テストがやって来た4
テストが終わり、休日。
寮のロビー、窓から日射しが射し込み、明かりがついてはいないながらも明るい。なんせ、ギラギラといった感じで太陽が輝いている。初夏にしては暑い日。それにふと夏が近づいているのだなと思ってしまう。
ロビーにはテーブルとイスが適当にあり、その席にはたまに人が話したり、本を読んでいたりとしている。憩の間として使っている。
そのために、今日もそのような人達が座って休日を謳歌している。そんな中、自分とタツガワくんはイスに座ってのんびりと日射しを浴びながら待つ。
ここは、皆との持ち合わせによく使っている場所。何時も遊ぶときなどはここで待ち合わせが当たり前となっているというか、必然とここになるのは当たり前だろう。
朝練を終えて、もろもろの準備をして朝食を食べてからタツガワくんと一緒にここで待っている。
ただ少し早く来てしまったようなので、タツガワくんと体魔訓練の話をしていた。
机にベェータとテーブルに寝そべるタツガワくんから、自分の話を求めてきたので、闘いの部分だけを話し最後の悪魔からでたヤバい何かは避けて話す。自分のことはそこそこ話して、タツガワくんの方も聞く。結構気になるし。
タツガワくは机に寝そべった体勢から起こして、此方を向いていた顔を少し傾け、普通の男より長い髪はサラサラとして銀の髪に日差しが当たり金色のように輝く。
でも、先まで頬を机につけていたから、多分その時に毛を挟んでいたのだろう。頬に毛が付いている。それが余計に、にっこりと口の端を吊り上げていう。
「楽勝だったね」
そんな姿が、女性かのように見え、焼けに印象的で記憶に刻み付けられた。それに思わず、綺麗だと思ってしまうが、こいつは男である。
それは置いといて、まあ、実際に戻ってくるのは早かった。特に傷や毛がなどもあるわけでもなく、魔力や体力といった減りは少なかった気がする。
前の試合では、倒せていなかったけど。
「どうやっ――」
気になるので詳しく聞こうとしたら、後ろから自分達を呼ぶ声がきこえた。途中までいい出した言葉をとぎり、振り替える。
そこには、ヒマワリくんとハルキくんの二人がいた。町に出掛けるように私服である。
「おはよう!」
「おはー、元気だね。ハルキくん」
元気な挨拶をするハルキくんに、ノヨーンとした感じで返す、いつの間また机に寝そべっているタツガワくん。
そんな明るい彼は、とっても楽しそうな雰囲気を醸し出し、それを象徴するかのように笑顔であるから、今日という日が楽しみであったことが容易にわかる。そんな彼とは対照的にヒマワリくんは落ちつていて、逆にどこか疲れているようすである。それが気になり、聞いてみると。
「どうしたんだよ、ヒマワリくん。なんか、顔に疲れが出ているみたいだけど」
それにさぞ疲れたのか、空いているイスにドッサと座って、ため息を吐いて、話し出す。
「それが昨夜から、ハルキが元気でな。楽しみで落ち着かないことはわかる。俺も楽しみではあったからなぁ? それで明日、何よしようと話していたわけだ。それで前、話していた野菜の鍋を振る舞うことを報酬とてなっただろう」
確かにそんな約束をした覚えがある。じゃあ、今日の昼か、夜かは鍋なのか楽しみだ。ということはクラスルームで料理をすることになるのか、料理はあまりやらないからわからないが大丈夫だろうか。
でもそれだけなら、ただの寝不足なだけでは、それに一緒に話しているから文句はいえんと思うが。
「それでどうやって作るかと、食材は、調理器具はとかの話をしていたわけだ。そこまでは良かった、良かったんだが」
なんか雲行きが怪しい。そのまま話しの続きを聞く。それとなんか、とても申し訳なさそうな顔しているハルキくんは何をしたの。
