何時もと違うが平凡の一日 3
無事に寮に着き、自分の部屋に入る。
入ると短い廊下があり、脇にトイレや洗面所があって、廊下の先に自室がある。そのまま扉を開けると部屋は暗く灯りはついてはいなかった。
この学園の寮は基本的に相部屋なので、今は相方がいないようだ。
灯りをつけず自分のベッドに座る。
「はぁー……疲れたぁ」
座った体勢から背を倒して、息を吐いて呟いた。
まさか、最初に道を教えて貰ってから一時間も歩くことになるとは思わなかった。どれだけ、方向音痴なのだろうか。笑えてくるよ……本当に。
寝た体勢から起きて、机の上に置いてある物に目がいく。それは明日から学校で受ける授業の教科書等々があった。
朝起きた時にはなかった。入学式は一時間弱で終わったはず、それに自分は迷子になっていた。それでも三時間経ってはいない。頑張ればできるのだろう……たぶん。
教科書はひとまず置いといて、持ってきた荷物の荷解きを済ませる。
昨日はアマイノ町に着いてから、急いで学園の色んな手続きや制服の採寸などを済ませてたら太陽が沈みかけていた時には、びっくりした。そのまま寮に入り部屋などルールを聞いていたら太陽は完全に消えていた。
ようやくの思いで自分の部屋のベッドに付く旅や旅の間のことに学園に着いてからの疲れがどっと出てしまい、それと合わさるように久しぶりのベッドに意識を思わず手放してしまった。
そのまま一時間ぐらい寝てしまったが、誰かに肩を揺らされていると気付き、それにより徐々に夢から覚めた。
目を開けるとぼやけた視界のなか人がいた。寝ぼけているために思考が止まり、ボーとしてしまう。そのために女性だと見間違えるほどであった。段々と脳が目覚めてきたのか、ぼんやりとした景色ははっきりと見え始める。
こちらが起きたのを確認するとホッと顔をする。
「もうすぐご飯の時間だよ。だから食堂に行かないとご飯を食えないからね」
はっきりと聞こえる声を発した彼は、わざわざ起こして教えてくれたわけだ。
まず彼に従いひとまずベットから起きて、完全に覚ますたてに頬をパンパンと叩いて意識を覚醒させる。
「教えてくれてありがとう。えーっと。部屋の相方ですよね? 自分はナガクラ・ヨシタカ。これから末長くよろしく?」
「なんだか末長くというと結婚した夜に夫婦が言ってそうだね。自分はタツガワ・ミセン。此方こそよろしくね…………それよりはやく食堂に行こう、お腹が空いるんだ」
「ああ、分かった行こうか」
そんな挨拶を交わして食堂に行く。
食堂では料理が並んでいて、食べたいものを選んで自分の皿に乗せるバイキング形式。それにおかわり自由らしく、皆はそれで色んな料理を持っている人たちがいる。
ここは広く、学年毎に分かれて居るようで、クラス毎に決まった者とご飯を食うことになるだろ。
食事も終わるとお風呂に入り、自分にとっても長旅の疲れが癒える。
ベッドに寝転がると夜の静けさと暗さを何時もよりも味わい深く感じ、まん丸とした月の光がよく感じる
夜が寂しい、久し振りにこんな寂しさを感じた。それが不安からくるものなのか、それともホームシックなのかは分からないけど。
そんな思いもすぐに消えて眠りついた。
それで入学式を終えて今に至るわけだ。昨日は色々と忙しかった。でも今日からは昨日ほどの忙しさはないだろう。不安要素はあるが……。
そう言えば、今日会った女子生徒はどこかで会った気がする。確か、夕食時に見た気がする。それも同じクラス席で…………気にしないでおこう。
何か微妙な気分になってしまい、手早く荷解きを済ませる。
終わる頃にはちょうど昼時になっていた。お腹も空いてきたので、昼食を食べに食堂に向かう。
夕食時とは違って、食堂には人がちまちま。
昼食の時は看板にメニューが書かれており、そこから選んで注文をする。
看板に書いてあるメニューから自分はシチュとパンにして、注文をすると鉄板を渡される。
それは出来上がったら文字と絵が浮かび、頼んだ料理が置いてあるトレイにも同じ文字と絵があるらしく。それを見て取るだけ。
席でぼんやりと待っていたら、鉄板に絵が浮かび、受け取りにいくとちゃんとあり持っていく。見間違えてないように確認は確りした。
席に着き、食事をする。まず先に木製の器に入ったシチューに同じく木製のスプーンである。
熱々とした湯気が出ているクリーム色なシチュー。その中に野菜がごろごろとあり、玉葱、人参、じゃが芋、ブロッコリーとあって、人参やブロッコリーが簡素な色に彩りを与えている。
シチューを掬い、湯気が出ていて、熱いのが見て分かる。それをスーッと口に流す。火傷をしないように気を付けながら。
「うまい」
簡素だが、純粋な誉め言葉が口から溢れる。
味は見た目どうり美味しく、とろみが少しあり塩味が感じられる。それにふっくらとしたパンをシチューに浸けて食べる。それは当たり前のように美味しさである。
しばらく舌鼓を打っていると、隣に誰かが来た。
