EP1-31.
巨大ユニットから離れた日本支部チームは、各自の得意ポジションに位置取りし、先ずはエコー2のスナイパー射撃による反撃を開始した。
しかし、巨大ユニットにはバリアのような膜が発生して、音速を軽く超えるライフル弾が弾き返されてしまった。
「まっ、当然そうなるか。いいか!相手の弱点は真上からの攻撃だ。タイミングをずらして攻撃してかく乱しつつ、相手に近づく!」
「エコー1、その対応は俺がする。そっちのユニットよりこちらの方が加速が上のはずだ。」
「いや、複数で対応した方が勝率は高い。さっき放った振動波距離は300程度、チャージタイムもあるはず。上手く避けつつ懐に飛び込んでやろう。」
「承知した。各機、無理な攻撃は取らずに、回避行動と弾幕で応戦。砂モグラのために弾薬は温存したいが、ここで死ぬわけにもいかない。」
「そうだ、砂モグラにも大きな一撃を浴びせないといけないからな。じゃあ、行くとしますか!」
エコー1は抜刀による高周波を巨大ユニットに放った。周囲には木々が生い茂っている為、それらを切り刻んで、視界が少し良くなった。
「おいおい。せっかくの遮蔽物を無くすなんて、隠れる事が得意なお前らしくもない。」
「相手はAIのはずだ。カメラでこちらの位置なんて把握してねぇよ。だったら、弾をぶち込める状況にした方が良い!」
エコー1は次々に高周波を発射させて、木を切り倒していく。白い刃にも見える高周波は巨大ユニットにも当たったが、バリアによって弾き消されてしまう。
「どんどんぶち込んでやれ!相手に隙を見せたら一気に逆転されるぞ!」
エコー1の指示により、他のメンバー達も続くように攻撃を仕掛けていく。様々な銃弾が飛び交い、巨大ユニットに集中するが、バリアに守られたユニットにはまったくといって効果が無い。
それでも、巨大ユニットの足かせにはなっており、相手が進むのに苦労している様子が見て取れた。
巨大ユニットもミサイルを飛ばして来るが、精鋭でまとめられた部隊なので、機敏な動作でミサイルを躱し、反撃を繰り返していく。
「ブラボー1!同時に攻め込むぞ!」
「了解した!ブラボー4、6、行くぞ!」
「エコー3は後ろから続け!」
「承知!」
エコー1とブラボー1は、ブースターで加速して巨大ユニットに近づく。それに負けじとブラボー4と6、エコー3も加速するが、少し遅れ気味になった。
その動きに反応したのか、巨大ユニットから振動波が発生して、メンバー達に襲いかかった。
五人は振動波が来る事を予想して動いていたので、振動波が届くギリギリの所で回避をし、巨大ユニットの懐まで一気に加速を始めた。
五人が1体の巨大ユニットに近づいている時に、他メンバーはもう一体の巨大ユニットに攻撃を仕掛けており、エコー1達に振動波が届かない距離に誘導をしていた。
「よし良いぞ!ブラボー1、やってしまえ!」
「まかせておけ!」
ブラボー1のBDは高く跳躍して、巨大ユニットの頭頂部に乗り立った。それを察知したのか、巨大ユニットの表面が青く光り始めた。
「マズい!もう一回跳べ!」
「何だと!」
エコー1の言う通りにブラボー1が跳躍をした瞬間、巨大ユニットは大きな放電をした。
放電は放射状に数メートルほど広がり、木々を一瞬にして焼き払うが、跳んだブラボー1には届かなかった。
「電気ネズミみたいに危ねぇ奴だ。よし、そのまま叩き込んじゃえ!」
「とうりゃあ~!!」
ブラボー1は脚部を上げながら、巨大ユニットの頭頂部に向けて加速する。そして、勢いを付けてかかと落としを巨大ユニットに浴びさせた。
その一撃は脚部に取り付けられたユニットによって衝撃を倍増させ、巨大ユニットは頭頂部から胸にかけて爆発を起こした。
「決まったぜ!さすが海獅子!」