「途中から何故か、野菜の作り方の話を始め。まだそれならいい野菜作りが好きだといっていたし、だが、カットの仕方で決まる鮮度や土の状態から出来る栄養と美味しさ。それを作りたいなら野菜の肥料や水の与えか、虫や動物などを自分に説明をして。それから、農業に大切な話なのだろう環境の話やその環境の改善や作り方の話までし始めて、それを永遠と聞かされ。それも終わった。まあまあ、こういう話をしたかったのかと思い受け入れ寝ようとしたら、もうよくわからない野菜への愛を続けて聞かされて、頭がおかしくなりそうだった。眠たい頭に、莫大な情報、それも妙に面白い話で興味がわくを聞かされ続け。寝たいのに聞きたい状態から眠ろうとしたが、声が聞こえて。それでも時間が経てば終わり、ようやく寝れると思ったら外から鳥の囀ずりが聞こえた。そして、隣を見れば、ぐっすりと気持ちよさそうに寝てる……そんなわけだ」
顔が暗い影をうみ、枯れた笑いが漏らす。それに何れだけ話していたのか、野菜への愛が今のヒマワリくんからわかるのが、なんかヤバさを感じる。それに小さく呟いた「その時の顔だけはどうしても許せない」という言葉が余計に疲れを感じさせる。
そんな感じで疲れているヒマワリくんにハルキくんは「本当にごめんて、後で何か奢るから、だから、本当にごめんてっ」その光景が可笑しくゲラゲラとタツガワくんと笑いあっていたら、最後の二人が来たようだ。
「おはよう、カザクラさんにシロミヤさん」
「おはよう」と返すシロミヤさんとカザクラさんはヒマワリくんに茶化されてるハルキくんについて聞いてくる。それに対して「親睦を深めているだよ」と返すも、分からなかったみたいだが、自分から話すようなことでもないので、さっさと町に行こうかな。
「じゃあ、みんな集まったし、行こうか」
その言葉に皆、反応してまず最初にどこに行くかを町に着くまで歩きながら決めることになる。
だらだらと話しながら、町に着き。まだ昼の時間ともいえないので、話し合いどおり軽い物から見ていくことにする。ならと雑貨から行くことにする。
お金は、前々から貯めていたものから崩して使う。こういう時のために貯めていたのだろう。基本的に学生はバイトをしていたりする。学校の手伝いに、魔法や錬金術を使った者や労働で報酬を貰ったり、お店で働くなどである。
たまに、働いている様子もないないのに、お金を散財している奴は何処からお金が出ているのだろうかと疑問に思う。
自分は色々とお給料というか、お手伝いというか、報酬というか、そんな感じのでお金がある。
雑貨屋に入ると、種類ごとに棚にきちんと整頓されて並ばれている物。必需品がある場所に向かい、必要数だけ手に取る。
大体皆も必需品は同じなので、あとは使いやすい物を各々選ぶだけ。
そんなこんなと必需品をある程度、買え揃えたわけであるが、自分は皆が選んでるなか、この近くの棚にあった人形のことを思い出して、なんとなくだが見に行く。
ぬいぐるみや人形とオモチャといった物の中に、ひときわ異彩を放つ人形が置いてあった。
明らかに近くに置いてある人形と物が違う。その人形に押さえられた美が、その異質さを強く表している。まるで何処かの美しいお姫様をそのまま小さくしたような美しさ。
こんな物がここにあれば、少女には人気がありそうだが、お値段がオモチャとしては高いので買い与える家がないのだろう。近年の家庭に余裕があるからといっても、これをオモチャとして買うことはないだろう。
なら、妹のプレゼントに買ってもいいな。少し高いが、買えないことはないのでアリである。
