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のんびり屋の精霊使い  作者: 夢見羊
終わりと始まりの体魔全力祭
54/69

種目

 観客の盛り上がりを見せる中、次の種目へと移る。

 個人種目と言われるが、その一つには一人で行う種目ではないのがある。それは、各学科から三人、選出された者達で行われるチーム戦である。

 チームのリーダーに与えられるバッチを奪うもしくは、リーダーを倒すことで、そのチームを負けさせることができる。そして残ったか一チームだけが勝利を掴む。


 円形闘技場、観客席から直接見ること叶わず、通信映像から見る

ことになった。


 闘技場は既に森林と化しているからである。

 学園の教師陣が展開した結界魔法の環境変換により結界空間内が森へと換わった。その場で戦う、三チーム。


 既に種目は開始している。


 精霊科の三チームのカザクラ、アカゾク、ナナキは自分達から比較的高い位置に行きまず、敵の位置と全体的なマップの把握をすることにした。


 一番高いと思われる場所に行き、アカゾクはナナキの支持に従い木に登り辺りを見渡す。


 そこに、広がるは森林。


 果てしなく、広がり続けている。だが、ここは円形闘技場であり、森林へと変換したもので範囲は決まっている。だけど、これを見れば距離感やというのが曖昧になってしまいそうである。

 だが、この今いる位置が範囲の端であることは着いた時に分かった。


 まだまだ続くように思えた森林は透明な壁と共に遮られる。

 この範囲は広くはないが、逃げる隠れるには十分ではある。だからか、敵を見つけることは叶わなかった。


 だが、敵の位置というのは大体の予想は立てられる。最初の位置は分かっている。円を三当分に分ける位置に多分各チームは分けられている。

 つまり、自分達の方角は北西で、騎士科や魔法科はどちらか分からないが南と北東であろうと思える。そこから、先見たマップから川の位置、崖や森林から見ると大体な位置は分かり真ん中辺りに集まると思われる、川を渡って無ければ。

 川の流れは強くはないし渡れないことはないが渡るなら早めの方がいいし、足が濡れるのは危険であろう体温が奪われる。そしてジャンプして飛ぶには幅がある為に渡っていないと思うし、探しはするが逃げはない、奪い合いだし潰し合いでもある。


 その為に自分達は漁夫の利的に、魔法チームと騎士チームが戦い合っている最中に入るのが勝利の最低条件だろう。

 自分達は弱いのだ。その自覚を認識しつつ、勝利を掴めないわけでないことを理解している。


 戦うなら川を挟んで此方が攻撃出来るのが理想的だが、多分川を渡ることになるだろう。

 そんな作戦会議をしつつ、自分達の特性を生かした戦い方をすることを最初から決めていた。


 敵の位置を予想して、その場所に向かう為に移動を始めようとした時に、魔力の膜が自分を包みこむような感じで通り過ぎた。

 それに一気に警戒の体制がなる。


「これは……」


 何が分からずとも、アカゾクは警戒の体制を強め辺りを警戒をする。それに、ナナキは答えを出す。


「多分だが、索敵魔法」


「だとすると魔法チームね」


 索敵魔法を使用したチームは魔法チームと定めるカザクラ。

 索敵魔法事態は騎士チームもこの者達も使えするが、メリットとデメリットの割合が微妙である。メリットは敵の位置がわかる、デメリットは自分達の位置が逆算される。そしてこの範囲ならば、逆に自分達の位置が割れやす。でも、二チームの位置を知れることはデカイ。だから微妙である。


