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第17話 白い髪と柚子の花

百合の先端から雪のような白くて綺麗ででも冷たい髪を梳かす

綺麗、すごく

でもこれが全部真っ白になったら

全部消えてなくなっちゃう

「どうしたの?すみれ」

「別になんでもないけど」

「いや、手止まってたから。疲れちゃった?」

「大丈夫」

「ほんとうー?」

「本当だから頭動かさないで」

「はーい」

そこでコンコンと扉が叩かれる

『百合さんー、入って大丈夫っすかー?』

柚葉?

「入って大丈夫だよ、柚葉」

『本当っすか?まだイチャコラしてたりしませんか?』

「してないよ!?」

『じゃあ入りますけど』

がちゃ、と扉が開き柚葉が入ってくる

「葵は?」

「部屋で準備してるっす」

「あ、そろそろ集合時間だっけ?」

「そうですけど」

言い淀む、何か言いたそうにして

「何言いに来たのよ」

じれったくなって聞く

「いや、すいません。すみれさん、部屋戻って荷物の確認してもらってもいいですか?」

「百合はどうするのよ」

「そうじゃなくて、すみれさんが一旦部屋戻ってください」

百合と二人になりたい、そういうことなの?

「変なことしないわよね?」

「しないっすよ。すみれさんに包丁で刺されたかないですよ」

柚葉は一番周りを見てる

誰かが傷つくことはしたがらない

大丈夫だろうか

「わかったわ」


―――


「柚葉、話って?」

先程すみれが柚葉に言われて部屋から出ていってから柚葉は少しだけ考え込んでいるようでベッドに座って肘を膝に付けて手で頭を支えている

「百合さん、今からでも髪戻しません?」

「な、なんで?」

「どうします、きつくしっかり言われたいですか?それとも優しく曖昧に言ってあげましょうか?」

なんでそんなことを聞くんだろう?

「きつくでいいからしっかり聞きたい」

「わかりました」

柚葉が靴を脱いでベッドに正座をしてこちらを見てくる


「正直に言うと百合さんのその髪でクラスの前に出たら、百合さんはひどく傷つくと思います」


「っ…」

少しは想像していた

すみれと柚葉と葵はああやって今まで通り接してくれても他の人達がそうしてくれるかなんてわからない

「私達は百合さんが私達を忘れて、ひどい言葉を当てられる覚悟もしているから大丈夫です。でも、どうでしょうか。他の人達は単純にめんどくさいという感じで距離を取る人もいれば自分を忘れられる恐怖で逆に嫌う可能性だってあります」

「そのぐらいなら、我慢するよ」

「それで済めば良い方です。調べたんですけど、白化病の患者は六割が白化日の前に自殺をしてます」

「するわけないじゃ――」

「百合さんがそうと言い切ってもそんな辛い環境に置かれた百合さんを私は見たくないです。それに、いじめとかが起きても今はSNSがあります。学校でのいじめは私達がどうにかします。でも、SNSは無理です」

「…」

「どうしますか、これを聞いてもそのままで行くというなら私は止めません。二人にはこの話はしないです」

「え、」

それって、柚葉が一番辛いんじゃ

柚葉だけが負担を

「決めてください、染めるのも時間かかるでしょう?」

「それって、柚葉が、一番」

言いかけたところで柚葉が遮る

「そんなの気にしないでください。私がやりたいからやるだけです」

「でも、」

「そんなに心配するなら染めてくれません?すみれや葵の説得なら手伝いますよ」

これはすみれが綺麗と言ってくれた髪

でも柚葉に辛い目にはあって欲しくない

どうしたらいいの…

すみれ



「ちょ、ばか!!今入ったら――」

そこでバタンと扉が開き

「すみれ!あんたが押すから開いちゃったじゃない!」

「うるさいなぁ、葵だって今すぐにでも入ろうとしてたじゃない」

葵とすみれの姿があった

「二人とも?」

「あ、柚葉ごめ、いや、まってまって、そんな怖い顔しないで!」

「先に行ってろって話しましたよね」

「だって、すみれが気になるって」

「ちょ、葵だって気になるってついてきたじゃない」

「黙りなさい。で、どこまで盗み聞きしてたの」

互いに顔をあわせて

「…そのー、結構最初から」

「………」

柚葉が黙って頭を抱える

「はぁ…」

その後に大きな、ひどく大きなため息一つ

「でも、なんで言わなかったの?私達に」

「そりゃ、二人を心配させたくないからに決まってるでしょ」

「私は反対だからね、戻すの」

「話聞いてたんなら、一番に賛成してくださいよ。すみれさん」

「絶対に嫌。百合が自分でいられないなんておかしいもの」

「はぁ、てことでどうします?百合さん」

確かに、いじめとか無視とか、すごく怖い

でも

それでも

「私は皆に隠したくない」

”自分”でいたい

「はぁ、わかりましたよ。百合さん」


その時、バタバタと数人の足音が聞こえる

「おい、お前ら集合時間過ぎてるぞ」

その正体は担任の先生と保健室の先生

私の白化病を知ってる先生が入ってきた

「ちょっとー、先生。ダメですよ。女子の部屋入ってきちゃ」

「開けっぱにしてる方が悪いだろ。それより集合時間すぎ――」

そこで私と目が合い、止まる

「百合、髪隠さないのか」


「はい、先生」

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