他の人形を見てみるが、やっぱりこれと見比べると天と地ほどの差がある。完全に見比べる対象が違うのだろうけど。
どうしようかなと、悩んでいると覗き込むように後ろから見る者がいた。
「ふむ」と異質な人形を品定め的な、目利き的な感じて視ているヒマワリくん。視るのに飽きたのか、それとも何かが分かったのか、分からないが口を開く。
「これって、前にいっていた人形か」
「うん? ……ああ、そうだよ」
「まさか、人形師が作った人形がこんな安価で売られているとは思わなかったな。……買うのか?」
「……悩んでる。妹のお土産としては高いけど、良い人形であるから、すっごく悩む」
そう伝えると「そうなのか」といいヒマワリくんも悩む様子を見せる。でも決めたのか。
「買わないなら俺が買ってもいいか。ちょうど姪がもうすぐ誕生日でな、これなら喜びそうだし。ナガクラが買わないなら買いたいけど……」
そういわれると別にそこまで欲しいわけでもないし、妹も人形遊びをすら年ではないからあれだけど。
……でも、なんか……目が離せないというか、買ったほうが良いような気もする。買わないと損をするような気がするのだ。だから、ここまで執着をしてしまう。本当にヒマワリくんに譲るべきか、と。
いや、こいう時は迷わず、買え。師匠や開拓者のおっさんがいっていたが『判断する材料が今のにおいてなく、また損得もないなら、直感は従え』と。
だから、
「ヒマワリくん、ごめん。この人形を買うわ」
「いや、ナガクラが買うなら、別にいい他のを選ぶだけだ。ついでに良いのが有ったから、いっただけに過ぎない」
そんなこんなありながら、この人形を買うことになった。ただお財布が軽くなったのは、悲しいのはどうしようもない。
そのまま、雑貨屋から服屋へと移動をする。その間、人形のことを女子達に色々と聞かれたが。
着いた服屋は男女の服が数多く取り扱っているお店で、お値段も程よく、品質もよいからに庶民の自分達もお気軽に入れるお店である。
といっても、女性になるとお値段が少し高くなってしまうものである。
そんなお店に入って十分と経つ、自分達、男連中も服を見ていたわけだ。
「ねえ、ハルキくん」
「うん、なに?」
暇そうに服を見ている自分達とは違って、楽しそうに服を選ぶ女子二人プラスタツガワくん、後、なんか分からないけど女性店員と話しているヒマワリくん。
「服って、普通が最強だと思うのだけどどう思う?」
「そうだね、普通が一番いいよね。考える必要がないし、面倒臭くもないからね」
そう、自分達男は基本的に面倒臭いと思ってしまう。別に男全体に当てはめるわけではないが、正直そう思う人が多いと客観的。
男物の服といっても、数多くの多色の服とサイズがあり、服といっても結構違っているようす。といっても男の服ではあるために、種類が少ないのは仕方ないのだろう。まあ、普通に男が服に興味がない人が多いから需要が少ない為に供給もない。だから服の種類が少ないってのがある。
それとは違って、女性の服の種類は豊富で、色やサイズは当たり前に、トップス、上着、スカート、ズボンに、それらの飾りや素材、服の形に柄とそれだけでも結構な数があり、これらをどのように組み合わせるか、テーマをどうするかと考えるべきことがたたにあるとのこと。流石に服屋のメインターゲットたる女性客なので、そもそもの店内を占める女性服が大きいし、満足させるほどの種類と数を揃えている。
服屋の凄さは、それだけではない。これが、月毎や年度毎、季節で変わるために、考えるだけで恐ろしく思える。たまに学校で聞く上級生の女子生徒が服の数について話していることを聞いたことがある。それだけで結構、ビックリした覚えがあった。
あれ、最初の話しなんだっけ?