 ただ、この者達や騎士チームではこの範囲全体をサーチする索敵魔法を使えるかといえば難しいというしかない。

 ならばだ、やる意義はあるのだろう。それと魔法チームの位置がこの範囲の中心。それをどう捉えたかこのチームのリーダーは。


「早めに動くぞ、いいか二人とも。これは挑戦状だ」


「分かった」


「いいよ」


 精霊チームのリーダーはナナキであり、二人はそれぞれ魔法チームと騎士チームに攻撃をする。では、リーダーの守りは誰がするのか、それは彼自身である。

 その作戦は上手く嵌まるのか、それとも直ぐに負けるのか。完全に実力だよりと言えるだろう。


 ただ、ナナキ一人に二つチームの一人が集まるだろう。精霊科で一人、そしてそれはリーダーでバッチを持っている。それは完全なる獲物である。

 リーダーが捕まられければ、その二人は集中的に攻撃を仕掛けれ、二対一が出来るわけだ。上手くいけば、勝てるかもしれない。あくまでしれないだが。


 今回の種目からして、作戦を立てるにしても情報が足りなすぎる。最低限、出来ることと言えば動きと戦う時の基本的想定に奥の手の切りる時である。

 だから、騎士科のような連携は無理だ、魔法科のような魔法の実力もない。だから、個を出す必要があったのだろう。

 そのまま急で、中心へと向かうと既に、魔法チームと騎士チームが戦っている様子。


 川付近であり、川の向こう側である。理想的なシチュエーションにタイミングを見計らって魔法攻撃を仕掛ける。出来るだけ、意識敵同士に向かっている時、それが早ければ不意打ちの成功度が上がる為に、機を伺う。


