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0035 アウトサイダーの特質の一つについて

↓2018.10.07-12

   アウトサイダーの特質の一つについて


 コリン・ウィルソンが言うところの「アウトサイダー」については、以前に何度が書いている。「アウトサイダー」自身でなければ理解し難い部分があることについても、書いた。

 「アウトサイダー」の本質的な特質については、「特殊な能力がある」としか説明しようがない。その「特殊な能力」を言葉で説明することは出来る。しかし、その言葉の意味を本当に理解出来るのは「アウトサイダー」だけである、と考えている。だから、詳細に説明しようとは思わない。言葉の驚異的な実用性とがっかりするような限界について無頓着な人々には、なぜそういう現象が起こるのかということさえ理解しえないだろう。

 「アウトサイダー」の内面で起こっている本質的な現象は記述するのが難しい。ただし、その外面的な現象をある程度記述することは比較的容易である。受け入れ難いかもしれないが。

 以下に、その現象の一つを記述してみようと思う。


 「アウトサイダー」の特質の一つに、「比較的、想定外が少ない」という現象がある。それは、あらかじめいくつかの条件が提示されていれば、それに応じてどのようなことが起こりうるかをいくつか推測し、それにどう対応したらどうなるか、など先々を様々に想定するのが、「アウトサイダー」にとっては当たり前のことだからだ。(「アウトサイダー」でなければ出来ないということではない。)

 例えば、コリン・ウィルソンは『賢者の石』という小説のなかで、XXXXXを散々にこきおろしている。それは、XXXXXの作品の中では、いくつかの物語の前提からどういうことが起こるかはだいたい予測出来るのに、登場人物は、選りに選って最悪の結果を誘導するような行動を選択することが多いからだ、と私は解釈している。(他にも、「そんなことをしたら、そんな結果になるはずがない」とか、いろいろパターンがあるようだ。)つまり、「アウトサイダー」であるコリン・ウィルソンは、「登場人物の行動がアホ過ぎる」と感じて、「そんな馬鹿な」と思ってしまったから、こきおろしているわけである。

 私もXXXXXを最初に読んだときに、ほぼ同じ感想を持ったので、コリン・ウィルソンの気持ちがよく分かった。しかし、一部の人々にはコリン・ウィルソンの主張が受け入れ難いだろうことも、少しは理解出来る。想定する能力が乏しい人は相当な割合で存在しているからだというのが、私の考えだ。(ちなみに、最初に読んだ作品は『XXXXX』である。十四歳かその前後だったと思う。)

 「アウトサイダー」の一人であるフランツ・カフカは、その辺りのことが根本的に異なっている。『城』という小説を例にすると、主人公は常にああではないか、こうではないか、と推論を重ねている。推論を確かめるために行動し、それに対する反応を見て、推論を修正したり、より発展させたりしている。(いろいろと知恵を絞ってもうまくいくとは限らない「現実」の諸相などを書きたかったのだろうが、それはまた別の話だ。ともかく、そういう根本的な特徴を見落としてカフカを理解しようとしても、それは無理だというのが私の考えである。ただでさえ退屈な話なのだから、その辺りのことを理解せずに読んでも得るところはない。)

 ところで、世の中では、「想定外」という言葉を使えば、失敗が免罪されるという現実がある。勿論、将来起こる全てのことを想定することなど不可能である。しかし、いくつかの状況が知られていて、それに対してどのようなことが起こりそうかと推定することが可能であり、しかもそれが比較的容易な場合にも、そのような言葉を使って失敗の責任を逃れる人々が多い、というのが私の認識である。簡単なことも予測出来ないような人は、当然責任者になる資格はないと考えるが、しばしばそういう人間ほど出世してしまうことが多いのが現実である。(それには、それなりの理由があると考えている。)話がそれるので止めておくが、そういう人間は、想定が出来る人間に問題点を指摘されてもそれを受け入れる能力がないし、対応しようなどとは思わないことが多い、という現象を指摘しておきたい。何が想定出来ることで何が想定出来ないことか、の区別もつかない。頭の良い悪いは関係ない。(逆に、「それは想定出来ないのでは」と疑問に思える場合でも、後になって激しく責めたてずにはいられない性癖の人もいる。根は同じだろう。そういう人は自分のことを棚に上げることが多い、という現象があるとも思っている。)

 「アウトサイダー」は、単純な「想定外」に見舞われることがあまりない。教科書や慣習などの「決まり事」しか知らず、「想定外」だらけの世界に住んでいる人が、「アウトサイダー」との違いを理解することが難しいのは当然のことだ。



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