横目で見ると知っている人物であった。
「やあ、相席させてもらうよ」
そう言って隣の席に座る者は、銀髪の青年で同じクラスの生徒である。そして部屋の相方であるタツガワ・ミセンくんである。
自分は口にものを入れていた為に返事は返すことはできず、軽く頷く。
一旦、食事を止めて軽く見ると、同じく昼食のようだ。
お肉のステーキ丼にお味噌汁の定食。こういうと普通だが、実際には数が違うがその定食を三つ頼んでいる。それを横目に見ながら、何処に行っていたのか聞いてみる。
「部屋にいなかった用だけど、何処かに行っていたの」
「ちょっとね。体を動かしていただけだよ。それに君もだろ」
「自分はちょっとした迷子でね。……それより明日から体魔測定だけど、タツガワ君はそう言うの自信ある?」
「迷子」と首を捻っていたが質問に直ぐ答えてくれる。
「そうだね。体を動かすことは好きだから良いだけど、魔力に関しては、魔力の制御が難しいだよね」
明日の授業である体魔測定は身体的機能、魔力的機能を測る。
ただ魔力に関することは自分たちには難しい所がある。それには高位の精霊が関係する。
高位の精霊は魔力が多く、質が高いのだ。そして自我が確立しているためき、友好関係をうまく気づくことが出来なければ、魔力の大部分を扱うことは出来ない上に契約したての自分達は制御が難しいのだ。
そのために学園に入る。力を暴走させないようにと何が有ろうと対処するための処置で、人材確保のためでもある。
自分もその一人であるし、このクラスの悩みの一つでもあるだろう。
「まあ、それはしょうがない。その辺は精霊と仲良くならないとな……自分はあの時以来から話していないから、ヤバイよ」
「えっ? それはヤバくない。自分でもたまに話すけど」
本当にヤバイことだ。精霊と友好関係をうまくいかなければ精霊の魔力がこちらに微量しか流れず、もしもの場合対処が出来なくなるから。
それに色々とハデに怪我したせいか魔力のコントロールが難しいのだ。それは高位の精霊だけの話だ。
まあ、何とかなるだろう。一応、毎日話しかけているのだが、答えてくれない。
ため息混じりに息を吐く。本当はこんなはずじゃなかったのに。
「そんなに精霊さんとの仲が悪いの? それとも別のこと」
「前者もあるが、後者の方が辛いとこだ。……そろそろ食べないと冷えるぞ」
「そうだね、食べよっか」
話は一旦、やめてご飯を食べるために手を動かす。
今一度、食を楽しむ。
チラッと隣を見たら、食に没頭しているようで此方を気にしていない様子。昨夜や朝も見たが大食いである。忙しそうに手を動かしご飯に食べている。何処にそんな量が入っているのか不思議。
自分はご飯を食べ終わり、コップに入った冷たい水をゴクゴクと飲み干し、食事を終わらせる。いつも思うが食後のお水が美味しい。
渡された鉄板を食べ終わった後にトレーに食器と一緒に、返却コーナーと書いてる場所に置いといてといわれため持っていく。
食器を片付けるために席を立ち、トレーを持とうとする時に袖を弱い力だが引っ張られる。それはしたものは隣のタツガワくんである。
「いひょうにーー」
「まず先に口の中を無くしてから、喋りなよ」
モグモグとした口は徐々に収まり、水を飲んで口の中を無くし、先の話を続きを話す。
何故かモグモグとしていた姿が可愛いと思ってしまった。これは病気だろうか?
「一緒に、部屋に戻ろう」
「ああ、別にいいけど」
そういうと急いでご飯を食べている。ちゃんと残さず綺麗に食べているから、食への礼儀が出来ている。
もう少し時間が掛かるかなと思い、辺りを見回す。そこには色んな人がいる。
寝癖がボンバな人。先まで寝ていたのか、それとも魔法で頭が爆発でもしたのか、でもそれをきにした様子は本人にも周りにもない。
大柄な熊とじゃれている男。あの熊は魔獣であるようだから、使い魔ってやつだろ。前見たし。
基本的な茶色の毛色に赤々としとラインが前足に入っている。それは狂暴性を示すように、ラインの先は五本に分かれ爪に合わさるように。
綺麗な姿勢で動きの一つ一つが無駄がないエルフ。エルフは長寿で、身体的にも直感的にも優れているために武術を得意とする種族である。
沢山の本を読んでいるドワーフ。エルフ同様に長寿である。基本的に他種族は人族より長生きである。魔法に優れていて、物作りが得意な種族。
タツガワ君見たいにご飯を大盛りにして食べてる獣人。耳と尻尾がピクピクと動いたりしている。視線に鋭いのか目があった。何や見るなと言いたげな視線なので、見ないことにする。まあ常識的に考えてあまりじろじろ見るのは良くないね。
他種族がいるようで、話して見たい。
周りを軽く浅く観ていたら、食べ終わったのかタツガワ君が席をおもむろに立ち上がる。
そのまま一緒に食器を片付けて、部屋を戻らず、寮周辺を回ることになった。
そのまま一日は長くも短くも感じなから過ぎてった。