 アカゾクは川を渡り騎士に攻撃出来るように隠れて、此方が攻撃したら騎士チームに仕掛けるため。

 そして、最適と思うタイミングで二チームはぶつかり合った風系の魔法を放つ。


 瞬時にそれを覚った二チームは避ける同時に距離を取る。それを予期したように精霊チームは攻撃を仕掛ける。

 カザクラは魔法チームに川を渡り仕掛け、アカゾクは騎士チームを奇襲。ナナキは二チームからそれぞれ一人を相手取る為に動きに出る。


 ただナナキは二チームからそれぞれを引き受けるには自分からそのように仕掛け必要があり、つまり丁度いい位置にいる自分は丁度ちょっかいを掛けれる。川を挟んだ位置から。

 それに、騎士チームのリーダーは一人に目配せをするとナナキの方へと翔てバッチを取りに行かせる。

 ナナキはもう少し望む状況にするために、魔法チームにちょっかいを掛けまくりながら、騎士科の生徒を相手取る。





 イラついた魔法チームからと早めに来た騎士チームの者達を相手取る。

 騎士科の生徒の攻撃を持っている剣で受け流しながら、魔法科から魔法攻撃を防ぎつつ、自分の立ち位置に気をつける。

 上手く相手が乗ってきた、一か八かの賭けではあったが乗ってきた。これで自分達の勝率が上がる。


 ナナキは相手の動きに注意深く見ながら、騎士科の者との距離を取りつつ、魔法科の者との距離を縮める。

 余裕なのか、ナナキは二人に話しかける。


「君たちは好きな人はいる?」


 涼しく微笑みながら問いかける言葉。

 その言葉の真意を探るように視線を向けるが無言のまま切りかかる騎士科の者を防御する。

 その防御をしたナナキの後ろを狙い水魔法を放つ。それを余裕を持ってナナキと騎士科の者は避ける。


 適度の距離を取るとナナキは余裕そうに、また話しかけてくる。


「好戦的だね、まあ、いきなりそんなこと聞かれてもね? じゃあ、名前からナナキ・アガタ、以後お見知り置きを」


 そうお辞儀までする、それには気品が見える。その態度に二人は、自分達の陣営をチラリと距離を見ながら、微笑みを向けてくるどこか怪しげな者に返す。


「俺は、アミシロ・ユキト」


「……私は、カノウ・ユウマ……ナナキ様、お話は終わった後で」


 そう告げる騎士科のカノウに、ナナキの笑みはより強めると、その笑みの裏側の怪しさは増すばかり。

 魔法科のアミシロと騎士科のカノウは警戒心を強めた。


「自己紹介も終え、始めますか……」


 そう告げると魔力を急に高鳴り始める。

 それを危険視した二人は止めに入るが、ナナキの次の言葉で世界は減衰した。


「ーー我は世界を遅らせる者、小さな世界は大きな世界を揺らがせ、歩みは遅れる。我が世界、我が領域に、足踏み入れた者よ。ここは貴様らの世界でないことを知れーー」


 ーー遅延邸(スローワールド)ーー


 地面に大きく刻まれた魔法陣に世界は区切られ、魔法陣の領域を我が物のように扱い世界を遅らせる。

 すべての歩みは遅く、すべての言葉も遅い。

 ここでは、ただ一人を除いて遅すぎる。





 騎士チームよ二人を抑えることを任せられたアカゾク。

 最初は不安しかなかった。自分が個人種目に出るのも、騎士科の二人を抑えることも。


 ナナキくんは、軽く感じに「出来るならバッチも取っていいよ」と言っていたけども。

 余裕なんてあるわけがない、二人の動きに付いていくだけでやっとである。


 身体能力がそもそも雲泥の差である。そこに、武術が加われば、自分が攻撃の手を入れることは出来はしない。

 魔法を使えばそこを埋めることが出来る。


 何の魔法を使うか。身体強化の魔法は既に掛けている。攻撃系の魔法、そんな余裕はない。防御系も同じく。じゃ補助系、雲泥の差を埋めるほどの魔法を知らない。魔法を作る、魔法を即興で作ることは出来るわけもない。

 ただ自分が持つ、どの魔法より使いやく、効果的な魔法を使う。


 自分の得意魔法は魔力注入。これは、何かに魔力を注入するのではなく、魔力になにかを注入する魔法。いや、そのどちらもをする魔法である。

 自身の身体強化の魔法に、風と電気の要素を入れた魔力を身体強化魔法に入れる。


 すると自分の周りに風と電気が発生しそれを綺麗に纏う。

 その二つだけではなくもう一つの要素をいれた精霊魔法の速さを上げる魔法である。

 魔力消費はバカにならない、だが、この時間だけは持つだろう。


 異変を感じたのだろう騎士科の二人は警戒心を強め、型を取る。

 兄から自分も見様見真似で練習した剣術を手に取る。こっちに来てから欠かさず、毎日取り組んだ一つである。


 一人が攻めて来た、それを注意深く見ながら、こちらに攻撃をしてくる。

 それは早く力強いが太刀である。合わせるように自分も剣でガードをする。

 剣を受け流しながら、一歩と相手の間合いに踏み込み同時に空いた胴体に拳を叩き入れる。


 油断はしてはならない、その意識により自分の死角から入ったもう一人の騎士の攻撃を防ぐ。

 力の押し込みが強く、強制的に後ろに下がらさせられる。

 相手から追撃はなく、味方の回復を待っている。わざわざ、一人で突っ込む分けもない、なぜなら二対一のアドバンテージをなくす意味がないからだ。


 ただこちらがそれを待つほど優しくはない。

 加速と共に太刀を放つ。






 魔法の攻防戦、魔法科の生徒から放たれる魔法の数々は火、水、風、土、雷、氷、光、闇。

 そんな攻撃魔法が一人に飛んでいくが、周りに漂う一つの光球がその魔法に向かい触れると、魔法は強い光を放つと共に消失していく。


 無数に漂う彼女ーーカザクラは、その光球を操り防御をしていく。


 光球は規律よく操られ、飛び交う魔法を掃除をするように消しさった。

 カザクラはこの攻防を予め予想をして、この防御の光魔法を手にいれた。クラスの皆の協力を得て。

 クラスの皆からの魔法の数に比べたら足りない。


 だが、攻撃も入れられない。防御だけならば、いいが攻撃を入れられない。魔法を打ち込めばあちら側の魔法に必ずぶち当たる。ただ、光球は攻撃には使えない、攻撃に使えば危険性から失格となるだろう。当たっても学園側が掛けた魔法で心配はない。


