来る日は近く、感じる者は少なく、既知者はただ静観する。
燦々と大地を照らす太陽から伝わる熱、室内に居たとしてその暑さを感じさせるほどに夏が近づいていることに気づく。後一ヶ月も経てば、学校は長期休暇に入る。その時は夏の本番という時期。
夏の始まり、空には一切の曇りもない。だけど、前年度のこの頃を思い浮かべれば、雨の季節である。
今日は天気は大丈夫そうだが、明日はどうなのだろうかと心配とも少し違う思いで晴れていることを願う。
そんなことは良くて、今日のことである。
寮のロビーにある休憩席、そのセットとしてあるテーブルにチェアーは白く塗られている。
自分が座っているところは窓から差す光は当たらない席一人で彼女を待つ。その待ち時間に今日のデートプランを考えているわけだが、特にどうしようとかはないために悩む。
デートといっても、色恋から来たのではないから、友達と一緒に体魔祭を見て回ろうというだけ。つまり友達と遊ぶ事と変わらない、それが男女二人だけのこと。
決して、そんな浮わついたのではない。決して……。
兎も角、遊びの時と変わらずでいいだろう。その後の方が大事なのだし。
だったら……町に行き……多分出店とかが多くあるはずだから……店を周りながら二年生の種目を見つつ……お昼は……早めに食べた方がいいか……その後はまだ姉達と生徒会長の種目があるから……。
「はぁー」
どんどんと面倒事が立て込むな。
『生徒会に入りませんか?』
目の前に座っていた金糸で一本一本と人形に付けたように麗しい長い毛に凛々しい顔つきに蒼い瞳が凛々しさを美しさをより増す。本当に名工に作らせた人工花のようで、容易に触れれば、数瞬で枯れ壊れる。
そんな繊細さを感じさせる生徒会長、あの人、何を知っているだ。
あの時の言葉が頭の中で響く。
『その日は満月ですからね』
『貴方の為にやっていること』
『私の言葉に迷わされただけの子供』
その言葉が妙に昨日から残る。何かしなくてはならないのではと。
胸騒ぎとも言うべき、ざわめきを内から感じる。
だから、悩んで、悩み、悩んだ末に、何のつもりで言ったかはわからない、キンジョウ先輩の言った誘いに、言葉が漏れる。
「……生徒会ね~」
話に乗ってみるか、話を聞くために、
「--生徒会って?」
後ろから聞こえた知っている声に、ドキリとした。
平然とした態度で、振り向き、彼女に挨拶をする。
「おはよう、カザクラさん」
「おはよう、ナガクラくん……それで、生徒会って……何かあったの?」
挨拶に返したカザクラさんは、自分の呟きが気になるようで聞いてきた。
「何か、有ったといえば有ったし、無かったといえば無かった。そんな感じで、何か問題があるわけじゃないかな」
「……そう。ならいいけど……じゃあ、行きましょう」
「あ、ああ……行くか」
自分は席を立ち、カザクラさんと共に外にでる。
今日は見事の快晴。
開けた扉から差し込む日差しの眩さに目を細め。
それはとてもとても眩しく、その光に彼女はとても眩しそうで、その扉に手を付ける。
でも開いたのは自分だった、彼女は一気に入り込んでくる光に目を細め。
自分はそんな彼女に、話し掛ける。
「行こうか、デートに」
微笑み、カッコつけながら彼女に言葉を掛ける。
彼女--カザクラさんは細めた目を驚き見開き、笑う。
可笑しそうに、腹を抱える程ではないにしろ、自分を見て。
「似合わないよ、ヨシタカくんにはそういうの」
楽しそうに笑い、彼女は未だ可笑しそうに言った。ただ、自分はそんな事より、下の名前を呼ばれたことに固まってしまう。
「ヨシタカくん、行きましょう--デートに」
「……」
まるで初めからそうだったように自分の名前を呼ぶ彼女にどのように反応していいのか分からない。
やはり、下の名前で呼ばれることに慣れない……けど悪い気はやはりしなかった。




