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ダークエルフの女の子が、聖職者と仲良くしたらダメですか?  作者: 渋谷 恩弥斎
第2章 少年牧師と、風を奏でる森の民
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04/01. 祭りの日の朝

 早朝の教会堂。


 いつものように掃除を済ませた俺は、最奥部にある台座の上に、儀式用の石版を置いた。

 こういう時にしか使わない、ちょっと特別な祭具を。


 その上には、香りの強い野草の束。

 特に青々とした張りのあるものを、昨日のうちに準備しておいたんだ。


 今日は緑草祭。


 村人の健康を祈ると同時に、緑の恵みを祝うにぎやかなイベントで、宗教的意味合いは薄い。


 けれど、ナコタ村で暮らす牧師としては、それなりに筋を通しておくべきだろう。

 だから、やるべきことはやっておく。

 聖職者としての『おつとめ』ってやつだ。


 台座越しの壁には、ずいぶんと大きな諸刃もろはの剣が、刃を下に向けてかかげられている。


 祈りの場に武器だなんて物騒な感じだけど、あれはあくまで模造品。

 本物の剣じゃなくて、信仰の対象となる存在の象徴なんだ。


 俺が牧師と名乗れるのも――もっと言えば、俺たちの住むガーシュ王国があるのも、この剣によって示される偉大な英雄が、命をかけて戦ったからこそ。


 すべての始まりは、その英雄。


 我らが『国父こくふ』である、その名は――。


「遅くなってごめんね、カッタ」


 開かれた扉から入ってきたリリウに、俺は思考を止める。


「昨日はあたし、料理の下ごしらえの手伝いでさ……今朝は、ちょっと寝坊しちゃった」

「大丈夫だよ、そんなの」


 振り返った俺は、本当に早起きが板についてきた彼女を迎え入れた。


「もう終わっちゃったよね、掃除?」

「いいから、いいから。気にするなって」


 申し訳なさそうなリリウに、俺は笑って返す。


 正直、今日は一人でやっておきたかったんだ。

 緑草祭だからってことじゃないけど、こうやって静かに、どうやら空の高いところにいるらしいその相手へ、聖職者らしく想いをはせることが、最近はできていなかったから。


 さて、マルセラ姉さんを起こしに行くか。


 あと、ついでにフィンネもね。

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