勝利を掴みて
目の前に広がる花々が睡蓮のように空にプカプカと浮かぶ。ただの魔法の花に見えるが、一つ一つが何らかな意味と性質を保有する正真正銘、魔法の花。
その花々を魔力で幾つも敷いたレール場を流れさせ、敵に攻撃として届ける。
ナガクラは油断なくその攻撃を避けながら、近づこうとしている。
イロカゼにも同様な攻撃をするが避けるか防ぐかで、楽しそうに此方を見てくる。
攻撃として、威力の面では有効打には成らない。ただ注意力と集中力を削いでいく、此方にはまだまだ在庫がある。
視界内で二人に向けた見えないレールを幾つもの作り出し、仕様運転を試す。まだまだ未完成な魔法の為に、扱いが難しい。
本当なら、使うには足りえない魔法だったけど、仕方ない。
イロカゼが余計な茶々をしてきたから、ムカッてしてやっちゃった。
膨大な魔力が私の後ろに蓄えられている、二回目の子達を産むための。
時間が経つにつれて、魔法陣の制御で攻撃に中々集中できない。魔法陣の制御から手を離せば、後ろにある花の子房に蓄えている魔力が魔法陣内に暴れ巡って、最後に爆発してしまう。
そのリスクに、もどかしさを感じる。あそこで攻撃できれば、と何回も考えてしまう。その考えることが次第に楽しく感じ初め、もっと魔力をどのように効率化をすれば、制御が楽になるか、そしてどうやって二人を倒すか。
暴れ狂うような魔力を完璧に制御下に置き、ゆとりを作り、それを使ってこの魔法をアップグレードする。
なら、初めに。
リズムに合わせて、最初は鼓動。徐々に自然体によって成される呼吸法にする。体の中の魔力を体全体に汲まなく巡らせ、無駄を無くした魔力操作で外の、だが内の一輪の花の制御を行う。
継続型魔法の制御とは魔力の一定の出力、即ち魔法陣の維持である。魔法の制御となるとそれは発現までの工程を表す。
その中での立体魔法陣とは、扱える魔法を大幅に広げれるけど、比例して魔力消費量が多い。平面魔法陣とは違って形を成している為。それが立体故の障害で、脆さと大きさである。流す魔力が多ければ、あるところに力が掛かり過ぎて壊れてしまう。
だから、自然体に魔力を扱っているのに、まだ淀みと力みがある。
見えない力が関与している、それが無くなれば多分遥か高い次元の魔力操作ができる。
それをしないと勝てない。
……? 勝ちたい? なにゆえに?
最初は、体魔全力祭なんて、興味がなかった。ただ本が読みたかった。だから、クラスで誰が個人種目に出るかなどの話し合いに参加せずに、本を読んでいた。
静かとは言えない教室であったけど、私にとっては関係なく本に意識そのものが向いていた。だから、そこで私に掛けられた言葉があったとしても、あやふやに返してしまう。それがいけなかった。
嵌められたのだ。一見、か弱そうに見えるネイロに。
駄々を捏ねるも、「上の空で返事したのが悪い」と言われて言い返せなくなってしまった。そんなことで深々とした溜め息を付く。
面倒臭い思いと本への時間が少なくることの不満が大きい。それで何時ものように学園の図書館で本を読んでいたが、中々集中できなかった。
もう一回、直談判をしようかと悩んでいた時に、お話仲間が隣の席に座って少し驚きが混ざった顔をして話し掛けてくる。
「どうしたの、初めて見たよ。ハナサキさんの険しい顔を? いつもそんな顔に出ないタイプなのに?」
最近、よく話すようになったお話仲間のナガクラ。いつも話す時や聞く時に楽しそうな顔をする生徒。
試験中の期間に偶然知り合った。そここら、教えたり、話したり、聞いたりとするお話仲間になっていた。
そんな彼の問いに、答えると。偶然とばかりに、ナガクラも個人種目に出るようだ。思いは同じようで、共感してくれる。
私とは少し事情が違うようだけど。
二人して溜め息を付いていると誰かに見られているような感じがして、後ろを振り返ると確かに目が合う者がいた。
ナガクラも感じていたのか、振り返っていた。視線の先も同じ。
何だろうか、邪気のある視線ではない。此方を観察するような、それも楽しそうに。
私達と目が合うとにこやかな笑みを浮かべて、此方に来る。
腰に携えた華やかな装飾が施された明らかに異常な魔法的加工が成された鞘に収まった剣。一目、見るも何も分からなかった。
確かに私は魔法加工やら錬金術の専ではない、でもその身に詰まった神秘がどれくらいなのかは分かる。
それが分からなかった。それは計ることすらできない逸品。それを携える男に興味が必然と沸いた。
ゆっくりと私達の前に来た。
そして、楽しそうに言った。
「君達って、もしかして付き合ってる」
……第一声がそれだろうか?