「そういえば、今日の夜に作る野菜の鍋ってなに入るの?」
それにハルキくんは、よくぞ聞いてくれたといった感じで、楽しそうに話し出す。
「今日の鍋に入れるのは、キャベツや白菜といった鍋の定番のお野菜。それとキノコ類でしょ、えのき、椎茸とかなどの食感の楽しめるキノコ。ベーコンを入れた鍋かな? 本当はもう少し野菜をいれたいけど、お鍋に合う野菜は基本的に冬だからね。でも野菜鍋が作りやすいし、美味しいからね」
普通に美味しそう。これは今夜、楽しみだなあ。
「それに、食堂の料理も少しもってきたら楽しめるとお腹も結構膨れるとおもうし。でも帰りに、キノコやベーコンを買わないと純粋な白菜とキャベツの味わうだけになるからね。まあ、僕は、それでもいいだけど」
楽しみにしながら、女性陣を待つ。
そういえば、タツガワくんが普通に混じっているけど。服とか興味があることに意外と思ってしまった。
いつもは、戦うことが好きだから、そういうのが全く興味がないと勘違いをしていた。
そのまま、女性陣が飽きるまで、ハルキくんと話していて、途中から参加したヒマワリくんと話す。
まだかなと。思いながら。
太陽が真ん中から、偏り始めた。
あれから、色んな服やアクセサリー、靴といった店を女子組に連れ回されていたら、昼食の時間となっていた。
そんな訳で、外れがないサンドウィッチ屋さんに来ている。
いつも通りの人気さに、圧倒されるながらも長い列に並ぶ。
この列にやけに男が多いのはこの店で接客しながらサンドウィッチを作って金銭のやり取り元気に笑顔で客にお礼をいう。それら一連の流れるような動作で行い、一生懸命さと元気さが綺麗な女性に加え笑顔が良く栄える。
そんなとっても癒される笑顔とついでにご飯も美味しいという、目的が別の目的と入れ替わっている。そんな訳だから男率が多いのだろうが、一定層の女性もいる。
でも美味しいから皆で楽しみにしながら、並んで待っていたら徐々に前に進んでいき。目の前にいたヒマワリくんとお店の女性と話をしている。
「そうなの、ありがとう。いつも……」
「いえいえ、こちらが勝手に世話というか気にしているだけに過ぎないです。それに友達ですから」
と何か話している。多分、妹さんの話をしているのだろう。まあ、そんなわけで親しく話しているから、遠巻きで見ている男達から「何者だ?」、「もしかして?」、「いやいや、明らかな年下だし、あり得んだろう……だよね?」と囁かれて、嫉妬の眼差しが向けられていることはヒマワリくんは知らない。
それに可哀想と思いながらも、自分も注文する。
野菜とウィンナーを挟むサクサクふわふわのパンに掛かったソースのシンプルなモノを頼む。
「ナガクラくん、こんにちわ。今日は友達と遊びに?」
「まあ、そんなところですね。エミさんはいつも忙しそうで、ご苦労様です」
「忙しいけど。楽しいからね。はい、ご注文の品です。お値段は……」
と少し話しながら、代金を払い。皆が買うまで待つ。何か、視線が刺さるのは気のせいだろうか。
皆が揃うまで、待ち続けて揃ってから公園に向かう。
公園に着くとベンチに皆座って、頼んだサンドウィッチを食べる。
モグモグと味わい、堪能する。
そんな皆、食べることに集中して無言を貫く。そのために誰も話し出すことはなく、食べ終わるまで話すことはしない。
そして、皆が食べ終わって休憩しながら話す中、気になることがあったので聞いてみる。
「そういえば、タツガワくんって女性の服に詳しいね。もしかして、デザイナー志望?」
「ッ!? ……いやぁ、その、ね……内にぃ、妹がいるかさ、そういう話を……聞くだけだよ?」
しどろもどろといい訳のようにいい立てる姿はとっても怪しく見える。
別に、デザイナー志望でも悪いことなんってないのに、多分恥ずかしいのだろう。ここは優しく認めようではないか。
「そうなんだ。それで、話が合うわけか。自分にも妹がいるけど、全然わからん」
