01/07. 少年牧師はぬるぬるがお好き!?(前編)
俺の家の食卓。
「あ、あの……アミカちゃん?」
昨日の残り物を簡単にアレンジしたスープパスタで、楽しいランチタイムのはずが、
「あ、アミカちゃーん?」
「…………」
ムスっとしたアミカちゃんは、俺を咎めるような視線を向けてくるだけで、何も答えてはくれない。
対して。
「いやぁ。やっぱり、あんたの料理はおいしいよ」
ついさっきまでの気後れしていたような雰囲気も消え、リリウはリラックスした感じで食事を続けていた。
「う、うーん……」
テーブルを挟んだ正面がアミカちゃんで、俺のとなりにはリリウ。
自分の家だっていうのに、どうして俺はこんなに気まずい思いをしなくちゃならないんだろう。
「あ、味はどうかな、アミ――」
「あれですか? 牧師さまは、私と二人での食事に、何か不満でもあるんですか?」
俺の言葉をさえぎって、急に口を開いたアミカちゃん。
「魔族退治に行ったと思ったら、その……り、リリウさんを連れてきたりして」
「つ、連れてきたっていうか……」
たまたまリリウがいて、それで来たいっていうから、こうなっただけで。
「な、なぁ、リリウ?」
「そうそう。あたしが森から出てきたらさ、ちょうど姿が見えたから。時間的にも、お腹が空いてたしね」
俺が何となくうながすと、リリウは独り言のように経緯を話してくれた。
「……あの、リリウさん」
するとアミカちゃんが、不満そうな顔で言う。
「いろいろな事情もあるんでしょうけど、ちょっと……牧師さまに甘えすぎなんじゃありませんか?」
「……何、あたしに文句?」
アミカちゃんの言葉に、リリウが反応する。
二人は、初対面というわけじゃない。
どちらも俺をよく訪ねてくる女の子だし、お互いに、だいたいどういう相手なのかくらいは理解している。
とはいえ、親しく会話をするような仲でもない。
俺の知る限り、こうやって食卓を囲むのだって初めてのはずだ。
「別に文句なんかじゃありません。ちょっとした意見です」
声を荒らげてはいないけど、アミカちゃんは少し攻撃的。
「何さ。あんたって、魔族は好まないタイプの人間なわけ?」
一方のリリウも、どこかケンカ腰。
この村の住民たちの中でも、魔族に対する考え方はそれぞれだ。
寛容な人もいれば、排他的な人だっている。
今は比較的、魔族に対しても友好的な時代だから、表立っては口にしないにしても、俺のリリウへの接し方や、彼女が村に入ってくること自体を、あまりよく思っていない人がいるのも知っている。
だからリリウの発言は、ダークエルフとしてはシンプルな反論なんだ。
「私は、ただ単に魔族だからということを理由に、その相手を評価したりはしません。けれどリリウさんは、牧師さまの優しさに甘えすぎなんじゃないかって、そう言っているんです」
「優しさ? バカじゃないの、あんた。こいつはね、ダークエルフのあたしに恐れをなして、それで食事を差し出しているだけだから」
……まぁ、何でもいいんだけどさ。
とりあえずさっきのリリウ、俺に『あの、さ……今から、遊びに行っても、いい?』とか、妙にしおらしく尋ねてこなかったっけ?
「牧師さまは、聖職者としてリリウさんに対応しているだけですから。あまり、その……ちょ、調子に乗らないでくださいっ」
「はぁ、調子? 何、どういう意味? 言いたいことがあるなら、はっきり言えば?」