 だから魔法科の者達も魔法を放ち続けているのだろう。

 これは予想通りではあるけど。


「……魔法科の者がいつまでも、攻撃魔法を放つだけ?」


 訝しげな視線を魔法科の者に向けながら呟いた。

 そうじゃなくても、時間を掛けるのは得策でない。魔法を消滅させるほどの光球を出すにも少なくはない魔力が必要だ。


 このまま続けばじり貧。

 だから、そうならないように近接戦の槍を持っている。


 勝つために攻撃を仕掛けることにした。防御を自分の周りだけにして、魔法の中を突っ切る。

 身体強化と魔法刃を瞬時に掛けて、それに相手の一人は反応に遅れて槍の間合い引き入れ、一突きをする。


 素早く穿つ槍は防御魔法に防がれる。嫌な音を鳴らせるも破壊は出来ずに、魔法が飛んでくる。

 槍を持った右手の手首を回すことで払いながら、光球を発現させて防ぐ。

 まず一人を気絶させるべき、その考えから近くのまだ逃げ切れていない魔法科の女子生徒に追撃を食らわす為に動く。

 それを許すほど甘くないのも知っている、光球で防御をしつつ、槍の先に纏わせた光球ほどの威力を持たない光魔法での攻撃。


 次は防げずにもろに喰らった攻撃で、あまりの衝撃に気絶した。

 それを確認すると油断なく残った一人を見る。


 バッチを胸に付け、大きな尖り帽子を被った黒髪ロングは腰辺りまで伸びていて、黒いマントに身を包み。スカートの裾は膝辺りまで肌の美しさを隠すストキング。

 黄色い瞳がこちらを見つめる。興味深そうに、こちらを観察してくる。


 一人が倒れているからとて、慌ててた様子はない。だからといってこちらを油断している様子もない。


 魔力も体力も十分にある。

 冷静に距離を詰める、相手も魔法により攻撃をしてくるが、防御をする。いつもと変わらない。


 そう思っていると、後ろから突如、衝撃が背中に走る。


 顔を歪ませ、痛みを歯をくいしばる。倒れそうなった姿勢を槍を地面に着けて、体勢を保ちつつ。走り抜ける。


 そのまま払いの攻撃を放つ光魔法を防御魔法で防ぐと思って掛けながら攻撃した。

 だが、予想と違って、手に持っていた長めの杖で防がれた。


 唖然としているなか、相手は抜かりなく魔法の追撃をしてくる。

 咄嗟に光球の発動は出来なく、避ける他なかった。

 まだいけると攻撃に移ろうとした瞬間に、後ろから強い魔力の反応を感じた。


「ちッ!」


 考える暇なく、後ろを振り替えれば確実に燃やさんがために火球が向かってきていた。

 これにも何とか避け、下がりながら、光球を出し防御に出る。


 気絶は罠、確かに槍の突きを打ち込んだはず。その感触もあった、とすると何か仕掛けていたのか。

 その判断に行き着くと二人との距離があったが、距離は殺され懐に杖の先を向ける。その杖の先には風が収束した小さな球。


 避けたいが、それを狙う者がいる。だから避けずに光球を攻撃に使う。

 それに綺麗な顔をしかめる。なぜなら、この光球は完全に殺傷能力が高いからである。当たれば、完全にルール違反になる。それともびびって避けると思っているのかと堂々と怖れず、放つ。