たまに辺境の村までやってくる商人が見せてくれて、何を買うかで悩んでいる妹の姿を何度も見たことがある。自分はいまいち、どいうふうに服が違うか分からないために、同じに見えてしまう。
それに買うことはなくても、本人曰く、見ているだけでも楽しいらしい。色々と不思議に思うことがある。
まあ、よく服の種類を覚えてられる。自分自身、服には興味がないから、そこら辺が全く覚えれない。だから、よく女性の服の話しについていけることに感心する。
自分が勝手に感心していると、困惑くしたような顔をするタツガワくん。それに皆、何かあるのだろうと深入りはせず次のはなし変える。
そんなこんなとありながら、寮へと夕方近くに戻った。
自分はベットに座り込み、倒れるかのように寝転がる。
色々と買ったなと思いながら机の上に乗せている買った品々を見る。
必需品のインクやペンに紙、何となくで買った人形。服屋で何着か、本屋では数札の本を、結構いい値段がした。特に錬金術の本『万物の構成と分解に新たに転じさせる錬金術の教本』という長ったらしいタイトルの本である。
ただ懸念がある。買う時に、店員から、まじでこれ買うやついるの? 的な顔をされたのだが。あれは何なんだろう、これはもしかしてやったかと、ふっとした時に、本を疑うというよく分からないことをしながら部屋に戻ってきた。
多分、パッと見たときには、良かったきがするから、でもこれも経験であろう。そう思うことにして。
部屋には既にラフな格好に着替えたタツガワくんが日課の剣の手入れをしている。それを横目に見ながら、自分はとっとと着替える。
着替え終わり、タツガワくんと話をしている間に時間が過ぎて皆と集まる時刻に迫っていた。
「タツガワくん、そろそろ行こうか」
そういうとタツガワくんは時計がある方向に向く。
「もう、そんな時間か……うん、じゃあ行こう」
椅子代わりしていたベットから立ち上がり、部屋を後にしてクラスルームに向かう。
寮の中にあるクラスルームに着いて中には、いつもなら数人のクラスメートがゆったりとくつろいでいるだろう。自分はあんまり、使ってはいなかったから、興味深く、部屋の中をじっくりと見回す。
木製の壁に、天井のつけられた魔法石から降り注ぐ光が当てられ、暖かなイメージが印象付けられる。その中に、ソファーに机と椅子が適当にあり、本棚があって誰でも読めるように本が置かれている。その種類は結構バラバラで、本当に読むのかというのが数札見られる。
クラスルームには幾つかの部屋があり、調理室、トイレ等々。
そんな風に観察をしていたら、調理室から聞き覚えのある声が聞こえてきた。そのため、そっちに目を向けると、扉が開かれる。出てきたのはハルキくんとヒマワリくん達である。
すると、ちょうどよく、カザクラさん達も来たようなので、呼ぶ。気づいたようで、集まる。皆も集まったことだし、そろそろ本日の目的であるテストお疲れ様会を行う。
「というわけで、皆が揃ったし、料理や色々と準備を始めようか」
各々が返事をして、行動に移す。というわけで、料理作る組とその他組に別れる。
料理を作る人は、ハルキくん、シロミヤさん、ヒマワリくん。その他は、自分、タツガワくん、カザクラさん。
というわけで、別れる。その他組の準備はそんなやることはない。食堂から頼んでおいた料理を取りに行くこと、飲み物や皿など細々としたことである。それとは違って料理組は、ハルキくんお手製の野菜鍋である。
そんなこんなで、料理も出来上がり、準備が整ったので自分達は豪華にならぶ料理を前にして席につく。
「じゃあ、本日のメインであるテストお疲れ様会を開きます。テストお疲れ様でした。では――」
「「「乾杯!」」」
声は大きく少しあげ乾杯の音頭をあげて、飲み物が入ったコップをぶつかり合わせる。
そんなわけでも、早速、ハルキくんは野菜鍋を食べるように進める。