ナガクラも良く分かっていないようで、意味が分からないこというこの者を追い返す。
「それをいうことが用事ならもう帰ってくれ」
その言葉に男は首を傾げ、気にしないことにして。
「一応、先のはジョーク的のだからな……で、本題というか目的は君、ナガクラだろう?」
指をナガクラへ差して、そう問う。
これは私は特に関係のかな、なら本を読もう。
「そうだけど……それで、なに用で」
「早速、お前に興味があるから話そうぜ、ついでにハナサキも」
ナガクラの話だったので、二人の話を意識外に置いていたからビックリした。流石に完全に意識外に置いていたわけでない、今日の失敗から学んだこと。
なぜ、ついでに話さないといけないのか、それにあまり面白そうな話じゃない。
だったら帰っていいかな?
「帰っていい?」
ナガクラは何故か溜め息をついて、ストップの手をする。
「もう少し話をこいつの話を聞いてやれ」
多分騎士科の男に視線を向けると笑顔を返してくる。帰ろうかな。
「俺はイロカゼ・マタチ。見ての通り、騎士科の生徒だ。好きな食べ物は、母のシチュー。異性の好きなタイプは首筋だ。これからよろしく」
やっぱり、自然の力を表す記号をあれにして、そこから特殊な力を生み出す記号をこれで、その間の変換器として生命があるから、変換器によって特殊な力が変わる。光魔力を毒魔力に変換とか、光を光魔力に変換も出きる。それを利用して……聞いてなかった。
「……聞いてなかったから、もう一度お願い」
と言ったら顔を少し引きつらせ、ぷっと吹いているナガクラ。何が面白いのだろうか。
「……イロカゼ・マタチだ、よろしく」
「よろしく、それじゃあ、帰っていい?」
「……そうだな、もうなんかいいや……じゃあ、俺も個人種目のクラスリーダー戦に出るから」
と良く分からないままに、去っていった。私とナガクラはなんやかんやと本を読んでいた。
それがこの三人の最初、ナガクラと話せば話すほどに楽しい、彼が話すことや考えは私にはなくとても刺激的。
そんな彼が、どのようなスタイルで、どのような考えで、どのように行動に移すのか。
考えるのが楽しい、答え合わせのように彼が私に見せてくれる。
ナガクラに真剣に戦って勝ちを狙っている。私も勝ちたい、初めて楽しい勝負なのにもっと遊びたいし、全力を出しているのに負けるなんてしたくない。
ついでに、イロカゼに勝たれるとうざいから勝つ。
情報は既に持っている。そんな気がする、たしかナガクラから聞いた話。
そう、気の話し。思え出すと必要な情報とそれに関する情報を持ってきて、あらゆる情報から気術使いからデータを取る。目の前に今まさに使っているはず。
観察しろ、どいうふうにしている呼吸は体のリズムは、姿勢に力の入れ具合、重心移動に魔力の流れ……etc.
その中でも特に意識が大事なのだと、この世界が大きな流れに従っているという自らの意思で理解しなければならない。
気とは何か、世界の流れ、即ち力の流れであり、変化の流れで時間が流れることにある。
内の流れを感じるのではなく、この世界の流れを感じなければ。
世界の流れとは、何だろうか。
歴史を思い浮かべる。
最初のカミ達が世界を作り、星を作り、精霊を作り、一つの星が生まれた。
星に生命が生まれて、幾度の生命が生まれては死んで、カミの血により人の祖先が誕生した。それから人は大自然に生きて、いつかは住を構え国を作り、国は潰えた。その中で色んな形に変化して大きな道が分かれて分かれて、生まれては終わりの繰り返しをする。前からもこれからも。
人はその大きな循環の一瞬にしかいない。
結論。
私は世界だ。そして私は私である。
内に小さな世界が形成された、いや元からあった。それが明確に意識できるとあらゆる力の力み、淀みが整われる。
変わった感覚になる、魔力を操るのではなく魔力があらゆる力の気が全身を汲まなく脳髄まで巡っていく。
大きな力の渦を感じる。内にも外にも。
こんな新鮮な感触に新鮮な世界、呼吸を一度するだけで脳が活発化しているかのように思える。
今なら呼べるきがする。
二人に勝ちたい。こうなっても中々、勝てない。私は戦闘は得意ではない、興味がなかったから実践的な魔法が少ない。
だから勝つ為に、思考を巡らせ、最後のようにこの空間にある全ての花を二人へ向ける。
私は後ろに咲く花に触れる。
冷たい。ひんやりとした感触、生命溢れさせかのように思えていた花は何処までエーテル体。
子房に貯まる魔力を利用して私は、この体に。
――精霊を呼ぶ。
全ての知識を駆使し、やっと成功の可能性が見えるその魔法を使って二人に勝つ。
次回は日曜日に更新です。
二十時ぐらい誤差だよね。