一撃必殺の攻撃を終えたブラボー1は、かかと落としの反動で巨大ユニットから離れ、巨大ユニットが倒れていくのを眺めた。
「この足の力、素晴らしい!」
「この調子で次も行くぞ!ただ、次はこいつとは違うタイプみたいだから、上下が弱点じゃないかもしれない。」
「大丈夫だ、こいつの力で粉砕してみせる!」
「エコー1!こいつは振動波だけじゃなく拡散するビームも持っているぞ!」
エコー1はかく乱対応しているメンバー達の状況を確認すると、ブラボー2とエコー4が軽傷ではあるが負傷していることが分かった。
「弱点に近づけさせないように兵器を考えたな。そうなると先ずはバリアユニットを破壊するか。」
「近づくのも困難なのに、どうやってバリアを破壊するというんだ?」
「ブラボー1、俺の持っているスキルを忘れたか?」
「スキル…、そうか!あれならやれるかもしれないな。」
「そういう事だ。各機、俺の攻撃に注意してかく乱を続けろ!」
「「了解!」」
エコー1は抜刀した刀を一旦鞘に戻して、深く腰を落として再び抜刀の構えになる。それを確認しながら、他メンバーは巨大ユニットの右半分に集中攻撃を開始した。
「行くぞ!抜刀術ガ四!段々畑!」
エコー1は見えないくらいの速さで刀を抜刀して、その場所で次々と素早い斬撃を繰り返した。
高周波を伴なった斬撃は巨大ユニットの左碗部から発生したバリアに弾かれるが、弾かれた高周波に次々と斬撃が当たり、次第に巨大な衝撃へと進化して、バリアユニットが耐えきれず爆発を起こした。
「やったな!これで相手を遠くからでもやれるな!」
「そういう事だ、一気に決める!抜刀術ガ二!三日月乱舞!」
エコー1は再び鞘に刀を戻しており、抜刀の勢いによって円弧を描き、三日月のような斬撃を三回放った。
斬撃は巨大ユニットの胸部目掛けて飛んでいき、巨大ユニットもミサイルとレーザーで斬撃に対応するが、勢いは少し程度しか弱まる事がなく、衝撃を与えられた巨大ユニットは胸部から爆発を起こして倒れこんだ。
「よっしゃあ!!」
「見事だ。山豹の力、恐れ入った。」
崩れ落ちたユニットの爆発が森に燃え移らないように、メンバー達はすぐに消化対応をした。
「いい感じでやられてるな。」
「そうだな、新型兵器の試しには丁度良い相手だったかもしれない。」
巨大ユニットを改めて確認するメンバー。それぞれのユニットの破壊された箇所が大きな衝撃を物語っていた。
「このユニット以外、周囲には脅威が見当たらなさそうです。」
「ですが、この戦いは砂モグラに知れ渡ったかもしれません。」
「そうだな、まあ仕方がない。」
「とりあえずブラボー3は作戦中止だ。ブラボー2とエコー4の状態はどうだ?」
「かすり傷程度ですので、行けます!」「こちらも大丈夫です!」
「索敵程度には対応できます、行かせてください!」
それぞれがBDの調子を答える。
「駄目だ、その勢いが足を引っ張ってしまう事、何度も経験している。」
エコー1がはっきりとした口調で応答した。その声は過去の重みを背負っているような重厚さを感じさせた。
「命を大事にしろ。次に活躍したら良い。」
「…分かりました。この後もよろしくお願いします!」
「了解した。エコー4、ブラボー3と無事に離脱しろ。」
「了解!」
ブラボー3は右腕を失ったBDを器用に操作し、エコー4と共にスムーズな動作で部隊から離れていった。
「さぁて、次は何が出てくるか。」
「正面から攻めるのは厳しくなるはず。丁度迂回すると補給も出来るだろうし、そうしないか?」
「そうだな。各機、変更した進路をトレース。一定距離をとりつつ行動開始だ。」
「「了解!」」
エコー1はすぐに迂回路を共有して、一同は進み始めた。