「さあ、早速食べてよ」
キラキラとした目で進めてくるので、鍋から小皿に入れる。野菜は綺麗な彩りをしている。
ポン酢が入った少し深い小皿に浸けて、口にいれる。
野菜のほんのりとした甘さと染み渡るポン酢のスパッさが、シンプルに美味しい。
「ああ、うまい」
そう溢し、黙々と食べる。自分のそんな姿を見たハルキくんは嬉しそうな顔をして、他の皆も続いて食べる。それにヒマワリくんやシロミヤさんが感想を溢す。
「美味しいな、野菜の甘さがちゃんと出ていている」
「うん、美味しい。優しい味って感じがする」
それを共感を示すようにタツガワくんとカザクラさんも美味しそうに食べる。
皆のそんな姿を見て、心底嬉しそうな顔を浮かべ口を開く。
「良かった。やっぱ、育てた野菜なんだから、美味しいといわれないとね。それにしても、嬉しいな」
はにかむような笑顔を浮かべているハルキくん。だから、
「じゃあ、ハルキくんも食べないとね」
そういって食べるように促す、それに少し戸惑いを見せるも素直に頷いて。
「うん、そうだね」
大事に育てた野菜を食べるハルキくん。
そんなこんなで、少しの間、食に没頭をして空腹感が落ち着いた頃に話し出す。
「いやぁー、この二ヶ月色々とあったけど、楽しかったね」
感慨深く感じたのだろうシロミヤさんは楽しかったという。
四月に入学して、その時は未だ関わりも薄い。それからあっという間に二ヶ月という月日が過ぎたことに、驚くも当たり前のような感じもする。
ハルキくんは同感といった感じに、話し出す。
「うん、色々と新しい環境で忙しく、切羽がった詰まったような頃だったけど。今は余裕もだいぶ出来たし、それも皆と出会えたから……本当にありがとう」
何か、辛気臭くなるというか、照れるというか。そうゆう会じゃないのよ。皆、楽しんでいこうぜ。
とのことで話題を変えようとしようとするも、カザクラさんの言葉で遮られる。
「そうね。私もあなた達が居ないかったら、こんな風に笑っていられなかったは、こういう機会を逃すといえそうにないから……ありがとう」
そんな悲しみを感じさせるもでも今は幸せだという姿、それはどこかさっぱりと割り切ったような清々しさを感じさせる。違和感もありながら。
自分は話題を変えるために。
「こんな辛気臭いことは止めて、今後のこと話さそう。一、二ヶ月を経てば夏休みだし、その前にある体魔全力際にテストだってある訳だし…………そういえば、知ってるか?」
そう話題を変えて、自分はある噂の話をする。
皆は何がといった様子で話を促すようにヒマワリくんが聞き返す。
「何が?」
「この前、風に乗った噂を聞いたんだけど。何か、新しい先生が入ってきたらしい?」
それにハテナマークを浮かべる皆、聞いたことないようだ。
「何でも、相当優秀らしい。若いが、老人のような落ち着きようで、その年で身につけた術と知識は明らかに時間が足りないなだろ
うとツッコミを入れてしまうほどだって。超絶な秀才らしい」
不思議に思ったのか、カザクラさんが疑問を口にだす。
「そんな凄い先生が来るのね。何ていうか、なぜ学校の先生に? 他に色々とありそうな気がすけど」
そう、そこら辺が不思議で噂程度の話。それに皆で、考えるも一向に何かが思い付くこともない。出たとしても、妄想の域を出ない。
まあ、気にすることもないけど。当初の目的として成功したので、いいのだけど。
食事をとりながら、英気を養うとても楽しい一夜を過ごした。
ちゃんと後片付けを済ませる。
ただ少し気になるのは、カザクラさんから不安といったものが全く感じなくなった気がする。何かあったのだろうか、そろそろカザクラさんと話す必要があるかもしれない。
手を貸すといった以上頑張らなくては。でも体魔全力際を過ぎた後に、話の機会を作るか。
そう、テストお疲れ様会を閉じたのだった。
明日も更新します




