01/08. 少年牧師はぬるぬるがお好き!?(後編)
場の空気が険悪になってきたところで、アミカちゃんが声を上げる。
「ぼ、ぼぼ、牧師さまをハレンチに誘惑しようとしたって、そんなのぜったい認めませんからね、私っ!!」
「……ハレンチ? 誘惑?」
まぁ、そういう反応になるよな。
明らかにちんぷんかんぷんなリリウは、つぶやきながら首をかしげていた。
「あ、あのさ。アミカちゃんは、何て言うか、その……お前が俺を――」
少し悩みながらも、俺がリリウに説明しようとしたら、
「た、たとえリリウさんが油ぬるぬるの体で襲いかかっても、誠実な牧師さまは、心乱れたりしませんからっ!!」
なぜか重ねてアミカちゃんが、あのマニアックな趣味嗜好行為まで言い放ってしまった。
「えっ!?」
これには聞き覚え――ならぬ、言い覚えがあるリリウだったから、驚きながらも強く反応しちゃって。
俺の方に視線を向けたと思ったら、そのまま顔を赤くして、大きな自分の胸を抱いて、
「や、やや、やっぱりあんた、あたしに、油ぬるぬるでエロエロなご奉仕をさせるつもりだったんだねっ!!」
リリウは勝手な理解をしたあげく、まったく非のない俺を咎めてきた。
「お、おお、おい!? アミカちゃんの前で変なこと言うなってのっ!!」
俺は一言も、一言もそんなことを口にしたりしてないぞ。
「き、きき、昨日のやつもわざとだったんだ!? バランスを崩したと見せかけてあたしを押し倒したのも、ぬるぬるご奉仕をさせるための作戦だったんだ!?」
「ち、ちち、違うっての!? 昨日のは本当に――」
「牧師さま」
取り乱しているリリウの誤解を解こうとした俺に、アミカちゃんの妙に低い呼び声が。
「どういうことか、説明していただけますか? 詳しく、詳しくです」
リリウに対する攻撃的な物言いじゃなくて、もっと殺気に満ちた感じのアミカちゃんが、俺に目を光らせていた。
「へ、変態だっ、変態牧師だっ!! あたしをぬるぬるにしようとする、エロエロ男子だっ!!」
ダークエルフらしくないような恥じらいを見せつつ、俺をののしるリリウ。
「牧師さま、ぜひ、洗いざらい、すべてを」
いつもの、清楚で優しい村の少女とは思えないくらいの恐ろしい気配を漂わせながら、俺から視線を外さないアミカちゃん。
言いたいことはいろいろあるんだけど、この状況で俺が言えることは一つしかない。
「とにかく二人とも、落ち着いて俺の話を聞いてくれぇーっ!!」




