒った次の日に」
葵だけを、本当に葵だけを忘れてる
白化病じゃない
「ねぇ、柚葉」
バスでのあの言葉の後が原因?
それだとしても、私は聞いてないことが前提
どう探せばいいの
その時、スマホが少しだけ揺れる
『ねぇ、柚葉が葵のことを忘れてるみたい。多分白化病』
すみれ!
そうだ、すみれに確認してもらえば
『すみれ。葵にあの言葉を柚葉が言った後、何かしなかったか聞いて』
『聞くけど、どうして』
『私の予想だと、葵になにか言われたこと原因になってのショックで忘れてるだけだと思うの』
それなら葵だけを忘れてることに説明がつく
『分かったけど、そんあことありえるの?』
『わかんないけど、柚葉が白化病なんて信じたくない』
『そうね、聞いてみる』
「どうしたんすか?」
柚葉が頼んだコーヒーを前にそう聞いてくる
「いや、すみれちょっとだけ寄り道してくるって。それより、柚葉それだけでいいの?お昼ご飯」
柚葉は少し顔をしかめて言う
「いいっすよ、ちょっと食欲なくて」
そうだ、気づかなかった
さっきまであんなに落ち込んでたのに、今は気にしてる様子が少ない
バスの時の会話が消えかけてる?
でも、それなら私も忘れるはず
白化病なら
「ねぇ、柚葉本当の事話してほしいけど、白化病じゃないんだよね?」
「違うって言ってるじゃないですかー。そんなに心配なら髪の毛染落としみたいのでも使ってみます?」
そこまで言うなら、本当なのかな
柚葉が白化病じゃなくて
少し残念




