01/11. 大人もワクワク
翌日。
日課の掃除と慌ただしい朝食を済ませた俺は、村に建つ一軒の平屋を訪ねていた。
「おはようございます、カッタです」
俺の呼びかけに、玄関の扉を開けて出てきたのは、
「やあ、おはよう、カッタくん」
昨日教会堂に来てくれた、きこりの中年男性――クレマンスさんだ。
「どうした? やっぱり、壁に問題でも?」
「あ、いえ、そうじゃなくて、今朝うかがったのはですね――」
俺は彼に、今年の緑草祭の計画について伝えた。
子供たちに、演劇という形でガーシュ建国の歴史を学んでもらい、それを当日に披露する予定であること。
大人たちには、一つの余興として、それを楽しんでもらいたいこと。
森の奥へは、俺やリリウが野草を摘みに行くこと。
「――という感じなんですが、いかかですか?」
「おお、いいじゃないか、すごく」
クレマンスさんは、興味深そうにうなずいてくれた。
「子供たちが、建国の歴史を演じてくれるのか。うん、おもしろい試みだよ。ここだけの話、去年は近所の子供たち、村長の話をろくに聞いてなかったからね――もちろん、村長には内緒にしてくれよ」
「あはははは、わかっています」
「村の連中には、俺から連絡しとくよ。当日の料理は、妻や村の女衆がどんどん作るだろうから、その心配はいらない。森の奥の野草はとにかく、他の材料は、俺たちで何とかするから」
「助かります」
「カッタくんは、その演劇や、祭り全体の統括を頼むよ。男手が必要なら、すぐ声をかけてくれて構わない――いやぁ、楽しくなってきたぞ」
祭りに胸が躍るのは、何も子供たちだけじゃない。
大人になっても、やっぱりワクワクしちゃうものなんだ。
「では、よろしくお願いします」
俺は軽く頭を下げ、クレマンスさんの家を後にした。