 衝撃は凄まじく、カザクラから悲鳴が漏れて、容易に吹っ飛ばされる。


 そして、堂々とした態度とは違って、満身創痍であった。何とか立ってはいるが、他に行動を移すことはできない。

 ギリギリの威力、魔法を放っただが、それと同時に光球が放たれるが全てを防ぎ切った。


 だが、一つ残っていたのだ。それは他の光球とは違って、弾力を持っている。それが、魔力の性質を変化させる技術を用いた光球。


 それが凄い速度で顎へとぶつかった。

 結果、立っているだけで精一杯で、魔法を使うには脳が思うように機能していない。


 だから、まだ倒れない。勝つために、だから吹き消えそうな細い意識を保たせながら、槍を杖にして立ち上がる。

 同じく満身創痍、でも気合いだけで意識を保っている。


 そのカザクラに残った魔法科の生徒が徹底的に潰すために風の魔法を放つ。

 意識は朦朧とでも、勝つためにと。意識を定めて、防ぐために魔法を扱うが。光球は使えない。


 だから左手に魔力を集め、光魔法を扱う。

 魔力の制御が覚束無い。

 光が魔力に増幅され。

 振り絞る決意で光を制御する。

 膨大な魔力を決意で支配しろ。

 こんなことで諦めれない、手を伸ばせ。

 皆と優勝を手に。


 元々、覚束無い魔力の扱い、それにこれだけの魔力を扱えばあれが眠りから覚めてしまうかもしれない。


 迫る風の渦。


 それを消すために左手をそれに向ける。

 不安定な光は徐々に眩き強い光へと。


 風は、左手に宿る光。その眩き光は放たれ風は掻き消された。だがそれは、ボッオフッ! と奇怪な音と共に鳴った。


 その音は何かが破裂したかののような音、でも金属や木とかが破裂した乾いたまたは金属音とは違って生物が破裂したような籠った音。


 それは突如、カザクラの左腕が膨れ上がる魔力に肉体が耐えきれず破裂した音。


 肘から手首までが肉が爆ぜて、赤黒く染められた肉が周辺に飛び散って、骨はヒビが入って今にも壊れそう。

 魔力の集中していた左手は自らが産み出した光に焼かれている始末。


 苦痛の悲鳴がこの場に静寂をもたらすも、凄絶な痛みに気絶してしまう。






 悲鳴、それは一瞬な空白を生むのに十分すぎた。

 誰の悲鳴か、聞こえた方を見れば直ぐに分かった。


 腕が爆ぜて肉が見え、肉に包まれし骨が見えている始末。

 そんな光景を見れば、誰もが止まって空白を生むのも仕方ない。


 倒れる彼女と共に悲鳴は止んだ。気絶をしたのだろう。


 この八名の一人だけ、冷静な思考ができた。だから、このほんの一瞬の空白を利用して、彼女の思いに答えるために。


 制限していた魔力を解放して、ナナキから発せられる魔力の膨大されに周りが空気が不気味な軋み音を上げる。大きな魔法陣を天地に展開して、この空間を我が物とするために世界を切り崩す。


「ーー我は世界を遅らせる者、力を意思を時間を我が力の前では全てが遅い。我が領域は世界から奪い我が物とした。だから我が意思に従う。ならば、我と化せ。世界の意思に反するこの我に、屈せよ。ここは貴様らの知る世界でないと知れーー」


 ーー遅延領域(スローワールド)ーー


 唐突に発せられた領域魔法に皆、呆気に捕らわれていて何が起きているのか分からなかった。だから魔法科の者達でさえ、対策も止めることも出来なかった。


 世界の全ては遅れて、一人加速していた。

 そして一瞬で魔法科の者リーダーが持つバッチを取り、次に遅く遅い世界で、アカゾクが抑えていた騎士の二人を封じ手、バッチを手にとって。


 魔力の底、尽きそうになるほどに魔法的器官をフル活動させて扱った、たった数秒な全力魔法行使。

 これで終わりを告げた。





 種目は終わり、自分は治療を終えたカザクラさんの様子を見るために来た。

 扉をノックすると「どうぞ」と聞こえたので入る。

 中に入るとそこには、ベッドの上で座っているカザクラさんがいた。


 窓から差し込む光はカーテンを通して白い光となって部屋を照らす。

 その光に当てられるカザクラさんは、どこか遠い所を見つめていた。その左腕は包帯に包まれている。


 運ばれる時は気絶していたが、目覚めているようだ。


「大丈夫、カザクラさん」


 大丈夫のわけがない。あの怪我は治癒魔法ですら危険な状態だ。

 それでも、そういう他なかった。


「大丈夫でわないわね。今も痛いし」


「それもそうか……」


 一応、見舞いに来た。心配ではあったが、死ような怪我をした時でも治せるように治癒魔法の医者がいるのだ。

 だから、死ぬことはないと思っていたが、あんな怪我を見れば心配してしまうのは仕方ない。

 なかなか、会話は弾まない。弾むわけがないかと、口を開く。


「皆も心配していたよ、その中でも特にシロミヤさんがね」


「そう、みんなにちゃんと伝えてね、大丈夫って」


 そう微笑むカザクラさんは、どこか儚げに見えた。だからか、自分は意地悪のこといってしまったのは。


「もちろん、でももう少し元気だったら心配はないだけどね」


「今日はも安静にしないといけないから、皆と一緒に勝利を掴めないだなって思うと寂しくてね」


 隠すことなく吐き出した言葉は、悲しそう悔しそうであったが、でもどうでもいいかのように。

 だから自分は先の反省と元気づかせるために。


「君がいたから今回の種目で勝てたんだよ。過程はどうあれ…………だから、絶対に皆で勝利を掴もう」


「そうね、そうよね。ありがとう、元気が出た。必ず、勝ってね、ナガクラくん……個人種目で」


 消えいりそうな笑顔を浮かべていった。

 今日は色々とあるな。だから、自分も覚悟を決める。絶対に勝つために。


「勝つよ」


 さて、時間もそろそろ。自分がここに来たもう一つ理由を告げる。


「明日は空いているかな?」


「えっ? 空いているけど」


 じゃあ、大丈夫だね。


「なら明日はーーデートに行こう」


 自分はそう微笑みながら、手を差し出した。

 次の更新は土曜日です……多分、日曜日になるけど。

 土曜日までの間に、更新できたらします。



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